「人生観や価値観が、めちゃくちゃ変わった現場だったんですよ。それまで本当に暗い性格で」

本格的な演技初挑戦となる映画『人狼ゲーム デスゲームの運営人』(シネマート新宿・心斎橋ほかにて上映中)について、山之内すずはラジオ番組で興奮気味に語った。2019年にAbemaTVの恋愛リアリティーショー『白雪とオオカミくんには騙されない』出演を機に芸能界入りし、今では数々のバラエティ番組にもひっぱりだこな「ティーンのカリスマ」。羨望の眼差しが注がれるパブリックイメージの中で、等身大の姿がそこにはあった。

今回の取材でその真意を探ったところ、「自分で自分を認めてあげられないのがコンプレックスでした」と明るく話してくれた山之内。当時18歳の彼女にとって決して大げさではなく、同作は劇的な変化をもたらしたターニングポイントだった。

  • 山之内すず

    山之内すず 撮影:宮川朋久

■目標は「自分を好きになる、自分に自信を持つ」

――本格的な演技初挑戦となる『人狼ゲーム デスゲームの運営人』。出演は、オーディションで決まったそうですね。

手応えなかったんですけど、すごく良い緊張感の中だったので楽しくて。「次はがんばろう」と諦めの気持ちになっていると、マネージャーさんから「『人狼ゲーム』決まったよ」と言われて。それがすっごくサラッとだったので、悪質なドッキリなのかなとも(笑)。衣装合わせでみんなで本読みをした時にやっと、「この作品に関われるんだ」と思えて。演技を長くやっていらっしゃる方もいて、泊まり込みの現場もなかなかないので、不安でもあり、楽しみでもあり……いろいろな感情でした。

――9月に放送されたTOKYO FM『澤本・権八のすぐに終わりますから。』で、「人生観や価値観が、めちゃくちゃ変わった現場だった」とおっしゃっていましたね。それほどまで大きな転機だったんですか?

昔から自己肯定感がすごく低くて、歳を重ねるにつれて、それがさらに低くなっていて。自分で自分を認めてあげられないのが悩みとコンプレックスで、そんな自分も嫌いで、ずっと負のループでした。芸能もプライベートも、最終的な目標は「自分を好きになる、自分に自信を持つ」。私の中では、そこに直結すると予感したのが演技のお仕事で、オーディションを受けさせて頂きました。

――そして、見事に末吉萌々香役を射止めた。

めちゃくちゃ素敵な現場で、本当に良い方々、作品に巡り会うことができました。初めて演技をした時、「今の自分、めっちゃ好き」と思って。クランクアップして、「『人狼ゲーム』の現場にいる自分が好き」とより強く思えたというか。終わってしまうのが嫌で、泣いてしまったんです。演技をしている時からクランクアップを迎えるまで、「幸せ」という言葉ではおさまりがつかんくらい幸せで(笑)。こんなに幸せと思えることってあるんだと。

これまでネガティブだったり、自己肯定感が低かったというのもあって、自分のマイナスな感情ばかりに目を向けてしまっていました。観たり読んだりする作品も重たいものが多くて、ネガティブな感情ばかり育ててしまっていて。なかったわけではないんですけど、ポジティブな感情にやっと目を向けられるようになりました。「自分って全然嫌な人間じゃない」「こんな感情を持っている自分って素敵」って本当に心の底から思えた。そういう新しい感情に出会えたことが一番大きくて。終わってからも、ポジティブな感情に目を向けることができているので、その他のバラエティやCMのお仕事との向き合い方も変わりました。

人ともちゃんと関わるようになったし、友達からも「笑顔がちゃんと笑顔になったね」「明るくなったね」と言われるようになって。ネガティブになることが本当に少なくなりました。批判の声や自分の見た目、周りの声もあまり気にならなくなった。過去のことばかり考えてネガティブになってたけど、そんなことをいくら考えたって変わらん(笑)。今の瞬間を楽しめるようになって、撮影が終わってから半年以上経っていますが、今でもその感情が残ったまま。自分のことを受け入れられるようになりました。