ビジネスパーソンが"今読むべき本"を厳選し、要約してそのエッセンスを伝える「flier(フライヤー)」。最新のトレンドを学んだり、読みたい本を見つけたりするためのツールとして、約65万人のユーザーに活用されています。

この記事では、flierを利用する意識の高いビジネスパーソンの中でも特に、20代~30代のユーザーが今、リアルに読んでいる本とその傾向を紹介します。同世代のビジネスパーソンは今、どんな本を読んでいるのでしょうか? なぜその本が選ばれたのでしょうか? 気になった本があれば、ぜひチェックしてみてくださいね!

「自己中」になれば、人生は楽しい

9月、20代~30代に一番読まれたのは、『個人力』(澤円、プレジデント社)でした。

タイトルにある「個人力」とは、「ありたい自分のまま、人生を楽しんで生きていく力」のこと。著者、澤円氏は本書を「これからを生き抜く究極の自己中戦略」とし、これからの時代を生き抜くには個人力が欠かせないといいます。

コロナ禍において、本当にしたいことができず、ストレスを溜めてしまった方も多いのではないでしょうか。仕事後の飲み会も、映画館での映画鑑賞も、会いたいときに家族に会うことさえ、今となっては難しくなってしまったのですから。

その一方で、できることが制限されたからこそ、「本当にしたいこと」や「素の自分」に向き合う時間ができ、自分にとって大切なものに気づいた方も多いはず。これからは、自分にとって心地いいことだけをして生きていこう――そのように考えていた20代~30代のユーザーに、本書は優しく寄り添ってくれたのではないかと考えられます。

澤円氏は、文系卒でありながら、IT業界に飛び込み、エンジニアとしてそのキャリアをスタートさせました。コンピューターの基礎も知らないままSEになったのは、「Being(ありたい自分)」があったからだそう。

そんな著者は今や、年間約300回にも渡るプレゼンテーションや講演をこなす、プレゼンのスペシャリストとなっています。加えて、大学の客員教授や企業の顧問、オンラインサロンの運営など、さまざまなコミュニティに所属して活動中。自分の強みを生かし、いきいきと今を生きているように見えます。

そんな著者の生き方は、まさに今の20代~30代が理想とするものの一つ。これからの人生を考えるにあたって、自分の人生を肯定し、後押ししてくれる一冊として支持を得たのではないでしょうか。

プロに学べば、仕事はもっとうまくいく

2位は、『コンサル一年目が学ぶこと』(大石哲之、ディスカヴァー・トゥエンティワン)でした。

本書で著者は、各界で活躍する元・外資系コンサルタントたちを取材し、「新人時代に学んだことで、15年後も役立っているスキルとは何か」を調査しました。そのなかで明らかになったのは、絶対に欠かすことのできない30のスキルの存在。本書では、それらを「話す技術」「思考術」「デスクワーク術」「ビジネスマインド」の4つに分け、1年目の具体的な経験を引き合いに出して説明しています。

外資系コンサルタントというと、「超優秀なビジネスパーソン」というイメージを抱いている方も多いはず。ですがそんなコンサルタントにも、入社一年目の、まっさらの時期はあるものです。

その時期に、コンサルタントたちは、何をどう学び、優秀なビジネスパーソンへと進化していくのでしょうか。そこで彼ら、彼女らが学び、身につける知識は、業種・業界を問わず役に立つスキルであるはずです。

社会人1年目の方が本書を読めば、仕事の“基礎中の基礎”が身につくでしょう。基礎中の基礎と言っても、それを若いうちに身につけられる人はごく一握り。本書を読んでおくだけで、スタートダッシュは成功しているも同然です。

また本書は、ベテランの方にもおすすめです。今まで身につけてきたスキルがさらに磨かれるはず。仕事でうまくいかないことがあるなら、課題を解決するためのヒントが見つかるかもしれません。

20代~30代というと、仕事で大きく成長し、さらなる飛躍が期待される時期です。そんな時期だからこそ、「どのような方法が正解なのだろうか」と悩んだり、「ある程度成長した実感はあるけれど、ここで伸び悩むわけにはいかない」と奮起したりすることもあるでしょう。現状に満足している人も、そうでない人も、できるだけ早く手に取ってほしい名著です。

よりよい人生のカギは「決断」にあり

3位は、『Think right』(ロルフ・ドベリ、中村智子(訳)、サンマーク出版)でした。

本書は、『Think clearly』『Think Smart』に続き、ロルフ・ドベリ氏のベストセラー「52の思考法シリーズ」を構成する一冊。最新作である本書には、「誤った先入観を捨て、よりよい選択をするための思考法」というサブタイトルがつけられています。

人間は一日あたり、9,000~35,000回もの決断をしているといわれています。アラームが鳴った瞬間に起き上がるか、もう少しだけ眠るか。どんな服を着ていくか、ネクタイはどれにするか。やってきた電車に駆け込むか、それとも次の電車を待つか……思い返してみると、朝から今この瞬間まで、無数の決断をしていることがわかるでしょう。

もちろん、私たちが迫られるのは、このような小さい決断ばかりではありません。就職や転職、結婚や離婚、起業や撤退など、人生の分かれ道に立たされる場面はさまざまあります。そしてたった一つの決断で、人生は良くも悪くも大きく変わっていきます。

そんなとき、あなたは、迷うことなく“正しい”判断ができる自信があるでしょうか。できている、と信じたいかもしれません。ですが著者によると、私たち人間は、合理的な判断が得意ではない生き物。残念ながら、「思考の落とし穴」を完全に避けて通ることはできないのです。

20代~30代のユーザーの多くは、今まさに人生の岐路に立たされています。そんなとき、本書を読んで「思考の落とし穴」にはまらないように細心の注意を払うか、それともまんまと「思考の落とし穴」にはまっていくのか……それこそ今、判断が試されているといえるのではないでしょうか。

後悔のない道を歩むのか、あえて茨の道を行くのか。それは、あなた次第です。

9月のキーワードは「仕事と人生を楽しむ」

9月のベスト3から見えてきたのは、「仕事と人生を楽しむ」というキーワード。新型コロナウイルスの感染拡大によって、日々の楽しみの多くが奪われたことで、日常生活における仕事の比重は必然的に重くなりました。在宅勤務に切り替わり、仕事とプライベートの境界が曖昧になった人もいるでしょう。

そんな今、仕事が楽しくなければ人生も楽しいものにならないと言っても過言ではありません。そのように考えて、仕事と人生を楽しむためのヒントを、ビジネス書に求めた方が多かったようです。

20代~30代の今なら、自らの力で仕事と人生をハンドリングし、より望ましい方向に舵を切ることもできるはず。本の要約サイトflierには、他にも仕事や人生を考える際に役立つ書籍を多く取りそろえています。9月の閲覧数で4位にランクインした『やってのける』(ハイディ・グラント・ハルバーソン、児島修(訳)、大和書房)や8位の『マインドフルネスが最高の人材とチームをつくる』(荻野淳也、かんき出版)、11位の『LIFESPAN(ライフスパン)』(デビッド・A・シンクレア、マシュー・D・ラプラント、梶山あゆみ(訳)、東洋経済新報社)なども参考になるかもしれません!

来月はどのような本が注目を集めるのか、楽しみにしていただければ幸いです。