公的な書類などでよく見掛ける「続柄」。日常的にも使われる一方で、正しい読み方や意味が理解できていなかったり、書類による使い分けができていなかったりするケースも少なくないようです。そんな続柄について、詳しくご紹介します。

  • 続柄について正しく理解しましょう

    続柄について正しく理解しましょう

続柄の意味や読み方とは

続柄は日常的に使われる言葉なので、多くの方が耳にしたことがあるでしょう。しかし、その正確な意味や使い方についてははっきりとわからないという方もいるようです。

ここでは続柄の意味やどのようなシーンで使用するのかについてご紹介します。

続柄の意味

「柄」は「人柄」のように、ある物事の性質や状態などを表す言葉です。これに「続」が付くことで、血縁や婚姻関係などでどのようにつながっているのかを表すという意味があります。

続柄は戸籍法の用語の一つでもあり、公的な書類において、世帯主や書類の申告者など、基準となる人との関係性を表す際に使われます。

続柄の読み方は「つづきがら」で、「ぞくがら」は俗な言い方

続柄は正しくは「つづきがら」と読みます。俗に「ぞくがら」と読まれることもあります。普段の会話などであれば「つづきがら」と「ぞくがら」のどちらで読んでも間違いとはされないのが一般的です。しかし、公式な場面や法的な表現をしなければならないシーンでは「つづきがら」と読むようにしましょう。

なお、新聞などでは「続き柄」と表記されることもありますが、公的な書類では「続柄」という表記が正しいので注意しましょう。

  • まずは続柄の意味をしっかり知ることが大切です

    まずは続柄の意味をしっかり知ることが大切です

続柄の書き方【住民票】

ここからは公的書類ごとに、具体的に続柄の書き方をご紹介します。まずは住民票です。

住民票は、引っ越しや1人暮らし、結婚など、生活の拠点が変わるときに移す必要があり、「住民の居住関係を公的に証明」する書類です。

世帯主とは

住民票における続柄は、世帯主を基準とした場合の関係性であることに注意しましょう。

世帯主とはその字の通り、世帯の代表を指す言葉です。住民票などにはその世帯主と家族の関係が表記される形になります。世帯主自身を公的な書類に表記する場合の書き方は「本人」「世帯主」です。

住民票での続柄の一覧

世帯を構成する人 続柄
世帯主 本人・世帯主
配偶者 妻、夫
内縁の夫 夫(未届)
内縁の妻 妻(未届)
夫婦と血縁関係のある子ども
夫婦と血縁関係のない子ども(養子)
配偶者の子 夫の子、妻の子
子の配偶者 子の妻、子の夫
子の子
世帯主の父母 父、母
配偶者の父母 妻の父、妻の母、夫の父、夫の母
世帯主の兄弟姉妹 兄、弟、姉、妹
配偶者の兄弟姉妹 妻の兄、妻の弟、妻の姉、妻の妹、夫の兄、夫の弟、夫の姉、夫の妹

子どもは性別や出生順などを問わず「子」と表記されます。以前は「長男」「長女」「二男」といった形で表記されていました。現在ではプライバシー保護などを目的として、血縁関係のない養子を含め同一世帯内の子どもはすべて「子」と表記されるようになっています。ただし、配偶者の子どもは「夫の子」「妻の子」とされます。

普段の会話の中では配偶者の親を「義父」「義母」と呼ぶことがありますが、住民票などの公式な書類では「妻の父」「夫の母」などと表記する決まりになっているため注意しましょう。

同じく配偶者の兄弟姉妹などについても、普段の会話の中では「義兄」「義弟」「義姉」「義妹」と表現されることがあります。しかし公的な書類では「妻の兄」「夫の姉」などと表記します。

その他、親族で世帯主との続柄を具体的に表記することが難しい人や事実上の養子などを「縁故者」、親族ではないが一緒に住んでいて扶養対象にしたい人を「同居人」などと表記します。

なお、ルームシェアなどで一緒に住んでいる人がいても、それぞれが個別で生計を立てている場合は、お互いに「世帯主」とすることができます。

  • 住民票における続柄は、世帯主を基準とした関係性を表記します

    住民票における続柄は、世帯主を基準とした関係性を表記します

続柄の書き方例の一覧【年末調整】

次は年末調整の扶養控除申告書について説明します。前述の住民票における続柄は、世帯主を基準としていましたが、年末調整では申告者、つまり会社から申告書を受け取った人を基準とした関係性を表記します。特に夫婦共働き世帯などで、世帯主以外の人が書類提出をする際は気を付けましょう。

申告者が世帯主自身(あなた)である場合

記入欄 なんと書くか
世帯主の氏名 あなたの氏名
あなたとの続柄 本人

申告者が世帯主の妻(あなた)である場合

記入欄 なんと書くか
世帯主の氏名 あなたの夫の氏名
あなたとの続柄

申告者が世帯主の夫(あなた)である場合

記入欄 なんと書くか
世帯主の氏名 あなたの妻の氏名
あなたとの続柄

申告者が世帯主の息子(あなた)である場合

記入欄 なんと書くか
世帯主の氏名 あなたの父か母の氏名
あなたとの続柄 父(または母)

よくある間違いとしてしては、申告者が世帯主の妻(あなた)である場合に、自分は世帯主の妻だからと、「あなたとの続柄」欄に「妻」と書いてしまうケースがあります。具体例を挙げてみましょう。

  • 申告者=世帯主の妻(あなた)…マイナビ花子
  • 世帯主…マイナビ太郎
  • あなたとの続柄…夫

「あなたとの続柄」欄にはあくまで、自分から見て世帯主はどういう続柄なのかを書くため、この場合は「夫」とするのが正しいです。もし「妻」としてしまうと、マイナビ太郎さんがマイナビ花子さんの妻であるということになってしまいます。

また年末調整では、扶養控除の対象を記入するときにも、「あなたとの続柄」の記入が必要です。こちらも同様に、あくまで申告者であるあなた本人から見た関係性を書くようにしてください。

続柄の書き方例の一覧【確定申告】

次に、確定申告書について説明します。こちらの続柄は、住民票と同様に世帯主を基準とした関係性を記します。同じ税金関係の書類ではありますが、年末調整と異なるので、混同しないように気を付けましょう。

申告者が世帯主自身(あなた)である場合

記入欄 なんと書くか
世帯主の氏名 あなたの氏名
世帯主との続柄 本人

申告者が世帯主の妻(あなた)である場合

記入欄 なんと書くか
世帯主の氏名 あなたの夫の氏名
世帯主との続柄

申告者が世帯主の夫(あなた)である場合

記入欄 なんと書くか
世帯主の氏名 あなたの妻の氏名
世帯主との続柄

申告者が世帯主の息子(あなた)である場合

記入欄 なんと書くか
世帯主の氏名 あなたの父か母の氏名
世帯主との続柄

こちらもイメージしやすいように具体例を挙げてみます。

  • 申告者=世帯主の妻(あなた)…マイナビ花子
  • 世帯主…マイナビ太郎
  • 世帯主との続柄…妻

確定申告の場合は、年末調整の「あなたとの続柄」と異なり、「世帯主との続柄」を記載する必要があります。申告者であるあなたが世帯主から見てどういう続柄かなので、この場合は「妻」となります。

続柄は正しく表記しなければ公的な書類として受理されなかったり、トラブルの原因となったりすることがあります。このように書類によって誰を基準にするのかがことなるため、続柄について正しく理解し、使い方を間違えないようにしましょう。

  • 続柄は書類によっても書き方が異なります

    続柄は書類によっても書き方が異なります

ちなみに欧米など諸外国では?

日本の戸籍制度は父母の名前や続柄などを含めて家族単位、親族単位で管理していますが、諸外国で同様の制度を取っている国は少ないようです。例えば欧米では、国民一人一人に割り当てられた個別の番号によって、個人単位で出生、結婚、死亡といった民事的な身分関係を管理する形が多く見られます。

戸籍法でも定められている続柄について、正しく理解しよう

続柄は戸籍法で使われる言葉の一つで、正式には「つづきがら」と読みます。現在では俗に「ぞくがら」と読まれることも多く、普段の会話などカジュアルなシーンではこちらの読み方をしてもいいでしょう。

住民票などの正式な書類では、普段の呼び方と表記が異なっているケースも多いため、書き方のルールをしっかりと身に付けておきましょう。

また、住民票、年末調整、確定申告など、書類によって表記のルールが異なることもあるため、書類を作成する際にはよく確認することが大切です。