女優の仲里依紗が、コロナ禍においても絶好調だ。NHKの連続テレビ小説『エール』では、脇役ながらも登場回では必ず爪痕を残し、自粛中ならではのリモートドラマ『Living』には夫婦で出演し、息の合った掛け合いを披露。4月に始めたYouTube公式チャンネル『仲里依紗です。』では、惜しげもなく自然体の素顔を炸裂させている。

そして、ドリームワークス・アニメーション最新作『トロールズ ミュージック★パワー』(10月2日公開)では、ロック村の女王・バーブという突出したキャラクターの声優を務め、パワフルなミュージカルシーンでは、見事な歌唱力を発揮。仲を直撃し、どんな畑においても、きっちりと個性を表現できるセルフプロデュース能力の秘訣について話を聞いた。

  • 仲里依紗 撮影:辰根東醐

トロール王国から盗まれたハッピーの源=“音楽”を取り戻そうと、カラフルな妖精、トロールたちが大奮闘するという本作。仲は「今の時代、暗いニュースが多いなか、本作はポスタービジュアルからしてカラフルだし、いろんな歌が散りばめられていて、最高に愉快です」と作品に惚れ込み、「私は洋楽ばかり聴いてしまうタイプですが、本作を観て、普段は聴かないクラシックなども、たまには聴いてみようかなというきっかけができました」と語る。

彼女が演じたバーブは、真っ赤なモヒカンヘアがトレードマークという、かなりエッジのきいたキャラクターだ。仲の声優としてのスキルは、出世作『時をかける少女』ですでに実証済みだが、今回もバーブ役を見事に自分のものにしている。

「自分の声は子どもっぽいというか、少年っぽいと思っているので、果たしてロックの女王というキャラクターに合うのかなと心配でしたが、トロールズのキャラクター自体がかわいいから、その雰囲気にはハマっていたので安心しました」

圧巻の歌唱シーンは観る者のハートを揺さぶるが、「歌は、全然得意じゃないです」と恐縮。「ロックはすごく好きで、めちゃくちゃ聴きますし、歌を聴くのも好きなんですが、カラオケでは恥ずかしいから歌いたくないタイプ。ただ、今回は仲里依紗としてではなく、バーブとして歌うので、そこは楽しんでやれました」

今回ボイストレーニングにも通ったそうで「先生に見てもらい、発声の仕方から、ロックの歌い方や、マイクの握り方まで、いろいろと教えていただいたので、勉強になりました」と笑顔を見せる。

一見ヒールに思えるバーブだが、「お父さんが大好きだし、ピュアさもあるので、あまり悪として演じすぎても違うかなと思い、そこのバランスを取るのに苦労しました」と言う。

自身とバーブとの共通点については「自分の意志を曲げないところ」だそう。「バーブはロックで世界を救いたいと思っていますが、その強い想いを貫こうとするところが、私と似ているかもしれません。自分も親からよく『あなたは言い出したら、本当に聞かない。欲しいものがあったら、絶対に買ってもらえるまでしつこく言う』と言われていました(笑)。執念深いというか、何事も諦めないんです。子どもの頃からそういう性格でした」

そのたくましさがあったから、今の仲がある。「芸能界でいろいろお仕事をしていく面では、良かったのかもしれません。長崎から1人で上京してきたので、ハングリー精神というか、そういう頑固な部分があったからこそ、ここまで頑張れたと思うので」