京王電鉄は2020年度の鉄道事業設備投資について発表した。総額225億円を投じ、ホーム安全対策や自然災害への備え、連続立体交差事業の推進、駅や車両の利便性向上などに取り組むとしている。

  • 京王線(笹塚駅~仙川駅間)連続立体交差事業の事業区間断面図と進捗状況

事業主体である東京都などとともに実施している「京王線(笹塚駅~仙川駅間)連続立体交差事業」において、今年度は用地取得や土留杭の設置、高架橋基礎杭の構築などを進めている。この事業が完了すると、笹塚~仙川間約7.2kmが高架化され、25カ所の踏切が廃止される。

ホームドア整備も引き続き推進し、飛田給駅では5月に全番線への整備が完了した。下北沢駅ではホーム補強工事を進める。ホームと車両の隙間対策にも取り組み、転落防止用の櫛状のゴムが新宿駅、調布駅、飛田給駅に設置されたほか、京王稲田堤駅の1番線でも整備を進める。ホーム端の視認性を高めるため、計11駅に注意喚起ラインを施工する。

車両の防犯対策にも取り組み、京王線8000系の2編成(計16両)、井の頭線1000系の2編成(計10両)に車内防犯カメラを設置。踏切の安全対策として設置している監視カメラは、井の頭線のすべての踏切道への設置が完了した。これに加え、踏切内の異常を検知する踏切障害物検知装置の整備を引き続き実施する。高架橋や盛土区間、トンネル部などの耐震補強工事、大雨に備えた線路脇斜面防護工事などの自然災害対策も引き続き実施する

  • ホーム端への転落防止ゴム整備状況

  • 車内防犯カメラと踏切監視カメラのイメージ

サービス向上の一環で駅のリニューアルも行う。新宿駅京王新線口では、旅客トイレをバリアフリー化し、改札外エレベーターを新設。仙川駅では駅併設店舗へ直通する出口専用改札口の新設、下りホームと改札階を結ぶエレベーターの大型化を実施した。

車両のリニューアルも進め、車体改修に合わせて車いす・ベビーカースペースを全車両に拡大。今年度は京王線8000系2編成と井の頭線1000系2編成の工事を実施する。車内液晶ディスプレイの2画面化も推進し、今年度中に井の頭線の全車両に整備。英語に対応した車内自動放送装置の導入も進める。

環境への取組みとして、より省エネ性能の高いVVVFインバータ制御装置への更新も行い、運転用電力を削減することに。今年度は京王線8000系3編成(計26両)、井の頭線1000系2編成(計10両)において工事を実施する。ホーム・コンコース照明や列車前照灯のLED化工事も進める。