近年では女性の社会進出が進んだことによって、結婚後も双方が仕事を続ける共働き世帯が増えています。当然、共働きであればそれだけ収入も増えますし、メリットは少なくありません。とはいえ、デメリットがないわけではなく、ワークライフバランスを取りにくくなるといった課題もあります。結果としてストレスを溜め込みながら生活を送ることになってしまう可能性があります。

ストレスや課題となってしまう要素にはさまざまなものがありますが、中でも特に大きいのが子育てです。そこで、今回は子育ての課題や解消の方法などをご紹介します。

  • まとめ

    うまく課題を解消しながら子育てと仕事を両立することを目指しましょう

共働き世帯の子育ての悩み

課題を解消するためには、まず課題となっている原因をしっかりと分析することが大切です。そこで、まずは子育ての悩みについてご紹介します。

家事や育児の負担が女性に偏ってしまいがち

もっとも大きな問題が正確に負担を分担することができないという点です。妊娠、出産に関してはどうしても女性への負担が大きくなってしまいます。さらに、家事や子育ての負担は女性サイドに偏ってしまいがちになるという問題もあります。

内閣府の調査によると、世帯の負担の割合は女性の方が多いという回答が全体の7割を占めています(※)。もっとも多かったのが「夫1割、妻9割」という回答で、全体30% 以上を占めています。次いで多いのが「夫2割、妻8割」で24% 、そして「夫3割、妻7割」が17.4% です。つまり、全体の7割ので女性が7割以上を負担していることになります。

もっと詳しく : 共働きの家事分担「妻が9割」が最多 - 夫婦の不満を解消するには?

子どもの体調などで予定通りに動けない

子どもが体調を崩したりすると、予定通りに動くことができないという点も大きな課題となります。保育園などを利用していても、体調が悪くなれば親が対応しなければならないケースがほとんどです。そのため、思うようにスケジューリングできなくなってしまい、結果として仕事を続けることを諦めてしまうという方も少なくありません。

残業ができなくなってしまう

近年では延長保育が利用できる保育園なども増えていますが、やはりそんなに長時間子どもを預け続けることはできません。そのため、残業ができなくなってしまうという点も大きな課題となります。

社会的に過剰な残業をしなくても働き続けることができるようになりつつありますが、仕事の内容によっては残業せざるを得ないケースも少なくありません。また、残業はなくても仕事の時間が不定期だと子育てが難しくなってしまいがちです。

自分の時間や睡眠時間が削られる

育児には基本的に休みはありません。仕事を終えて帰宅するとすぐに育児に追われる生活になります。そのため、自分の時間を十分に確保できないばかりか、睡眠時間まで削られてしまうケースも少なくありません。

普段はあまり意識することはありませんが、プライベートな時間がなくなってしまうだけでも人は大きなストレスを感じてしまうものです。子育てには体力も必要な上に睡眠時間まで削られてしまうと、仕事に集中できなくなってしまうこともあるでしょう。また、ストレスを溜め込んでしまう可能性もあります。

育児の課題を人に相談できない

周囲に相談できる人がいないことが悩みになってしまうケースもあります。近年では少子化が進んでいることもあって、子育てに対する理解のない方も少なくありません。もちろん、企業として積極的に子育て支援を行っているところもありますが、まだまだ十分とは言えないのが現状です。

  • 共働き世帯の子育ての悩み

    子育てに関する課題は人によって異なりますのでしっかりと分析することが解消への近道です

どうすれば育児の悩みを解消できる?

ここからは子育てに関するさまざまな課題を解消するための方法について考えていきましょう。

夫婦で家事や育児の割合を分け直す

現在の日本では負担が女性に集中してしまいがちであるというデータが出ています。しかし、一方ばかりの負担が大きくなると不満やストレスを抱えることになります。そこで、割合を分け直してみましょう。家事や育児の過程を細かく分けて、できるだけ平等に分け直すことによってそれぞれの負担を小さくすることができます。

お互いの仕事の都合なども考えながら、お互いが無理することなく家事・育児ができるように振り分けるのがベストです。

急な予定変更に対応できるスケジューリング

子どもの体調などによって急に予定変更しなければならなくなってしまうケースも少なくありません。急な予定変更にもしっかりと対応できるように余裕を持ったスケジュールを組んでおくことも重要です。

仕事のみでなくプライベートでも、常に日程や時間的な余裕を持つことを意識するようにしましょう。常に余裕を持たせるのが難しいのであれば、夫婦でお互いにカバーしながらどちらかが急な予定変更にも対応できるようにしておくと安心です。

ここでもやはり夫婦での協力が重要となります。お互いのスケジュールを把握しながら、自分のスケジューリングを考えていくことが大切です。

ワンオペ育児になりにくい環境を作る

ひとりきりで育児を行うと負担やストレスも多く、気持ちが落ち込みがちです。ですから、できるだけ孤独になりにくい環境を作ることも大切です。

夫婦で積極的に育児をするのはもちろんのこと、お互いの両親や親戚など、協力してくれる人が周囲にいるのであれば、できるだけこまめに連絡を取るようにしましょう。いざというときに誰かに頼りやすい環境を作っておくだけでも、安心感がありますし子育てへの負担を軽減することができます。

家事代行サービスなどの利用も視野に

近年では気軽に利用することのができる家事代行サービスも多くなっています。うまく利用できれば家事にかかる負担を大幅に軽減することができます。

もちろん、その分コストはかかってしまいますが、共働き世帯の場合、収入は多くなりますので負担を軽減するため多少のコストをかけることも大切です。

  • どうすれば育児の悩みを解消できる?

    子育ての課題を分析することによって、解消の方法も見えてくるはずです

共働き世帯が利用できる子育て支援制度

近年では少子化が問題になっていることもあり、国や自治体などでさまざまな支援制度が用意されています。最後に、共働き世帯が利用できる子育て支援制度をご紹介します。

延長保育

仕事で帰りが遅くなり保育園にお迎えに行くことができない、といった課題を解消してくれるのが延長保育です。時間は施設によっても異なりますが、かなり遅い時間まで子どもを預かってくれるケースもあります。

うまく利用することができれば残業の多い方であっても子育てと両立することが可能です。

地域のファミリーサポートセンター

地域によっては子育て支援のための相互援助活動を行うファミリーサポートセンターといったサービスが整備されていることもあります。

システムは地域によって異なりますが、事前予約すれば仕事で遅くなる日に、保育園のお迎えなどをお願いできます。利用可能なサービスの内容を確認して、うまく活用してみましょう。

地域の学童保育

子どもが小学校に入ると地域の学童保育や児童クラブなども利用することができます。一般的に学童保育や児童クラブは学校のすぐ近くや、同じ敷地内に併設されていることもありますので、小学校低学年でも安心して通わせることができます。

また、夏休みや冬休みなども子どもを預けることができるという点もポイントです。

  • 共働き世帯が利用できる子育て支援制度

    子育てを支援してくれるサービスや施設なども少なくありません。

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共働き世帯において、子育てはとても大きく重要な物事のひとつです。話し合いをしながら夫婦で分担したり、支援制度などを上手に利用したりすることによって仕事と子育てを両立することができます。最初から諦めてしまっていては課題を解決することはできません。工夫しながら子育てをしていきましょう。

今回ご紹介したポイントを参考にしながら毎日の生活やスケジュールの組み方などを改めて考え直してみてください。

出典 :
(※)内閣府「4.仕事と生活の調和(ワークライフバランス)