ゴーレム効果とは、周囲からの低い期待度が、その人のパフォーマンスに悪い影響を及ぼすことを表す心理学用語です。なかなか聞き慣れない言葉でもあるため、詳しい内容を知らない人も多いでしょう。

今回はゴーレム効果の意味や由来の他、ゴーレム効果に陥らないようにするために、指導される側と指導する側の双方の対処法を詳しく解説していきます。ハロー効果、ピグマリオン効果についても紹介します。

  • ゴーレム効果の概要と対処法

    ゴーレム効果とは何かや、対処法について解説します

ゴーレム効果とは? 意味や由来を解説

ここでは、ゴーレム効果自体の意味や成り立ちを解説していきます。

ゴーレム効果の意味

ゴーレム効果とは、周囲の期待度が低いときに、それに比例してその人のパフォーマンスが著しく低くなることを言います。

人は無意識に、周囲の期待に応えようとする傾向があります。後述するように高い期待度に応えて高いパフォーマンスを発揮する「ピグマリオン効果」もあれば、期待値が低い接し方をされてしまうと、その期待の低さに誘導されて成績が下がったり素行が悪くなったりする「ゴーレム効果」があるのです。

ゴーレム効果に陥った人の状態とは

ゴーレム効果に陥ると、自己否定感を強めて、物事を投げ出したい気持ちになったり、意味もなく悲しい気持ちになったりしてしまいます。

ゴーレム効果が顕著に表れる場所が学校です。また、職場や子育ての場でも起こります。

提唱者・教育心理学者 ロバート・ローゼンタール氏の行った実験内容

ゴーレム効果は1960年代に、アメリカの教育心理学者であるロバート・ローゼンタール氏が提唱しました。

実験内容としては、あるクラスに知能テストを行い、成績の良い生徒のクラスと成績の悪い生徒のクラスに分けた後、教師には逆のことを伝えました。それを信じた教師たちが指導をした結果、期待度と比例するような結果が出たのです。

この実験で「ゴーレム効果」の存在は肯定され、知られていくようになり、人為的要因でパフォーマンスが左右されることが分かりました。

名前の由来は?

ゴーレム効果は、ユダヤ教に伝わる泥人形の物語が由来になっています。ちなみに、ゴーレムとはヘブライ語で「かたちなき者」という意味があります。

ゴーレムは意思がなく、主人の操るまま動きます。しかし、額に描かれている文字の一部を消すことでただの泥に戻ってしまいます。この様子から、他からの言葉や態度で力を発揮できなくなってしまうというゴーレム効果に重ねられたのです。

自分がゴーレム効果に陥らないための方法

ゴーレム効果は、指導する側と指導を受ける側の関係で成り立っています。

そのため、影響を受けない、与えないためには両方からの対処法を知っておくべきでしょう。ここからは、指導を受ける側の対処法についてご紹介していきます

  • ゴーレム効果に陥らないための対処法

    自分がゴーレム効果に陥らないための方法を解説します

方法1:心の休息をとる

精神的にも身体的にも、疲労がたまっていると冷静な判断がしづらくなってしまいます。そうするとゴーレム効果に陥りやすいのです。

少しでも「期待されていないからやる気が出ない」と感じたときは、しっかりと睡眠や入浴時間、趣味の時間を確保する等して休むようにしましょう。

そうすることによって心に余裕ができ、冷静な判断ができるようになってゴーレム効果に陥りにくくすることができます。

方法2:低いハードルを設定する

ゴーレム効果に陥らないために重要なことは、自己肯定感を高めることです。そこで効果的なのが、ハードルを下げた目標を設定することになります。

簡単な内容の目標から達成することで、自己肯定感を養います。そうすることによって、自信がついていき、「ゴーレム効果」に陥りにくくすることができます。

方法3:自分に期待する

自分への評価を自分が責任をもって行うのと同様に、他人への評価も他人が自ら行うものです。指導する人間が、他人に期待をあらわにしていたとしても、それを理由にパフォーマンスを左右させる必要はありません。

自分に対して、自分を前向きにさせる思考や言葉をかけましょう。そうすることで、高いパフォーマンスを維持することができ、ゴーレム効果に陥りにくくすることができます。

他人をゴーレム効果に陥らせないための方法

ゴーレム効果とは、指導する側と指導を受ける側の関係で成り立っています。前項では指導を受ける側の対処法をご紹介していきました。

こちらでは、逆に指導する側として気を付けたい、あるいは心がけたいことをご紹介していきます。

方法1:相手に期待する

ゴーレム効果に陥らせないための方法としての最初の一歩が相手に期待をすることです。

ゴーレム効果の提唱者、ロバート・ローゼンタール氏が実施した実験からもわかる通り、他人の評価がパフォーマンスに影響を及ぼすことがあります。自分での対策でも出ていたように、自分から他人に期待すれば、同じ効果が望めます。

しかし、自分が指導する立場ですから注意しなければならないシーンも出てくるでしょう。その時は、言葉遣いに気を付けてきちんとその真意を相手に説明するように心がけるのも肝心です。

方法2:ネガティブに他人を評価しない

これは子育て、特に小さい子供の頃からやっておくべき対処法です。相手にとって、ネガティブな評価ばかりではなく、相手の悪い部分も良い部分も両方取り上げる言葉選びが大切です。

特に小さい子供にネガティブな評価ばかりしてしまうと、子どもの脳に悪影響を及ぼす可能性があるので注意が必要です。他の場面でも、信頼関係が構築できるまでは悪いところに目をつぶり、良いところだけに目を向ける努力をしましょう。

方法3:相手にチャンスを与える

どうしても叱らなければならない、あるいはネガティブな評価をせざるを得ない場面がありますが、必ず挽回できるチャンスも用意してあげましょう。

失敗したまま挽回のチャンスがないと、その人の評価は悪いままで終わってしまいます。その結果、ゴーレム効果に陥ってしまいます。だからこそ、悪い評価を覆すチャンスを与えて相手のモチベーションを高める必要があります。

方法4:相手を褒める

相手を批判ばかりしていると、ゴーレム効果を引き起こし、相手のパフォーマンスが下がり、周りの環境にまで悪影響を及ぼす可能性があります。

相手のパフォーマンスを上げるには、相手を適切なタイミングで褒めることも大切です。

また、信頼を高めることにもつながります。「自分を正当に評価してくれる人だ」と感じれば、今後改善するために注意や批判も真正面から受け止めて役立てようと努力することへつなげやすくなるからです。

ゴーレム効果と「ハロー効果」「ピグマリオン効果」の違い

ここまではゴーレム効果、およびその対処法についてご紹介してきました。

ここからはゴーレム効果とは、似て非なる心理学的効果である「ハロー効果」と「ピグマリオン効果」を簡単に説明していきます。

  • ハロー効果、ピグマリオン効果とは

    ゴーレム効果と深い関りがある、その他の心理的効果についても紹介します

ハロー効果とは、肩書などに惑わされて相手を過大評価すること

ハロー効果とは、ある人物を評価する際に、肩書や外見といったわかりやすい特徴に引っ張られてその人を過大評価してしまいやすいという効果です。

ハロー効果の「ハロー」とは後光や光輪、光背や栄光といった意味です。

ハロー効果は後述するピグマリオン効果に近い性質を持っています。ハロー効果を有効に使うことができれば、ゴーレム効果に陥りにくくなります。

ピグマリオン効果とはゴーレム効果とは逆に、高い期待に応え成果が向上すること

先ほども少し触れたように、ピグマリオン効果とは、ゴーレム効果と対になる効果です。

ピグマリオン効果が「相手の期待に由来して、自分のパフォーマンスが上がり、期待に応えていく」ものであるのに対し、ゴーレム効果は「低い期待値が、実際の成果にもネガティブに作用する効果」として、提唱されました。

ビジネスシーンで能力を発揮できるよう、ゴーレム効果への対策をしよう

ここまでゴーレム効果の意味や対処法のみならず、似て非なる心理学効果について触れていきました。

この記事を読んで、周囲の人をゴーレム効果に陥らせていたり、自分自身がゴーレム効果に陥りそうになっていたりするかもと思い当たる節があったかもしれません。その際は、上記でご説明した解決法を試してみたり、ハロー効果やピグマリオン効果もうまく活用してみたりしましょう。