――現実と同じように、本作では「新型ウイルス」の脅威の中で生きる人々が描かれています。撮影時だけはなく、劇中でも感染予防のためにマスクを着用しているという点で、お芝居に支障は出ませんか?

そうですね。やっぱり俳優として、相手の口元が見えないのはすごくマイナスなことで、苦労も多かったかなと。でもその分、お芝居は目だけでも伝わることは多いんだと、気づけたことが大きかったです。実は人って、目からもらう情報がすごく多くて、お芝居しているときだけではなく、今こうしてお話をさせていただいているときも、目で伝えようとするんです。そういう意味では、マスクがなくてもあっても、同じことをやっていたんだなと思いました。

――確かにドラマを見ているうちに、マスクをしていることがあまり気にならなくなっていきます。

実は、『燃えよ剣』(近日公開予定)の現場で、原田眞人監督から「ちょっとまばたきが多い」と指摘を受けたことがあって。原田監督が「映画を大きなスクリーンで見たときに、客は俳優のどこを見るかわかるか?目だ」とおっしゃったんですが、確かにそうだなと思いました。口元の表情も大切だけど、それ以上に目と目を合わせて話すことが大事なんだなと。実際に話すことで、SNSや電話などでやりとりする何十倍もの情報や感情が伝わってくると、しみじみ感じました。

また、僕らではなく、現場のスタッフさんがめちゃくちゃ大変だったと思います。本番直前まで、僕たちはフェイスシールドやアイシールドを着用していたし、それを外した後は、必ずそれぞれの専用の袋に入れないといけなかったので。

――毎回、胸がキュンキュンする決めゼリフがたくさんありましたが、演じていて一番心に刺さったセリフを教えてください。

美々先生とのお付き合いがようやく始まっても、2人は相変わらずSNS でやり取りを続けていました。そんな中で青林が「おいしいものがあったら、それを写真に撮って送るんじゃなく、美々さん、君と一緒に並んで食べたい」と美々先生に伝えたセリフが僕はすごく好きでした。SNSに頼るのではなく「これから頼るのはもう 僕だけにしてもらっていいですか」と言うんですが、僕が胸がキュンキュンしました(笑)