トランザクションとは、プログラミングやデータベースの活用など、ビジネスでIT用語として使われる言葉のひとつ。商取引や売買、議事録などの意味を持つ英単語「transaction」がもととなっています。また、互いに関わりがある複数の処理を一度にまとめて行いひとつの処理とすることをあらわす場合に使われる言葉です。

本稿では、トランザクションの意味や使われるシーン、語源について解説していきます。また、実際にどのような処理で使われるのかも例示しました。特に仕事でデータベースを活用する機会がある人なら、覚えておいて損はない言葉です。ビジネスで役立てるためにも、「トランザクション」が意味する内容をしっかり理解していきましょう。

  • トランザクションとは

    トランザクションとは

トランザクションとは

まずはトランザクションの意味をしっかりと押さえておきましょう。

ビジネスにおけるトランザクションの意味

一般的なトランザクションは、IT分野で使われるケースが多いです。その意味としては「互いに関連・依存する複数の処理をまとめ、一体不可分の処理単位として扱うソフトウェアの処理方式」です。

トランザクションでは複数の処理をまとめて行います。一連のすべての処理が問題なく行われた場合にだけ「成功」とみなされ、どこかに問題があった場合には「失敗」とみなされます。処理がうまくいったかどうかがすぐにわかるので、パフォーマンス評価などに使われます。

DB(データベース)におけるトランザクション処理とは

上記のトランザクションによる処理「トランザクション処理」は、処理の一貫性を持たせるためデータベースにおいて活用されており、データの整合性を保つため非常に重要視されています。

トランザクション処理の例としてわかりやすいのが「銀行口座からの引き出し」です。これは「預金残高から一定の金額を引き出す」という処理と「引き出した金額分を預金残高から減らす」という処理が連動して行われています。

トランザクション処理が行われていないと、仮に引き出しを行った時点でシステム障害が起こった場合、引き出した金額分が預金残高から減らないことになり、データベースとして不具合が出てきてしまいます。このような事態を避けるためにトランザクション処理が有効なのです。

トランザクション処理の例

トランザクションの意味や概念を紹介しても、実際にどう活用するのかはイメージしにくいものです。そこで、上述の銀行口座での一例を用いて、トランザクション処理の流れをわかりやすくご紹介します。

事例:田中さんの銀行口座から佐藤さんの口座へ5万円振り込む

1. 田中さんの銀行口座に5万円があることを確認する
2. 田中さんの銀行口座から5万円を減らす
3. 佐藤さんの口座に5万円を加える
※日時指定がある場合やメッセージを追加する場合など、さらに処理が加わることもあります。

このとき、1から3のいずれかの処理がうまくいかないと、全体の処理がキャンセルとなり、一部だけが実行されることはありません。

トランザクションにより一度に行いたい処理を同時制御でき、商取引などの複雑な処理もスムーズにできるようになります。また、データベースなどを活用して複雑な処理を行わなくてはならない場合にも、トラブルが少なく済みます。

  • 「トランザクション」処理の例

    トランザクション処理の例

トランザクションの語源

トランザクションという言葉は英語を由来としています。ここでは、トランザクションの語源や意味、例文などについて解説していきます。

英語「transaction」の意味

トランザクションの語源である英語の「transaction」は、複数の意味を持つ名詞です。transactionには下記のような意味があります。

  • 処理、処置、取り扱い(不可算名詞)
  • 取引、売買、業務(可算名詞)
  • 議事録、会報(複数形で使用)

IT用語として使われるトランザクションの語源となっているのは、「処理」の意味です。いずれもビジネスシーンで使われる機会がある言葉なので、覚えておくといいでしょう。

英語「transaction」の例文

「transaction」はビジネスシーンでも使われる機会が多いので、言い回しとともに覚えておきましょう。以下、代表的な使い方をご紹介します。

  • transaction agreement(売買契約)
  • transaction balance(取引残高)
  • transaction between banks(銀行間取引)
  • the transaction of business(事務処理)
  • an electronic transaction system(電子取引システム)

transaction類義語

「transaction」にはいくつかの類義語があります。

  • dealing(商取引、売買)
  • group action(数学における群作用)
  • commerce(商取引)
  • affairs(経済活動)
  • trading operations(証券会社での金融取引)など

なお、「transaction」という単語が何を意味するのかによって対応する類義語が異なるため、ご注意ください。

トランザクションの類義語

「トランザクション」は英語由来の言葉なので、相手によっては意味が通じず、うまく説明できないこともあります。トランザクションと似たような意味で使える類義語をご紹介します。

  • 取引
  • 売買
  • 商取引
  • 商売
  • 取り回し
  • 交渉

ITや英語が苦手な人に説明する場合は、上記のような言葉を織り交ぜながら説明すると、理解してもらいやすいでしょう。


「トランザクション」とは、お互いに関連ある複数の処理を、まとめて行いひとつの処理とすることをあらわす言葉です。由来は商取引や売買、議事録などの意味を持つ英単語「transaction」。データベースを活用する時やプログラミングなどで関わりの深い言葉です。

トランザクションの結果は「成功」か「失敗」しかありません。処理のどこかが失敗してしまえば結果は失敗となり処理はキャンセルされ、余計な処理をされる心配がないことが強みです。

本稿ではトランザクションの概要や内容、語源とともに実際の処理例もご紹介しました。ビジネスで必要な教養として覚えておくといいでしょう。