日本テレビ系ドラマ『#リモラブ ~普通の恋は邪道~』(毎週水曜22:00~)で、“ラテンの昭和オヤジ”というキャラクターを演じる及川光博。波瑠演じる産業医が顔も名前も分からない相手に恋をするというラブコメディでありながら、コロナ禍というまさに現在進行形の今を描いていることで話題だが、この撮影にどのように挑んでいるのか。

コロナによるスケジュールの変更で、別の作品と撮影が同時進行となって多忙を極めた時期もあったが、それによって俳優としての充実感を味わったという――。

  • 『#リモラブ ~普通の恋は邪道~』に出演する及川光博 撮影:蔦野裕

    『#リモラブ ~普通の恋は邪道~』に出演する及川光博 撮影:蔦野裕

■マスク演技の“不完全燃焼”を解消するために…

コロナの世の中を真正面から描くという今作に、「いやぁ、ビックリしました!」という及川。「作品の仕上がりがどうなるか想像もつかなかったですね。マスクをしたまま演技するというのも、みんな初めてだと思うし。冒険的な企画ですよね」と受け止めた。

実際に撮影に入り、マスクをしたままの演技は「やはりコメディの面白みである、表情の変化を表現しきれないことにストレスは感じますね」とのこと。その上で、「現実を生きる皆さんがきっとそうであるように、マスクをずらして話したり、それを注意されたりと演出面での工夫もしています」と対応している。

さらに、「身振り手振りが大きくなってますね。“ラテンの昭和オヤジ”というキャラクターを演じるにあたって、発声や動作も変わるので、この“不完全燃焼”の状況をなんとか解消したいという気持ちから、動きや声のトーンで抑揚をつけています」と明かした。

今回のような本当にリアルな今を描く作品は「演じやすいです」と実感。「ただし、自分がどのような日常生活を生きているかがバレやすい(笑)。設定がリアルな分、僕自身のリアルも出ちゃうなという感覚があるかな」とプレッシャーもありつつ、「正直言うとマスクしたままお芝居するのは嫌ですよね(笑)。だから、すぐマスクを外そうとするとか、そのじれったい気持ちが表れるのもリアルなんじゃないかな」と、素を出すことも役に生かしているようだ。

■気分よく「チャオ~!」って帰りたい

そんな中でも、及川、松下洸平、間宮祥太朗の“人事部トリオ”は、男3人でワチャワチャ楽しんでいる様子が伝わってくるシーンになっている。

「僕らは“人事部コント”って呼んでます(笑)。それも初めて撮影した日から比べると、どんどん仲良くなってるんですよ。実際の3人の関係性が演技にも出てきて、リアルとの境目が曖昧になってくる感じ。三者三様個性が違うから、そのバランスが面白いんです」と楽しんでいるそうで、「もう2人がかわいくて、最近は部活みたいにワチャワチャしてます(笑)。クランクアップしたらちょっと寂しくなるんだろうなあ」と想像した。

一方で、家庭のシーンでは、息子役のジャニーズJr.・佐久間玲駈(れく)が待っている。

「ドラマ初体験なんだって! だから緊張してるんだけど、それをほぐしてあげるのも年長者としての役目だと思う。11歳といっても共演者なので、そこはうまく導いてあげられたらいいな」と意識し、具体的には「コミュニケーションなくして仲良くはなれないですから、マスクしながらしゃべっています。あとは褒めて伸ばす!」と接している。

“褒めて伸ばす”は、演技経験の少ない相手と共演するときにいつも心がけているそうで、「心地いい部分だけを集めて、共有する時間を美しいものにしたいという感覚はあるよね。気分よく仕事して、笑顔で『チャオ~!』って帰りたいから(笑)」と、自身の気持ちを作る要素にもなっているそうだ。

  • 波瑠 (C)NTV

主演の波瑠とは、彼女がアシスタントMCを務めていた番組にゲスト出演したことはあるものの、ドラマ共演は初めてで、「目が魅力的だよね。アニメをそのまま立体化したみたいな顔をしてて、なんか見入っちゃうなあ」と印象を語る。それは、マスクをしての演技のため、「目を意識して演じているということもあると思う」と影響もあるようだ。

ちなみに、これまで見てきた“目”が印象的だった役者を聞くと、『白い巨塔』(フジテレビ)などで共演した唐沢寿明を挙げ、「やっぱりあの人の目は強いよね」と振り返った。