「怪演」「怪優」という評価を喜んでいる山田だが、「化け物になりたいという欲がある」という願望も告白。「モンスターではなく、俳優として化け物だなという人になりたい」と説明し、さらに「『人』に『怪』がつくと、『怪人』。怪人になりたいんです。『山田裕貴しかできない』、『山田裕貴だったら底知れないもの出してくれそうだよね』と思ってもらえるような俳優に。とにかく普通でとどまりたくないんです」と熱弁する。

視聴者の声も演じるエネルギーになっているという。「どの役をやっていても、1人でも共感できないといった声を見つけると『最終的に好きになっているからな、見とけよ!』と思う。たった1人でもアンチな方がいると自分に腹が立ち、『好きにさせるぞ!』、『全員好きにしてやる!』という欲が出てくるんです」とアンチの声もモチベーションに。

朝日役に関するさまざまな声もチェックしているそうで、「こういった悪役が好きな人もいれば、嫌いな人もいる。『うるさい』という人もいて、そういう声を見ると、もっと緻密に計算して、ここで声色を変えて、ここで笑って、急に怒り出してとか、いろんなトラップを演技の中に入れて、誰にでも好かれる悪役というか、なんか好きになっちゃう、クセになっちゃう悪役にしたいなと。それを楽しんでいます」と笑った。

幅広い役を演じカメレオン俳優とも言われているが、自身としてもさまざまな役を演じたいという気持ちが強い。思い描いている将来像を尋ねると、「僕は同じような役をやっていたら飽きてしまうので、怪人二十面相じゃ足りない! 怪人百面相くらい、いろんな役をやりたい」とユーモアを交えて答えた。

さらに、「寿命で死んで、遺影で“イエーイ!”とやっているおじいちゃんになって、『にんげんっていいな』という曲を流して出棺されるのが夢です」と理想の葬儀もすでに頭の中にある。「ふざけている感じだけどみんな泣いているくらい愛される人になりたい。俳優としてだけではなく人として愛されなきゃないけないと思うので、人間力と俳優力、両方がそなわっている人になれたらいいなと思います」と力強く語った。

■山田裕貴
1990年9月18日生まれ、愛知県出身。2011年にテレビドラマ『海賊戦隊ゴーカイジャー』で俳優デビュー。主な出演作は、映画『HiGH&LOW』シリーズ(16~)、『亜人』『あゝ、荒野』(17)、『万引き家族』、『あの頃、君を追いかけた』(18)、ドラマ『おんな城主 直虎』(17)、『特捜9』シリーズ(18~)、『なつぞら』(19)、『SEDAI WARS』、『ホームルーム』、『先生を消す方程式。』(20)など。また、舞台『終わりのない』で、第74回文化庁芸術祭賞 演劇部門新人賞受賞。公開待機作に映画『燃えよ剣』『ヒノマルソウル~舞台裏の英雄たち~』『東京リベンジャーズ』がある。