社会人になると、これまで聞き慣れなかった言葉を耳にする機会が増えてくるもの。飛行機や電車での出張、旅行でよく使われる「トランジット」もそのひとつです。正確な意味を理解していない方もいるでしょう。

本記事では、トランジットの意味や語源、類義語を解説していきます。さらにトランジット中の過ごし方やトランジットの際に気を付けておくべきポイントはじめ、実際にトランジットをする際に役立つことも紹介します。

トランジットとは

国語辞典によると、トランジットには主に3種類の意味があります。一番よく使われる意味が、飛行機で給油等のために一時的に他国の空港に立ち寄ることです。

  • トランジットとは乗り継ぎを意味するカタカナ英語

    トランジットとは乗り継ぎを意味するカタカナ英語です

トランジットの英語表記

カタカナ英語である「トランジット」の語源となるのは、英語の「transit」です。

通過や通行、空港や駅での乗り継ぎをはじめ、変化や死去、輸送といった意味でも用いられます。名詞の他に形容詞や動詞としても使われており、柔軟に使える言葉です。

飛行機の乗り継ぎで主に使われる

トランジットという言葉を一番よく使うのは、国際便に搭乗する時でしょう。 飛行機で目的国に行く途中、給油や点検の必要が生じ、一時的に他国の空港に立ち寄ることがあります。その際、乗客は基本的には空港外に出られませんが、宿泊が必要な場合にはトランジット・ビザが発行されます。

トランジットモールとは

トランジットの派生語として使われるようになった「トランジットモール」とは、移動を安全で快適なものとするために、バスや路面電車などの公共交通機関を活用する方法です。

市街地や人が集まるエリアの商店街を、歩行空間(モール)として整備しつつ、公共交通機関(トランジット)だけを通行させるため、このように呼ばれます。

IT用語としてのトランジット

「トランジット」は、IT用語としても使われることがある言葉です。IT用語においてトランジットは、プロバイダーがお互いにネットワークを接続する方法のひとつで、大規模なプロバイダーが小規模なプロバイダーに、経路情報を有償で提供し、パケットを中継することを表します。

トランジットの類語

トランジットと似たような状況で使われる、いくつかの言葉があります。ここでは、トランジットの類語を紹介していきます。

  • トランジットと類義語

    トランジットと類義語

トランジットとトランスファーの違い

トランスファーとは英語の「transfer」のことです。トランジットの類義語としては乗り継ぎや乗り換えという意味があります。トランジットの場合、基本的に同じ飛行機への乗り継ぎを表しますが、トランスファーの場合は別の飛行機への乗り換えを指すことが多いです。

ただし最近では、トランスファーも含めてトランジットと呼ぶことも増えています。

トランジットとストップオーバーの違い

トランジットの際しばしば耳にする言葉「ストップオーバー」とは、トランジットの中継地点で24時間以上滞在することです。

例えば「成田~ドバイ経由~ローマ」というフライトスケジュールの場合に、ドバイでの滞在時間が24時間以上あるとしたら、「ドバイでストップオーバーした」ということになります。

トランジット中の過ごし方

トランジットでは目的地ではない都市に立ち寄ります。これまでトランジットの経験がない方は、どのように過ごすべきなのか気になることも多いでしょう。

  • トランジット中の過ごし方

    トランジット中の過ごし方

機内で待機する

トランジットでは機内食や燃料の補給、機体の整備点検が行われ、空港に立ち寄る時間は30分~1時間程度という場合が多いです。搭乗便によりどう過ごすかは異なりますが、短時間であるため機内で待機する便もあります。

空港内のトランジットルームで過ごす

搭乗便によっては、空港内のトランジットルームで過ごすように求められることもあります。飛行機を降りる際には、再登場に必要なトランジット・カードを受け取る必要があります。また、万が一に備えて手荷物を持ち出すか、貴重品だけは身に付けて外に出るなど、移動の際には注意しましょう。

飛行機でトランジットする時の注意点

トランジットで一旦機外に出る場合、いくつか気を付けておくべきポイントがあります。

  • 飛行機でトランジットする時の注意点

    飛行機でトランジットする時の注意点

貴重品は必ず持って機外へ出る

トランジットを行うのは外国であり、日本ほど治安がいいとは限りません。盗難に遭うリスクを避けるためにも、貴重品や手荷物はできるだけ手元に持った状態で機外へ出ると安心です。

トランジット・カードを無くさないよう気を付ける

トランジットで一旦機外に出る場合、再搭乗にはトランジット・カードが必要です。搭乗客に発行されるカードであり、飛行機を離れる際には、パスポートや貴重品とともに、持っていることを確認してから機外に出るようにしましょう。

荷物の預け直しが必要かどうか確認

短時間で同じ飛行機に乗り継ぐトランジットでは、基本的に荷物の預け直しは必要ありません。しかし、飛行機を乗り換える場合や24時間以上滞在するストップオーバーの場合、荷物の預け直しが必要となります。

自分の乗る飛行機がどのケースに当たるのかを事前によく確認しておき、荷物の受け取り忘れがないよう注意してください。

トランジット・ビザが必要か確認

トランジットで目的地と異なる国に滞在する場合、滞在する国によっては通過査証(トランジット・ビザ)が必要です。空港内だけ等滞在可能なエリアが限られていることもあります。必要に応じてあらかじめ、手配しておきましょう。

乗り継ぎ口を確認

トランジットで機外に出る場合、降りた場所と次に搭乗する場所が異なることが多いです。直前になって慌てないよう、乗り継ぎ口を必ず確認しておきましょう。

乗り遅れないよう注意

トランジット中に空港内の店を見回っていると、つい時間を忘れてしまいがちです。乗り継ぎの時間は意外とすぐにやってくるため、時間に注意し乗り遅れないよう気を付けましょう。

トランジットをスムーズに行い快適に旅しましょう

国際線の飛行機に乗る際、点検や給油で一時的に第三国に立ち寄るトランジット。短い時間ではあるものの、日本とは事情が異なる地で過ごすことになるため、トランジット・カードの受領をはじめ、貴重品の管理など、気を付けておくべき点は多いです。

また、トランジットのつもりでいたらトランスファーやストップオーバーだった、ということもよくあります。国際線の乗り換えで荷物の預け直しが必要か、トランジット・ビザが必要かなど、必要な点をあらかじめ確認した上で飛行機に搭乗することが大切です。

旅行や出張で、本来の目的に集中するためにも、トランジットで必要なことをあらかじめ理解した上で、トラブルなく搭乗できるよう心がけましょう。