西武鉄道は2021年春に実施するダイヤ改正について発表した。鉄道事業における従前からの課題であった夜間作業の時間確保を実現し、いままで以上に安全かつ効率的に鉄道工事を行う環境を整えるとともに、新型コロナウイルス感染症の影響により、とくに深夜時間帯の利用状況が変化したことを踏まえ、終電車の繰上げを実施する。

  • 夜間に行われるホームドア設置の様子

具体的には、主要路線の終電車をおおむね20~30分繰り上げることで、保守・工事に従事する係員らの労務環境を改善するとともに、保守・工事を安全かつ効率的に実施する。終電車の繰上げにあたっては、他社線との接続による利便性確保や、深夜時間帯における混雑防止に十分配慮しながら実施する。

西武鉄道では、夜間を中心に線路や各種設備の保守・点検を日々行っており、加えてサービス向上・バリアフリー化推進に向けたエレベーター・エスカレーターやホームドアの設置などにともない、設備量が増加している。安全で快適なまちづくりをめざして連続立体交差事業も推進しており、今後も保守作業量・工事量が増加することが見込まれている。その一方で、2045年における首都圏の生産年齢人口は2020年と比べて約2割減少すると予測され、労働力の確保が喫緊の課題となっている。

  • 線路の保守工事の様子

新型コロナウイルス感染症の影響も受けており、テレワークが急速に普及するなどして乗客の利用状況が大きく変化。時間帯別の利用者数を感染拡大前の水準と比較すると、とくに深夜時間帯で50~60%と大きく減少した。

深夜時間帯の利用状況が変化したことを踏まえ、終電車の繰上げにより夜間作業の時間を確保して保守・工事を安全かつ効率的に実施し、安全・安心なサービスの提供に努めるとしている。