女優の蒼井優、俳優の高橋一生、黒沢清監督が7日、映画『スパイの妻<劇場版>』(16日公開)の配信トークライブに登場し、共演エピソードやヴェネチア国際映画祭 銀獅子賞受賞について語った。

  • 左から黒沢清監督、蒼井優、高橋一生

本作は、太平洋戦争前夜の物語。神戸で貿易会社を営む優作(高橋一生)は、赴いた満州で恐ろしい国家機密を偶然知り、事の顛末を世に知らしめようとする。妻・聡子(蒼井優)の知らぬところで別の顔を持ち始めた夫、優作。それでも優作への愛が、聡子を突き動かしていく――。

トークライブではヴェネチアから届いたトロフィーのお披露目も行われた。日本人作品の銀獅子賞受賞は17年ぶりの快挙となる。

黒沢監督は「トロフィーが届いて、なにやら映画の歴史に名前が刻まれたんだなという感慨が」としみじみ。蒼井が「(おそれ多くて)全然、触ろうと思わないというか、すごい“圧”があります」と語ると高橋も「同じくです。現実感がないです」と緊張の面持ちで賛同した。

蒼井と高橋が夫婦役を演じるのは2度目。お互いの印象や魅力を尋ねられ「お芝居に関しては全幅の信頼を置いているので、楽しみで仕方なかった」と高橋は笑顔で振り返った。蒼井は「すごい先輩であることを知りつつ、一緒に歩んでくださることに感謝しています。できればまた共演したいです!」と再共演を熱くリクエスト。黒沢監督はそんな2人について「すさまじいお芝居を見せてくれる」と絶賛した。

作品について高橋は「人間的に生きていくための根源的なテーマが随所にまぶされている」、蒼井は「人によってはホラーよりも怖い映画。ぜひ劇場で面白さと恐ろしさを楽しんでください」とアピール。黒沢監督は「時に剛速球を、時にはすごい変化球が見ている方に飛んでいくので覚悟してご覧ください。それはみなさんを傷つけるのではなく、必ず心の中に刺さっていくと思いますので、どうか真正面から受け止めてください」と呼びかけた。

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