平均貯蓄額の話題は、いつでも注目されるものです。データを見ては、「みんなこんなに貯めているんだ」なんて焦った経験があるかもしれません。一方で、「貯蓄ゼロ」の世帯も意外に多いことをご存知でしょうか。貯蓄額や貯蓄ゼロ世帯の割合を、世代別データでご紹介します。

  • 世代別「貯蓄ゼロ」世帯の割合は?

世代別の貯蓄額はどのくらい?

金融広報中央委員会による「家計の金融行動に関する世論調査 令和元年」によると、二人以上世帯の金融資産保有額(貯蓄額)は平均1,139万円、中央値419万円という結果になりました。このうち、金融資産を保有している世帯のみに絞ると、平均1,537万円、中央値800万円ということです。単身世帯の金融資産保有額は、平均645万円、中央値45万円、金融資産保有世帯のみでは、平均1,059万円、中央値300万円という結果でした。

次に、世代別に見た貯蓄額は、以下のようになりました。

<二人以上世帯>
・金融資産を保有していない世帯を含む
20歳代 平均165万円 中央値71万円
30歳代 平均529万円 中央値240万円
40歳代 平均694万円 中央値365万円
50歳代 平均1,194万円 中央値600万円
60歳代 平均1,635万円 中央値650万円
70歳以上 平均1,314万円 中央値460万円

・金融資産保有世帯
20歳代 平均220万円 中央値165万円
30歳代 平均640万円 中央値355万円
40歳代 平均880万円 中央値550万円
50歳代 平均1,574万円 中央値1,000万円
60歳代 平均2,203万円 中央値1,200万円
70歳以上 平均1,978万円 中央値1,100万円

<単身世帯>
・金融資産を保有していない世帯を含む
20歳代 平均106万円 中央値5万円
30歳代 平均359万円 中央値77万円
40歳代 平均564万円 中央値50万円
50歳代 平均926万円 中央値54万円
60歳代 平均1,335万円 中央値300万円

・金融資産保有世帯
20歳代 平均198万円 中央値80万円
30歳代 平均572万円 中央値300万円
40歳代 平均972万円 中央値375万円
50歳代 平均1,496万円 中央値420万円
60歳代 平均1,930万円 中央値845万円

当然ながら、貯蓄をしている世帯のみのデータでは、二人以上世帯でも単身世帯でも貯蓄額が高くなっています。たとえば、単身世帯の金融資産保有世帯では、20歳代では中央値80万円ですが、30歳代になると中央値300万円です。一人暮らしでも、「しっかり貯めている人は貯めている」とわかる結果ではないでしょうか。

なお、二人以上世帯と単身世帯を比較すると、世代ごとの貯蓄額の変化に様々な違いが見られます。たとえば、二人以上世帯の金融資産保有世帯を見ると、40歳代では中央値が550万円ですが、50歳代では1,000万円に増えています。

一方、単身世帯は40歳代の中央値375万円に対し、50歳代では420万円と大きくは増えていませんが、60歳代になると845万円とグンと増加しています。

また、二人以上世帯の金融資産保有世帯は、50歳代以降は中央値でも1,000万円を超えています。ライフステージの変化といった背景にある要因を考えてみると、色々な発見がありそうですね。

世代別貯蓄ゼロ世帯の割合は

これまでは貯蓄額の平均や中央値をご紹介しましたが、それでは、「貯蓄ゼロ」の世帯はどのくらいいるのでしょうか。同調査によりますと、二人以上世帯では23.6%、単身世帯では38.0%が金融資産非保有世帯、つまり、貯蓄ゼロ世帯となっています。世代別では、以下の通りです。

<二人以上世帯>
20歳代 22.9%
30歳代 15.8%
40歳代 18.7%
50歳代 21.8%
60歳代 23.7%
70歳以上 31.1%

<単身世帯>
20歳代 45.2%
30歳代 36.5%
40歳代 40.5%
50歳代 37.2%
60歳代 29.8%

両者を比較すると、貯蓄ゼロ世帯の割合の高さが目立つのは、単身世帯です。20歳代では約半数近くにのぼり、30~50歳代まで約40%の世帯で貯蓄をしていません。リタイアを迎える60歳代でも、約30%の人が貯蓄ゼロです。

一方、二人以上世帯では、20歳代で高かった割合が30歳代、40歳代では一度下がりますが、50歳代から再び増え、70歳以上で約30%が貯蓄ゼロと各世代のうち最も高くなっています。

なお、ここで言う金融資産とは、預貯金や貯蓄型の生命保険、債券、株式、投資信託などです。中でも預貯金に関しては、日常的な入出金や引き落としのための金額を除いた「運用や将来に備えた貯蓄部分」を指しています。つまり、貯蓄ゼロ世帯といっても、「銀行口座に全くお金がない」とは限りません。

しかし逆に言えば、生活費などとして使うお金以外には、資産がないことを意味しています。これでは日常生活を送るのに支障がなくても、予想外の出費があった時に困ることになりかねません。また、高齢になってから貯蓄がないのは、特に不安です。

貯蓄は、銀行の自動積立定期預金等の「先取り貯蓄」の仕組みを取り入れて毎月計画的に行いたいものですが、まずは500円玉貯金などでも構いません。貯蓄を全くしていない人は、少額からでもいいので、とにかくすぐに貯める習慣を身に着けましょう。

貯蓄ゼロ世帯は今日から貯蓄を始めよう

平均貯蓄額を見ると他の世帯と比べしまうものですが、気にし過ぎる必要はありません。自分と同じ世代の貯蓄額は、あくまで目安として捉えておきましょう。

一方、貯蓄ゼロの人は、ぜひ今日からでも貯蓄をスタートしてみてください。「貯蓄ゼロ」と「ほんの少しだけど貯蓄がある」の差は、精神的にもとても大きいものですよ。

※単身世帯の70歳以上のデータはなし