一人暮らしの家賃の相場は、どのくらいなのでしょうか。一人暮らしの場合、家賃は毎月かかる固定費の中でも高額になりがちです。 ここでは、生活を圧迫しない適切な家賃の目安や、家賃を抑えて希望に合った物件を探すためのポイントのほか、物件を選ぶ上での注意点をご紹介します。

一人暮らしの家賃相場はどのくらい?

収入や暮らしの中で重視することによって、その方に適した家賃は変わります。まずは目安として、賃貸住宅に住んでいる方の家賃の平均額を見ていきましょう。 総務省「平成30年住宅・土地統計調査」によると、1カ月あたりの家賃の平均額は5万5,695円です。なお、これは全国の平均額です。

併せて、無理なく支払える家賃の目安を考えるときは、管理費についても意識しておく必要があります。 管理費は、集合ポストや外廊下など、物件の共用部分の維持管理等に利用されるお金で、共益費という名目になっている物件もあります。

管理費の相場は物件によってさまざまで、かからない場合もあります。物件を探すときは家賃だけでなく、家賃と管理費の合計を見るようにしましょう。

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家賃相場は手取り収入の3分の1? 4分の1?

家賃は、手取り収入の3分の1や、4分の1程度が目安といわれることがあります。これは、家賃をこの程度におさえておくことで、比較的余裕のある生活費が確保できる可能性が高いためです。例えば、月の手取りが15万円の場合、3分の1なら5万円、4分の1なら3万7,500円が家賃の目安となります。

どちらの割合を目安にするかは、生活で何を重視するかによっても変わります。例えば、住環境を重視するのであれば、家賃以外を節約して、家賃が高めでも住みやすい家を探すのがおすすめです。一方、趣味にお金をかけたい方は、家賃を安く抑えることで趣味の費用を捻出しやすくなるでしょう。

  • 収支のバランスを取って家賃を決めましょう

    収支のバランスを取って家賃を決めましょう

東京の1R、1K、1DKマンションの家賃相場

続いては、東京都に住む場合を想定した、家賃の相場について見ていきましょう。 家賃は、物件の築年数や広さ、間取りといった設備面での条件に加えて、土地柄によっても変動します。

都心部の駅が近い物件だったら広さや設備は問わないという方もいれば、郊外でもある程度広くてきれいな物件がいいという方もいます。まずは、自分なりの優先度を考えてみましょう。

同じ23区内でも、区が違えば家賃の相場は変わります。家賃の高い千代田区や港区の場合、1R、1K、1DKだと家賃相場は10万円以上になります。 23区内でも、比較的家賃が手頃な足立区や葛飾区などでは、1R、1K、1DKの相場は、7万~8万円程度で借りられる物件が多くあります。

一方、東京都の市部の物件なら、家賃が5万~6万円で、23区内と同程度の物件を借りることは十分可能でしょう。

全国(東京以外)の主要都市での家賃相場は?

東京都の家賃相場は、全国で比較すると高い傾向です。それでは、家賃はどのくらい地域によって差があるものなのでしょうか。ここでは、関東近郊、関西、中部、九州、北海道の5つのエリアにおける家賃相場を見ていきましょう(2020年11月時点におけるアパマンショップのウェブサイトのデータを参照)。

神奈川・埼玉・千葉の1R、1K、1DKマンションの家賃相場

神奈川県、埼玉県、千葉県の1Rや1Kの家賃は、高くても約7万円です。1DKだと神奈川県は横浜市の一部地域で約17万円のところもありますが、そのほかは3県ともに約10万円弱でした。 家賃が急激に上がるエリアを除けば、家賃相場的には東京都とあまり変わりはありません。ただし、神奈川県、埼玉県、千葉県の物件では、条件面において、東京都よりも安いけれど広い物を選べる傾向があります。

大阪・京都の1R、1K、1DKマンションの家賃相場

大阪府の1Rや1Kの家賃相場は、都心の一部で約7万円という物件もありますが、一般的には高くても約6万円です。1DKの場合は約7万円で、一部都心では約10万~15万円の地域もあります。

一方、京都府の場合は、1Rや1Kの家賃相場は高くても約5万円です。また、1DKの場合は高くても約8万円ということで、隣接する大阪と京都でも少し違いがありました。

愛知・福岡・北海道の1R、1K、1DKマンションの家賃相場

愛知県の1Rや1Kの家賃相場は、高くても約6万円、1DKの場合だと高くても約7万円でした。福岡県の1Rや1Kの家賃相場は、高くても約5万円で、1DKでは高くても約6万円。 北海道の場合、1Rや1Kの家賃相場は高くても約4万円で、1DKだと高くても約6万円という結果になりました。

全国の主要都市だけを見ても、住むエリアによって家賃相場は大きく変わることがわかりました。隣接する都市でも家賃相場に差がありますので、物件選びの際に参考にしてください。

  • 中心部になるほど家賃は高くなる傾向にある

    中心部になるほど家賃は高くなる傾向にある

家賃を抑えたいときの物件の選び方

一人暮らしの家賃を抑えるためには、ある程度の妥協も必要です。続いては、家賃を抑えるポイントをまとめましたので、妥協できるところがないか考えてみましょう。

家賃相場が低いエリアや路線で探す

家賃の相場は、エリアや路線によって異なります。できるだけ安い物件を選びたいが、設備や広さは妥協したくないという場合は、希望のエリアを変えてみましょう。 各駅停車しか止まらない駅や希望するエリアの隣の駅にするだけでも、家賃相場が変わる場合があります。 ただし、家賃の低さだけではなく、治安の良し悪しやハザードマップ等については、確認しておくことをおすすめします。

学生向け物件が多いエリアを探す

大学や専門学校が多い地域では、手頃な家賃で住める1Rや1Kの部屋が多い傾向があります。 その分、設備面で劣る部分があるかもしれませんが、家賃を抑えたいなら選択肢に入れてみましょう。

駅から遠い、築年数が古いなど条件を緩和して物件を探す

駅から遠くてアクセスが悪い物件や築年数が古い物件、お風呂とトイレがいっしょの物件、洗濯機置き場がベランダにある物件など、条件があまりよくない物件は、その分、家賃が低めに設定されています。 自分にとって優先度の低い条件がある場合は、このような物件を積極的に探してみてはいかがでしょうか。

マンションにこだわらない

鉄筋コンクリートのマンションではなく、軽量鉄骨や木造のアパートを選べば、家賃は安くなる傾向があります。ただし、鉄筋コンクリートに比べると、セキュリティや遮音性などが劣る可能性があります。内見をして、自分にとって妥協できるレベルかどうかを確認しましょう。

  • こだわり条件を緩和することで選択肢が広がる

    こだわり条件を緩和することで選択肢が広がる

物件選びで注意すべきポイントは?

物件選びをする際には、家賃や間取り、設備以外にも、注意したいポイントがいくつかあります。最後に、物件選びの際に注意したほうが良いポイントをご紹介します。

日当たりや風通しの良さ

日当たりや風通しの良さは、快適に暮らすために大切な条件のひとつです。日当たりや風通しが悪い物件は、カビや結露などが出やすくなることがありますので、避けたほうがいいでしょう。

布団や洗濯物を外に干せるかどうかも、確認しておくと安心です。問題がある場合は、布団乾燥機やサーキュレーターの導入を検討しましょう。

ゴミ出しの管理体制

一人暮らしをする場合、ほとんどがマンションやアパートなどの集合住宅を選ぶことになります。そこで注目しておきたいポイントは、ゴミ捨て場の状態です。

ゴミ捨て場が適切に管理されていないと、悪臭や汚れなどの原因になります。また、カラスがゴミを荒らしてしまうといった問題が起こる可能性もあります。ゴミ捨て場がどのような状態になっているのか、管理体制を事前にチェックしておきましょう。

夜道でも安心か、治安がいいかなど周辺の状況

夜道でも安心して帰宅できるかどうかは、重要なポイントです。駅からの帰り道に、コンビニや街灯、人通りがどの程度あるのかといった点は、見ておくことをおすすめします。

敷金・礼金・クリーニング費用など家賃以外の費用

物件を借りるときは、敷金や礼金、前家賃といった、まとまったお金が必要です。

最近では、敷金・礼金が0円という物件もありますが、退去時にハウスクリーニング費用が別途かかる場合があります。なお、ハウスクリーニング費用は、法的には貸し主が負担するものとなっていますが、契約書で借り主が退去時に一部または全部を負担するといった特約がつけられていることもあります。 入居時と退去時にかかる費用は、あらかじめチェックしておくことをおすすめします。

周辺囲のお店 利用頻度の高いお店が近くにない場合、生活するのが不便に感じる可能性があります。 スーパーやコンビニ、飲食店、ドラッグストアなど、自分が普段利用することの多い店舗が近くにあるかどうか、周辺の様子を確認しておきましょう。

  • 家単体だけではなく周囲の様子も踏まえて決めよう

    家単体だけではなく周囲の様子も踏まえて決めよう

収入における家賃の割合には、およその相場や目安はあっても、必ずこうでなければいけないというルールはありません。自分の理想の収支バランスを実現できる家賃の物件を選ぶことが大切です。

物件を選ぶ際には、家賃や条件のほか、周辺の治安やお店の状況などもチェックすることをおすすめします。家計の状況やライフスタイル、重視するポイントなどを考えて、適切な住まいを探しましょう。