「マイナビ 転職動向調査2020年版」によると「転職は前向きな行動である」と考える人が7割近くになるなど、20~30代には転職活動は特別なものではありません。

必然、元いた会社に退職を伝えるための準備や退職時の手続きなどもノウハウとしていろいろな場所で紹介されています。

  • 転職時に社名を明かすのは危険?

こうした「辞める時の作法」ですが、個々の事情もあるので、一概に正解は無いかもしれません。ただ、SES業界においては不文律のルールがあるようで、それを指摘した声に大きな注目がツイッターで集まっていました。

投稿したのは、えも@SES社長【正社員募集中】(@SES48740815)さん。その内容とは… …。

やっぱ退職するとき一番ダメなのは「転職先の会社名」を伝えることだなぁ。待遇悪化、内定取り消し、会社間でのトラブル等、色んな話を耳にします。信頼していた上司だけに話したつもりでも、しっかり会社に報告されます。裏切られた人、何人も見てきた。
(@SES48740815)より引用

この投稿に対しては、「辞めた会社、信頼できる上司いなかったワイ勝ち組やな」「退職3度のうち、転職先決定済の場合は転職先は言いませんでした。退職元の会社が転職先に連絡してくるのを防ぎたかったので」「何が起こるかわかんないから、転職先や今後の生活も含め個人情報はリスク管理しないとですね」

「毎回ウソ情報を伝えてるワイに隙は無かった」「そういうのを危惧して、自分は転職時、微妙にフェイクを入れるようにしてます」「そう思って、人事(は、手続上必要だった)以外には話さずに出てきました。会社のランクめちゃくちゃ上がるからすげー嫌がられると思いましたし」など、共感するコメントが多数寄せられていました。

また、「退職する時に無理やり聞き出そうとされ、大揉めになりました」「共感!! 内定を圧力で潰されたことある」「昔、転職したときに自分では言わなかったけど勝手に元の会社に伝わったことがあります。仰る通り、有形無形の様々な嫌がらせや圧力をかけるとか有りましたね」など、実際にトラブルになったという読者からの声も上がっていました。

さらに、「市場が狭い地域なので、転職しても、業務によっては、顔を合わせることもあるので、なかなか落ち着けません」「SESの会社だと特にそうかもしれませんね。私自身もそうですし、転職妨害されてる社員も見たことあります」など、業界特有の事象ではないか、という指摘もあります。

SES業界の構造が招く転職問題

今回のツイート、えもさんはどのような考えで投稿したのでしょう。その真意を聞きました。

――今回の話はSES業界を指してのことでしょうか?

えもさん: SES業界を想定した内容ですね。大手Sierから中小企業に転職するケース、その逆のパターン、両方でよくトラブルがあると聞いています。

――ご自身のSES業界と関わりや業務経歴についてお聞かせください。

えもさん: 大手保険会社のシステム部門で数年勤務しましたが、上司のパワハラが原因で退職しました。その後、複数のSES企業で数年働いた後、フリーランスで5年程生計を立てていました。そして今は株式会社を設立し、社長業を2年程しています。

ちなみに働いたSES企業は俗に言う「ブラック企業」でしたね(笑)

SES業界での自身の豊富な経験と、社長として今の会社を経営する中で、さまざまな場面を見聞きし、その知見からの発言のようです。もう少し細かい話を伺いました。

――転職先の企業が分かると、やはり問題が多いのでしょうか?

えもさん: 社名バレによりトラブルが発生し、入社後の評価にマイナスとなったり、そもそも内定が取り消されたりするケースがありました。

もう少し具体的に説明すると、SES業界特有のピラミッド構造の中で、上位会社が下位に所属する社員をヘッドハントする動きがあり、それを知った下請け企業が「業務から手を引く」という発言をして、最終的にヘッドハンティングも無くなったということがあったそうです。

――なぜ、そのようなことが起こるのでしょうか。

えもさん: 仕事内容はまったく同じでも、「パフォーマンスは微妙だけど、勤務先が良い会社なので年収800万」「かなりのハイパフォーマーだけど、ブラック企業勤務のため年収300万」が同じ現場で働くという現場が幾つもあります。仕事内容は同じ、転職すれば年収が大幅upと聞いたら、多くの人はオファーを受けますよね。その結果、現場内での転職話が出て、会社間でのトラブルとなるのです。

自身のキャリアにつながることなので、よく判断して良い転職につながることが望ましいですね。

最後に本ツイートに対する一連のコメントの中から、

「器の大きい人は転職しても転職先で『その案件なら前職にできる奴いた』って前職に仕事を発注し担当者になり仕事を運んでくるから前会社に顔が立つ」

という含蓄に富んだ内容を紹介して締めくくりたいと思います。