キャリアインフラを志すビズリーチ

多田氏は「ビズリーチは、キャリアのインフラになることを志している」と話す。これから労働寿命が50年~60年と伸びていく中で、キャリアを考えるのは当たり前の時代になる。それに向けて、さらに有用・有益な情報を追加していくというのがビズリーチの方針だ。

その一例として、人財活用プラットフォーム「HRMOS (ハーモス)」がある。これは、企業内に導入してもらうことで、従業員が働きながら個人のキャリアについて主体的に考えられるツールといえる。

「『35歳・転職限界説』がまことしやかに語られていたときもありましたが、ビズリーチのプラットフォーム上における最高転職年齢は70代で、年齢に応じた市場は確実にあります。しかし、相対的に年齢に応じてやはり求人数は減ります。転職を考えてからスキルを考えるのでは遅いのです。だからこそ、どうやってそのキャリアにたどり着けるか、自分のスペシャリティはなにかを常に考えていかなくてはなりません」

ビズリーチはユーザーに対して、健康診断を毎年行うように定期的に『キャリアの健康診断』を行うことを推奨しているという。転職市場は需要と供給のバランスで成り立っている。この市場の中で個人はどのような価値を持っているのかを知っておくことが重要だ。

「この時代、労働というものはとても大きなミッションになっており、キャリアインフラは今、社会から求められていると感じています。企業は今後、新卒採用と中途採用の両輪が必要になっていくでしょう。個人から見れば常に荒波の中にいるわけです。その中で自分の人生を航海していこうと思ったら、船のコンパスのように自分の位置を知ることが大事です。ビズリーチはそのためのツールでありたいと願っています」

  • 自分自身を知るための『キャリアの健康診断』を多田氏は勧める

価値あることを正しくやろう

現代において働き方や雇用の在り方は大きな社会課題となっており、世界経済の流れとともにその価値観は激しく変化を続けている。このような時代において、多田氏とビズリーチは、「すべての人が自分の可能性を信じられる社会を作る」ことをミッションにしているそうだ。

「我々は民営企業ですが、価値があることだからお金を払っていただけて、そこで利益が生まれ、それをまた社会に還元していきます。これは民営企業の素晴らしいところだと思います。Visionalには『価値あることを正しくやろう』というバリューがありますが、これさえちゃんとやり続ければ事業はうまくいくんじゃないかなと思っています」

最後に、多田氏自身の仕事に対する思いや心がけについて伺ってみたい。

「私個人としては『仕事の報酬は仕事』という言葉をすごく大事にしています。会社の中の自分の仕事は、世の中の価値貢献につながっています。会社の中でいいアウトプットをすると、またいい仕事が回ってくると私は捉えています。目先の年収や肩書きを求めても結果はついてこない気がしていて、自分のなりたい姿を考えたうえで目の前の仕事に真摯に取り組むのであれば、自分の求めてる仕事に近づきやすいと思います」

『自らキャリアを選ぶ時代』は、もう避けて通れない。これからは個人がミッションやビジョンを定めていかなくてはならないだろう。多田氏はそのためにもあらためて、キャリアの健康診断を勧める。

新型コロナウイルスの影響もあり、就職に関して不安を抱えている人は多いだろう。だが現在の日本では間違いなく人材が不足しており、今後その流れが加速していくことは疑いようがない。職を求める個人はいま、非常に有利な状況にある。ビズリーチはそのような時代において、企業と個人をフェアな形でつなげるプラットフォームづくりを進めている。