お金を貯めることを指す言葉には、「預金」「貯金」「貯蓄」がありますが、この3つの違いをご存じでしょうか? 預金、貯金、貯蓄の意味を正しく知っておくことは、資産づくりを行う上で大切です。

ここでは、預金、貯金、貯蓄の意味や資産づくりに欠かせないことのほか、資産づくりを行う上でのポイントをご紹介します。

  • 「預金」「貯金」「貯蓄」の違いは? 資産づくりのポイントも紹介

    「預金」「貯金」「貯蓄」の違いは? 資産づくりのポイントも紹介

預金・貯金・貯蓄の違いとは? それぞれの意味を解説

まずは、預金と貯金と貯蓄の意味から、それぞれの違いについて見ていきましょう。特に預金と貯金は、お金を預ける金融機関によって呼び方が変わりますので、その背景も含めてご説明します。

預金 : ゆうちょ銀行以外の金融機関にお金を預けること

預金は、都市銀行や地方銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫、ネットバンクなど、ゆうちょ銀行以外の金融機関にお金を預けることを指します。

諸説ありますが、預金には「お金を預けて運用する」という意味があります。預金の由来は、日本で銀行が始まった1873年当時までさかのぼります。当時は、銀行に預けられる最低金額が高かったため、銀行は都市部の商人や企業の利用が中心でした。その預けられたお金が企業に融資され、融資を受けた企業が成長して、銀行にお金を預け入れるという循環ができたのです。

貯金 : お金を貯めること、またはゆうちょ銀行などにお金を預けること

貯金の意味は幅広く、お金を貯めること全般を指します。貯金箱にお金を貯めることも、へそくりなども貯金にあたります。また、ゆうちょ銀行をはじめ、JAバンク、JFマリンバンク、全国水産加工業協同組合連合会などにお金を預ける場合も、貯金と呼びます。

貯金という呼び方は、ゆうちょ銀行の前身である郵便貯金がきっかけです。郵便貯金が始まった1875年当時の日本には、貯金という習慣がなかったため、当時の大蔵省(現・財務省)が、国民がお金を貯めることを奨励し、郵便貯金の運用を始めました。このように貯金は元々、個人がお金を預けるという性質が強いものです。

預金と貯金は、制度が始まった際に、誰がどこに預けたのかで違いがありました。呼び方の違いは、その名残といえるでしょう。

貯蓄 : 金融資産を蓄えること

貯蓄は、財貨を蓄えることを指します。財貨とは、手持ちの現金や金融機関に預けてある預金のほか、債券や株式、不動産などの投資、積立式の生命保険などが含まれます。 預金と貯金の目的がお金を貯めておくこととすれば、貯蓄の目的は、今よりも財貨を増やすために資産運用をすることといえるでしょう。

  • 預金・貯金・貯蓄の意味

    預金・貯金・貯蓄の意味

資産づくりに貯蓄が欠かせない理由は?

資産を作るには、金融資産を蓄える貯蓄を行うことが重要です。なぜなら、預金や貯金だけでは、お金を大きく増やすことは難しいからです。続いては、その理由を詳しく見ていきましょう。

預金と貯金は金利が低いので資産運用には向かない

例えば、普通預金の金利が0.001%だとすると、100万円を10年預けたとしても、税引前の利息は約100円にしかなりません。利息には源泉分離課税が適用されるため、利息の受け取り額はさらに減るでしょう。

一方、金融庁のウェブサイトにある資産運用シミュレーションで、年3%の収益が期待される低リスク商品を毎月2万円で積立投資した場合、10年間で約280万円になります。このように、資産を増やしていくには預貯金だけでは難しく、貯蓄で投資を行うことが効果的です。

インフレでお金の価値が下がる場合がある

お金の価値は時代によって変わる可能性があります。例えば、30年前の100円と現在の100円ではそれぞれ買える物が少しずつ異なっています。同じように、30年後の100円は、現在の100円と同じ価値であるとは限りません。

お金のみを資産にしていると、インフレでお金の価値が下がってしまったときに大きなリスクとなります。そのため、お金だけではなく、株式投資や債券など、さまざまな資産を蓄える貯蓄が重要になるのです。

  • 資産づくりに貯蓄が欠かせない理由

    資産づくりに貯蓄が欠かせない理由

貯蓄を成功させるポイントとは?

将来を見据えて貯蓄を増やしていくためには、何をすればいいのでしょうか? 最後に、貯蓄を成功させるための3つのポイントを見ていきましょう。

1. お金に興味を持ち、貯蓄についての情報を集める

貯蓄を始めるには、まずお金に興味を持ち、資産運用や貯蓄についての情報を集めましょう。「自分には難しそう」「大変そうだから無理」と避けるのではなく、資産運用について気になったことは、少しずつでも調べていくことが大切です。

2. 資産を増やす方法のリスクを理解する

投資は、リターンを得ることで資産を増やしますが、元本保証がないため、資産が減るリスクも伴います。そのリスクにおびえて貯金や預金しかしないと、資産を大きく増やしていくのは難しいでしょう。

また、資産運用には、積立式の生命保険やつみたてNISAといった制度を活用することもおすすめです。いずれの方法も、条件やリスクを理解してから行うようにしましょう。

あわせて読みたい : 資産って何? 代表的な資産の種類や運用方法を紹介

3. 普段から浪費せず、家計を管理する

お金を貯める上で、毎月何にいくらお金を使っているのかなど、家計の収支を把握することが大切です。毎月生活費から余った分を貯金するというスタイルでは、なかなか貯蓄は増えないでしょう。

家計を把握することで無駄な浪費に気づき、節約を意識することができます。また、生活費が厳しくならない貯金額や投資額を決めるなど、予算管理をすることが貯蓄を成功させるためのポイントです。

あわせて読みたい : 共働き夫婦の家計管理! 何から始める?

資産を増やすには貯蓄が大切! ポイントを押さえて資産運用を始めよう

資産を増やすには、預金や貯金だけではなく、貯蓄を心掛けることが大切です。預金、貯金、貯蓄の意味を知り、お金に興味を持って情報収集することが、資産運用の第一歩です。

資産運用する方法の中には、リスクを伴うものもあります。なんとなく怖がって避けるのではなく、制度などを正しく理解して、自分に合った方法で資産運用を始めてみてはいかがでしょうか。