2020年9月18日(金)から公開開始となった『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』。その公開2日目となる9月19日(土)、新宿ピカデリーにて公開記念舞台挨拶が行われた。

2018年よりTVアニメが放送され、情緒あふれる豊かな世界観と登場人物の繊細な心情描写が話題となった『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』だが、本作はその完全新作劇場版となっている。

公開記念舞台挨拶には、ヴァイオレット・エヴァーガーデン役の石川由依、ギルベルト・ブーゲンビリア役の浪川大輔、主題歌「WILL」そして「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」グランドエンディング「未来の人へ〜Orchestra ver.〜」を担当したTRUE、そしてTVシリーズと本作の監督を務めた石立太一監督の4名が登壇し、上映後の感動さめやらぬ観客の前で、制作エピソードや作品への愛を語った。なお、この様子はライブビューイングで全国の上映劇場へ中継された。

“応援してくださった皆様に直接感謝の気持ちを伝えたい”とのスタッフ・キャストの想いを受け開催された舞台挨拶。石川は観客を前に「たくさんの方に想いを伝えられることを嬉しく思います。テレビシリーズが終わって、外伝(『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 -永遠と自動手記人形-』)の話、そしてこの劇場版のお話をいただきました。劇場版は願いであり、夢。やっと公開できて胸がいっぱいです」と感無量の面持ち。

浪川は「収録の時、京都アニメーションさんの気迫、監督の想いをひしひしと感じました。昨日公開されてから、喜んでくださっている感想をたくさん目にして、今日こうして(イベントに)参加できてよかったなと思っています」と語った。

石立監督は「今日ここにこうして立てていること、昨日公開できたことが夢みたいです。やるからには今自分たちができることを全力で、作品に込めようと思っていました。今日は僕が代表してここに立っていますが、全てのスタッフが本当に頑張って作ってくれた作品だと思っています。今日きてくださった皆様、ライブビューイングでご覧いただいている皆様、皆様の応援があったからこそ完成できたと思っています。本当にありがとうございます」と感極まりながら観客に語りかけた。

石立監督の涙に呼応するように、登壇者からも涙が。TRUEは「思いが溢れてしまうんですけど、ようやくこの日を迎えることができたんだなと実感しております。同時に、今回主題歌を歌わせていただいて、1人でも多くの方に作品に触れていただけるように心を込めて歌わなければいけないなと感じています」とコメント。

出来上がった作品の感想を聞かれ石川は「ただただ、完成させてくださってありがとうございます」と涙。「みんなでヴァイオレットの生涯を描ききるというところを目標にしてきたので、監督が頑張ってくださっているのも聞いていましたし、私たちはアフレコで負けないように頑張るしかなかったんですけども、私も昨日朝一で映画を見させていただいて、素晴らしいものが出来上がったなと思いました」。

アフレコ現場での思い出を聞かれると「ギルベルトとヴァイオレットの再会シーンは一番最後に収録させていただいたんですけども、音響監督の鶴岡(陽太)さんから『石川が思っているヴァイオレットが正解だから。好きなようにやって』とまかせていただいて。『ただし音(劇伴)も入れないから』と言われてすごいプレッシャー(笑)」(石川)、「ハンカチ持ちながら、涙でグジュグジュになりながらやってらっしゃったので、終わった後はすごい号泣でしたね。ギルベルトが『ヴァイオレット!』と叫ぶシーンがあって、何回もやらせていただいたんですが、使われているテイクは声が裏返ってるんです。裏返ってないバージョンもあったんですが、どちらを使うかはお任せしました」(浪川)。

監督は「鶴岡さんは『芝居として上手い物ではなくて感情が乗っている方、気持ちが乗っている方を多少絵と合わなかろうが使う』とおっしゃってくださっているので。僕も絵を作る立場として、芝居がズレているのなら絵のほうを直そうと思っていました」と語ると、石川・浪川は「ありがたいですね、嬉しいです」と感激していた。

主題歌「WILL」の書き下ろし秘話として「TVシリーズから始まって、本当に皆さんがヴァイオレットを愛してくださっているというのを実感していたので独りよがりの曲を作るのではなくて私たち作品に関わる者みんな、応援してくださっているお一人お一人の意思とか想いとかをしっかり乗せた楽曲を制作しなければならないという気持ちでした。サウンド面では劇伴を担当されていた Evan Callさんにお願いしたんですが、全員の総意で今回の主題歌は作品の世界を飛び出してきた、劇伴の延長のような作品の世界そのままに楽しんでいただける曲がふさわしいのではないかと思ったので、より作品と寄り添いながら作ることを意識しました。結果すごく壮大なんですけども人の心にそっと寄り添うような、優しくノスタルジックな楽曲に仕上がったのではないかなと思っています」。

石川は「エンディングの曲が流れるだけで胸がいっぱいになってしまうというか。TRUEさんの歌声はTVシリーズの主題歌『Sincerely』からずっと聴いてきているので、最後にふさわしい曲だなって思いました」と語ると、TRUEは「今回『Sincerely』から始まって、私たちみんなの希望になっていた「みちしるべ」を経て、「WILL」そして「未来の人」へと繋がっていくっていう、こんなに音楽を大切に思ってくださるキャストの皆さん、スタッフの皆さんと一緒にものづくりができたことがすごく誇りですし、すごく感謝しています」と語った。

注目ポイントとして石川があげたのは「デイジーが C.H郵便社に出向いた時、飾ってあった写真に外伝に出ていたテイラーがちゃんと写ってた!物語がちゃんと続いてみんな生きてたんだなあと感じられたので、そういう細かいポイントも見ていただけたらと思います」。

監督は、「C.H郵便記念財団 郵便博物館にデイジーが訪ねていったときにいた老婆。あれは C.H 郵便社の受付で働いていたネリネです。実はデイジーが声をかけたときに居眠りしてるんですよ。そういう細かいところのお芝居も絵を描く人たちが頑張って作っています」と語っているので、ぜひ細部に渡ってヴァイオレット・エヴァーガーデンの世界を楽しんで欲しいです。

最後に「今回の男性女性年齢関係なく皆さんに希望を与える作品になっていると思います。僕の中でもすごく大事な作品ですし、こういう作品は何年、何十年たっても色褪せないものだと思っています。メッセージもとても大事なものだと思います。これから先、“ヴァイオレット・エヴァーガーデン”が皆さんの心の中に居続けていただけたら嬉しいなと思います」(浪川)。

「改めてキャスト・スタッフ、みんなヴァイオレットのこと大好きですし、お客様の温かい拍手をいただいて“こんなに愛されているんだよ“ということをヴァイオレット に伝えたいなと思いました。今回この劇場版にはヴァイオレットの生涯とともに、私たちの想いも刻まれていると思いました。皆様の心にいつまでも残る作品になることを祈っています」(石川)。

「大切な人、支えてくれる人、自分のことを大事に思ってくれる人・・・皆さんそれぞれおられると思うんです。この映画を見てそれぞれ大切な人のことを思い返していただいて、自分が今大切な人に伝えるべきことを伝えているのか、見終わった後に思っていただけるような作品になっていたらいいなと思っています」と監督が語ると客席からは大きな拍手が湧き上がった。

『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の詳細は公式サイトにて。

(C)暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会