JR西日本は11日、京都駅にて「WEST EXPRESS 銀河」の出発式を実施した。初運行となった下り列車は京都駅を21時15分に発車し、山陽本線・伯備線・山陰本線経由で翌朝、終点の出雲市駅へ。9月12~13日に出雲市発大阪行の上り列車が運行される。

  • 京都駅長の合図とともに「WEST EXPRESS 銀河」が発車(写真はすべてJR西日本提供)

近郊形電車117系1編成(6両編成)を改造した新たな長距離列車「WEST EXPRESS 銀河」は当初、2020年5月8日の運行開始を予定していたが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大などの影響を受け、運行開始時期が延期に。空気清浄機の搭載、抗ウイルス・抗菌加工の実施、自動換気装置による車内換気など感染症対策を施した上で運行開始することが決まり、9~11月は山陰方面、12月以降は山陽方面へ運行すると発表されていた。

「WEST EXPRESS 銀河」のきっぷは当面、日本旅行が企画・実施する旅行商品に限定して販売される。JR西日本は上下初便の抽選倍率を公開しており、9月11日に京都駅を発車する下り初便の抽選倍率は53倍、9月12日に出雲市駅を発車する上り列車の抽選倍率は27倍だったとのこと。運行初日の9月11日、京都駅31番のりばにて出発式が行われ、デザイナーの川西康之氏をはじめ、鳥取県・島根県やJR西日本の関係者らが出席した。

  • 「WEST EXPRESS 銀河」が京都駅に入線

  • 京都駅31番のりばで出発式。デザイナーの川西康之氏が挨拶した

デザイナーの川西氏は挨拶の中で、「WEST EXPRESS 銀河」を「『遠くへ行きたい』を実現する電車」と表現。「銀河では気軽にご利用いただけるよう、お客様のさまざまなニーズにお応えする多様性にあふれた車内設備を実現しました。銀河の一番のご馳走は、西日本の美しい景色と、車内や停車駅での人間味あふれる会話です。目的地まで時間たっぷり、お楽しみください」と述べた。

同列車の企画検討は3年前の春から始まったとのことだが、「このような世の中になるとは、誰も想像することはできませんでした」と川西氏。「鉄道はいま、人口減少社会とコロナ禍において、将来性が試されています。未来の鉄道はお客様のみならず、地域の皆さまに支えていただき、ともに地域が元気になる、私はこれがベストだと思います」と述べた。出発式の中で、「WEST EXPRESS 銀河」の山陰方面への運行にあたり、鳥取・島根両県がそれぞれ地域の魅力を感じられるおもてなしを行うことも紹介された。

  • 鳥取県・島根県とJR西日本の関係者も出発式に出席

  • 「WEST EXPRESS 銀河」の発車を見送る

「WEST EXPRESS 銀河」は21時15分、駅長の合図とともに京都駅を発車。一夜かけて山陰方面へ走行し、翌朝の9時30分すぎ、出雲市駅に到着したことが報じられている。9月12~13日に運行される上り列車は、出雲市駅を16時0分に発車。山陰本線・伯備線の宍道駅、玉造温泉駅、松江駅、安来駅、米子駅、根雨駅、備中高梁駅に停車し、翌朝の5時46分に神戸駅、5時50分に三ノ宮駅、6時12分に終点の大阪駅に到着予定となっている。