●レコーディングでは、明るさと突き抜ける感じを大事に

――その他にも、歌うなかで特にこだわれた部分はありましたか?

YURiKA あまり考えすぎないようにはしたんですけど、テンション感みたいなものは気にしていました。というのも、直前のリリースが『BEASTARS』のちょっとダークめな曲だったのもあって、最初は妙に大人っぽくなりすぎちゃったんです。なので、意識的に明るい歌声の引き出しを使うようにしていきました。

――細かい部分になるのですが、1サビ最初のフレーズ「夢見た世界」がとても印象的で。「ゆ」での力の込め具合が、ブレイクが生む発進感をさらに膨らませているように感じました。

大原 わかります。

YURiKA ありがとうございます。その「ゆ」の音がサビではいちばん低いんですけど、低い音だとどうしても歌声が暗くなっちゃいがちなんです。なので今回は「ゆ」を助走というか、溜めになる一音にできるように意識しまして。直後の「めみた」で突き抜けられるようにするというのは、自分でもすごく頑張ったところだと思っています。

――レコーディングには、大原さんもいらっしゃったんでしょうか?

大原 はい。私、「Shiny Ray」がすごく好きで。明るくてOPテーマらしい曲なのに、YURiKAちゃんの声質もあってなのか切なくも聴こえるんですけど、それと似た“明るいけど泣きの部分”みたいなものをこの曲のレコーディングでも感じたんですよ。その歌声から、私が歌詞に込めた気持ちや編曲してくださった吉田穣さんの意図をすごく汲み取ってくれていたように感じられて。「早くたくさんの方に聴いてほしい!」という気持ちになりました。

――その吉田さんの編曲で、曲のイメージは結構変わったんでしょうか。

大原 いや、元々「こうしてくれるだろうな」というイメージは明確にありました。でもそのうえで、吉田さんって考えていることが自分とは絶対に違うはずなのに、「これがいいな」というところを絶対に突いてくださるんですよね。

YURiKA だから間違いなく、何をとっても新しいのに『リトルウィッチアカデミア』感みたいなのもある曲になっているんですよね。しかも「Dream Flight」には、実はアレンジの中に『リトルウィッチアカデミア』愛がすごくあふれているポイントがあるんです。まだフルサイズの配信前なので詳しくは言えないんですけど……あー、早く言いたい!(笑)。

●まもなく開催! それぞれの配信ライブへの意気込みと理想像

――さて、大原さんは10月7日に、YURiKAさんも10月9日にそれぞれ配信ライブを開催されます。有観客とは違う部分もあるかと思いますが、目指すイメージはすでにはっきりとされていますか?

大原 はい。今いちばん強く思っているのは、画面の向こうにいる人ひとりずつに向けて「あなたに届けてるよ」というところを明確にして歌いたいな……ということですね。配信という形ではありますけど、ライブって普段は目の前にいるお客さんに向けて届けるものですから。

――そう考えるきっかけみたいなものが、何かあったんでしょうか。

大原 配信ライブを観ているときに思うんですけど、正直たまに置いてけぼりになってしまうような感覚を受ける瞬間みたいなものがあったんです。でも、そう感じないように大切にライブしてくださる方もいるので、自分もそんなライブをお届けしたいです。

YURiKA 私のライブは今回1時間ずつの2部制で、バンドと一緒にわちゃわちゃやっていくんですけど、いつもだったら感じられるみんなの声とかぎゅうぎゅうのフロアからの圧がないので不安もあります。でもまずはやっぱり、バンドを背負って歌を届けられる喜びを噛み締めたいですね。まずは自分がいちばん楽しまないと、その姿を見てくれている人には届かないと思うので。

――YURiKAさんも配信ライブはよくご覧になりますか?

YURiKA はい。カメラワークなどもいろんないろんな方のライブを観て勉強して、そのうえで「自分だったらこうしてみたいな」というやり方を考えているんですけど……いやもう、GRANRODEOさんの”“GRANRODEO 15th ANNIVERSARY Startup Live ~たかが15年~”は本当に最高でした! “配信”っていう壁を突破してくるような熱量がありましたし、ステージに立つ皆さんの「久々にみんなで音出せて嬉しい!」という気持ちも、本当に伝わってきたんですよ!

大原 私、“RED”のほうで「Dream Flight」歌ってもらえるのがめちゃめちゃ嬉しい。

YURiKA 私自身も楽しみにしてます! ……あれ? ゆい子さんのライブって、デビュー日当日ですよね?

大原 ……そっか。そうです!

――デビュー日だからこそ、やりたいことはありますか?

大原 それが、あまりなくて……記念日をあまり気にしないタイプなんです(笑)。でも、当日に配信を通じてお祝いしたいと思ってくださる方がいるということへの「ありがとう」という気持ちは、ちゃんと伝えたいですね。

――では最後に、改めてリリースにあたって読者の方へ「Dream Flight」の聴きどころなどについて、ひと言ずついただいてもよろしいでしょうか。

大原 YURiKAちゃんの歌の熱量や『リトルウィッチアカデミア』に対するみんなの想いがとても詰まった、ドリームなフライトな曲になっています。かっ飛ばして聴いてもらえたら嬉しいです。

YURiKA 繰り返しになってしまうんですけど、ゆい子さんや編曲の吉田さんに演奏してくれた方々、さらには作品を応援してくれている方も含めたみんなの代表という気持ちがすごく強いんです。私の名前で出る曲ですけど、私だけの曲ではないと思っています。いろいろな仕掛けもある、全『リトルウィッチアカデミア』ファンに絶対に好きになってもらえる曲に仕上がっているので、ぜひ隅々まで聴いてください!