民放キー5局の10月改編情報が18日、出そろった。視聴率調査のリニューアルに伴うターゲット戦略により、お笑い純度の強いバラエティ番組が次々にレギュラー昇格し、中でもお笑いコンビ・千鳥の躍進が目立っている。この潮流をどのように捉えているのか、各局の編成責任者に聞いてみた。

  • 『千鳥のクセがスゴいネタGP』 (C)フジテレビ

■ゴールデンのお笑い番組に大悟「いい流れ」

各局では、広告主のニーズが高い層に向けた番組作りを進めるためターゲットを明確化。日テレは13~49歳を「コアターゲット」、TBSは13~59歳を「ファミリーコア」、フジは13~49歳を「キー特性」と名付け、今やこの層の数字を最重視している。このターゲット層に支持を受ける傾向にあるのが、お笑い番組だ。

フジテレビは、特番で2回放送した『千鳥のクセがスゴいネタGP』(木曜21:00~)をスタート。同局の改編説明会にVTRで登場した千鳥のノブは「(特番の)1回目が終わった後に絶対レギュラー番組でやりたいなと思ってたんですが、僕が想像していたのはド深夜です」と驚いたが、大悟は「でもいい流れじゃないですか。こういうバラエティがちょっと早めの時間から見れる時代がもう1回来るというのは、本当にうれしい限りです」と喜びをコメントした。

齋藤翼編成部長は「(特番では)若年層を中心とする視聴者の皆さまの多くに支持を頂くことができました」と説明。キー特性の考え方について、「これからのテレビ番組の広告価値を維持をしていかなくてはいけないと考えております」とした上で、「今までと変わらず、幅広い層の方々に見てもらわなければいけないという方針は変わっていません」と強調している。

■“オールターゲット”のテレ朝も若年層重視

千鳥はテレビ朝日でも、深夜の冠番組『テレビ千鳥』がプライム帯(日曜22:25~)に昇格。ノブは、弘中綾香アナウンサーとタッグを組む『ノブナカなんなん?』(土曜22:25~)もレギュラー化される。

テレ朝の土日22時台には、『あざとくて何が悪いの?』(土曜21:55~)、『爆笑問題&霜降り明星のシンパイ賞!!』(日曜21:55~)も編成され、新たなバラエティゾーンを構築するほか、深夜に若手スタッフが手がける20分枠のバラエティを一挙14番組スタート。

榊原誠志総合編成部長は「テレビ朝日としては、基本的にはオールターゲットに向けた番組制作を努めております」とした上で、「土日の22時台の4番組を中心に、若年層の皆さんにお楽しみにいただけるコンテンツを数多く取りそろえていければと考えています」と話した。

  • (C)テレビ朝日

■小幅改編のTBS&日テレ、4月新番組に成果

TBSは今回、ドラマ以外でGP帯の新番組はないが、4月に月曜を大きく改編した。その中でスタートした千鳥がメインを務める『クイズ!THE違和感』(月曜20:00~)は、解答者の大喜利的なやり取りや「ノブ違和感」といった斬新な企画が人気で堅調に推移し、Twitterでは毎回トレンド入り。10月5日(19:00~22:00)、同12日(19:00~21:00)に、2週連続でスペシャルを編成する頼れるコンテンツになっている。

日本テレビも今回は大きな改編はないが、4月には、それまで深夜の単発で放送してきた『有吉の壁』を、水曜19時という浅い時間枠でレギュラー化させるというチャレンジングな編成で成功。田中宏史編成部長は「水曜の19時で一定の支持をいただいているというところは、本当にうれしいと同時に感謝しています」と評価した。

テレビ東京は、深夜25時台で3年半にわたって放送してきた『勇者ああああ~ゲーム知識ゼロでもなんとなく見られるゲーム番組~』が、まさかの週末プライム帯(土曜22:30~)に昇格。大庭竹修編成部長は「eスポーツを応援していこうと全社を挙げておりますので、ゲーム業界やファンの方々との接点を増やしていきたい」と狙いを説明した上で、「もともと力を入れてやるような番組でもないので(笑)、ゴールデン仕様にしなくてもいいと思っています。あの空気感を大事にしてもらいたい」と現場に要望した。