偏差値は受験や模擬試験など、試験結果を判断する基準として日常的に使われています。偏差値の数字に一喜一憂したことがある人もいると思いますが、そもそも偏差値とは何を数値化したもので、どのように算出しているのでしょうか。

偏差値は「個人」なのか「学校単位」なのか、また「何に対する」偏差値なのかによっても考え方や計算方法が異なります。 この記事では偏差値の種類やその計算方法などについて、くわしくご紹介します。

  • そもそも偏差値とは何か?

    受験につきものの偏差値。偏差値を正しく理解することが目標への近道となります

偏差値とは何か?

偏差値は試験を受けた母集団のなかで、自分の成績が平均と比較してどこに位置するかを客観的に測るための指標です。

例えば100点満点の試験で自分が90点だった場合を考えてみましょう。90点はかなり高い到達度と言えますが、試験の内容自体がやさしくもしほかの受験者が全員91~100点だった場合、自分は最下位ということになります。

一方自分が100点満点の60点しかとれなかった場合でも、試験自体が難しくほかの受験者が全員0~59点という場合は、自分の点数がトップとなります。

このように、点数だけでは試験結果の判断がつきにくいことがあります。そこで利用するのが、試験を受けた集団(母集団)の平均値である「偏差値」です。

偏差値は平均点を偏差値50になるように変換し、その基準からどれくらい高いのか、もしくは低いのかを数値で表します。つまり集団のなかでの自分の実力を数値によって客観的に把握することができます。これが「個人偏差値」です。

一方入試などで学校別の入学基準となる偏差値を「学校偏差値」といい、合格するために必要な偏差値の目安とされています。学校偏差値の数値は大手の模擬試験業者や予備校が独自に調査したもので、業者や予備校によって偏差値が異なっています。

偏差値を求めるキーワード「標準偏差」とは?

偏差値を求めるときに大切なのが「標準偏差値」です。標準偏差はグラフなどにした場合の統計データのばらつきを示す指標で、標準偏差を求めることで全体的なデータの傾向がつかみやすくなります。

標準偏差値は、次の式で求めることができます。

(1) データ全体の平均値を求める
(2) 各データから平均値を差し引いた「偏差」を求める
(3) (2)で算出した偏差を2乗する
(4) (3)で出した偏差の合計を出す
(5) 偏差の合計をデータの総数で割って分散を求める
(6) (5)で出した分散の正の平方根を求めて標準偏差を算出する

実際に次の表で確認してみましょう。

点数 (1)点数の平均値 (2)偏差 (3)偏差の2乗
Aさん 75 (75+50+30+65)÷4=55 15(70-55) 225
Bさん 50 5(50-55) 25
Cさん 30 25(30-55) 625
Dさん 65 10(65-55) 100

(4) (3)で出した偏差の合計 225+25+625+100=975
(5) 偏差の合計をデータの総数で割って分散 975÷4=243.75
(6) (5)で出した分散の正の平方根 √244=15.61

となり、この場合の標準偏差は15.61点となります。偏差値は平均が50点・標準偏差が10点になるように調整したものなので、標準偏差は得点が平均値の近くに集まっていると小さくなり、逆に平均から乖離していると大きくなります。

偏差値の最高点や基準点はある?

前述のとおり、偏差値の基準点は50点です。「自分の結果と平均との差異を表したもの」が偏差値なので、自分の得点が平均と同じである場合は「偏差値50」となります。

また実際には見かけませんが、計算上は100以上や0以下のマイナスという偏差値もあり得ます。たとえば100人が同じテストを受け、ひとりだけが100点、残り全員が0点というような場合は、100点を取った人の偏差値は100以上になります。

これは極端な例ですが、あまりにも極端な偏差値が出るような試験はテストを受ける母集団のレベルがバラバラであり、偏差値の意味をなしません。

偏差値を使うメリット

偏差値を使うメリットは、母集団のなかで難易度などに応じた相対的な自分の実力が分かることです。

例えば英語は90点、数学は60点だったとしましょう。点数だけ見ると数学が悪いようにみえますが、平均点が英語92点、数学55点の場合、数学の方が偏差値は高くなります。つまりこの場合、英語の試験は簡単で数学は難しかったと言えます。

このように、偏差値は単純に点数という絶対的な数字の比較だけでなく、試験内容の難易度に応じて自分の出来具合を比較することができます。

  • 自己PRで忍耐力をアピールするポイント

    偏差値は、母集団のなかで「相対的に自分の試験結果がどの程度なのか」を知る判断材料のひとつです

個人偏差値の計算方法

個人偏差値は受験者の平均点と標準偏差がわかれば、自分でも計算できます。個人偏差値の計算方法をご紹介しましょう。

標準偏差から偏差値を求める

偏差値は次のプロセスで求めることができます。

(1)前述した標準偏差を算出し、自分の点数から平均点を引いた数値を標準偏差で割る
(2)(1)の数値を10倍し、50を足す

上記を式にすると、次の通りです。

偏差値=10×(個人の得点 - 平均点) ÷(標準偏差) +50

たとえば英語の点数が90点・平均点80点・標準偏差が15の場合、計算式は以下のようになります。

10×(90- 80) ÷15+50=56.6666…

この場合、自分の英語の偏差値は約56.7ということになります。

このように偏差値は計算式を利用すれば計算が可能ですが、自分で計算するためには受けた試験の平均点、標準偏差を計算するための受験者数などが必要です。そのため自分で偏差値を計算することはなかなか困難と言えます。

偏差値が上下するロジック

試験の出来具合はあまり変わらなくても、偏差値の数値が上下することがあります。

前述の通り、偏差値は母集団のなかで自分の実力がどれくらいなのかを相対的にはかるための数値です。そのため自分の実力は変わらなくても、母集団の結果によって偏差値の数値は上下します。

同じ試験を受けても、学力が高い母集団と一緒に受ければ偏差値は低くなり、学力が低い母集団と一緒に試験を受ければ偏差値は高くなります。

  • 個人偏差値の計算方法

    偏差値は自分でも計算できますが、標準偏差を計算するための試験の平均点や受験者数などが必要です

学校偏差値の計算方法

大手予備校や模試業者が発表している学校偏差値は、予備校や業者によって数字が異なります。学校偏差値はどのように算出されているのでしょうか。

予想偏差値

予想偏差値とは予備校や業者などが開催する模試の際に、受験生の第1志望・第2志望校をもとに各学校の合格の目安となる偏差値を予想したものです。志望校ごとに、受験者の模試の成績や入学定員などの要素をまとめ、算出しています。

結果偏差値

結果偏差値は、模試を開催した予備校や業者が模試の結果と実際の入試結果をもとに算出したものです。

予備校などが発表している「80% 合格ライン偏差値」「50% 合格ライン偏差値」といった値は結果偏差値により算出されおり、各学校の入試合格者のうち、模試の偏差値がどの程度なら8割が合格、もしくは5割が合格しているかなどを統計的に計算しています。

  • 学校偏差値の計算方法

    学校偏差値は各業者が実施している模試と照らし合わせて算出しているため、同じ学校でも偏差値が異なります

偏差値で注意したいポイント

偏差値は「平均点との差」「母集団の得点のばらつき」をふまえ、母集団における自分の実力を測る数値です。そのため母集団となる人数が少ないと、あまり偏差値を利用する価値がありません。

またテストを受ける母集団が同じようなレベルであれば判断もしやすいですが、母集団のレベルが大きく異なると偏差値自体がかなり変動するので、判断が難しくなることに注意しましょう。

  • 偏差値で注意したいポイント

    偏差値は相対的な数字です。母集団によって数字が上下するので、振り回されすぎないようにしましょう

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偏差値は母集団のなかでの相対的な実力を測る数値です。

そのため同じ試験を受けたとしても、一緒に試験を受ける母集団のレベルによって偏差値が変動します。偏差値に一喜一憂してしまうこともありますが、偏差値=自分の実力とは限りません。偏差値の仕組みを正しく理解して、勉強や受験に役立てましょう。