――そういったことを乗り越えたからこそ、応援し続けてくれる温かいファンにも巡り会えた。「一人一人名前があるから、何となく『ファン』という一言で片付けたくはない」と書いたのは、そういう思いだったんですね。
私は「ファンの人」と書いているんですけど、「ファンの人」と書いた時に今まで出会った人のことが一人ひとり思い浮かぶんです。できれば、一人ひとりを書いてあげたいけど、それはなかなか難しい。でも、みんなそれぞれに個性はある。そもそも、私自身が「AKB48」というグループでひとくくりにされることが多かったので、「私は一人の女性としての前田亜美だよ」と見てほしかった。この思いが、文章を通して伝わればいいんですけど……。
――必ず届くと思いますよ。芸能界入りした時と今では、「ファン」という言葉の意味が変化したんですね。
重みが全然違います。芸能界に入りたての頃は出会う機会が少ないですし、人数も少ないので、顔が思い浮かぶというよりは、「応援してくれる人」みたいなざっくりしたイメージでした。今、「ファンの人」と聞くと一人ひとりの顔が思い浮かぶし、私の知らないところで自分のことを応援してくれるって、生きていてなかなかないことですよね。
■「ヒマワリ」に込めた思い
――今回のフォトブックは「花」もテーマになっています。最後にヒマワリを選んだのは、どういう思いだったんですか?
ヒマワリは、見ているだけで明るくなりますよね。私が人生において心掛けているのが、「常に笑顔でいよう」。悲しい時は泣けばよくて、それでも笑ったら結構楽しくなったりして、忘れちゃうんですよ。笑顔でいると、楽しいことが舞い込んで来る。
AKBにいる時から、それは実践していて。悲しいことばかりを考えていたら良いことは起きないし、マイナス思考になるし、これはダメだと思って、「無理やりでも明るく生きよう」と思って気をつけていたら、前向きになれたので「これか!」と(笑)。
ヒマワリは太陽に向かって育って、見るだけで元気をもらえて、すごく大きくて明るいお花。ファンの人からも「ヒマワリみたいだね」と言われることや、生誕祭でファンの方が用意してくれるお花もヒマワリが多くて。それだけイメージが強いのかなと思ったので、最後のカットはヒマワリ一択でした。
――それでは最後に家族、そしてファンに向けてのメッセージをお願いします。
今までいろんなことがありました。私、本当に迷惑ばっかり掛けていたんですよ。知らないことが多すぎて、いっぱいいっぱいになって、自分の中で勝手に解決していたんですけど、「みんなで解決しないといけないこと」もあって。これからも相談事とか報告とか、ファンの方々や家族としていきたいです。
今まで乗り越えてきたことを生かしていきたいので、これからはもっと私の方から頼ろうかなと。人に頼ることが苦手だったので、頼っていきたいし、みんなから頼られる女性にもなりたい。そこはみんなで一緒にがんばっていきたいと思っているので、これからも引き続き応援してくれたらうれしいです。この本に込めましたが、きっと伝えられない部分もあると思うので、そこは面と向かって、直接お話をしたりしながら伝えていきたい。自分のため、大切な人たちのために、その初心は忘れたくないです。
■プロフィール
前田亜美
1995年6月1日生まれ。東京都出身。2008年12月、AKB48の第4回研究生オーディションに合格して芸能界入り。7期生としてチームAメンバーに昇格した後、2010年の「AKB48 19thシングル選抜じゃんけん大会」では5位になり、自身初のメディア選抜入りを果たした。その後も2011年、2012年のじゃんけん大会でも勝ち上がり、3年連続で選抜入りした。2016年8月にグループを卒業し、現在は女優として活動している。