この秋で放送24年目に突入する日本テレビ系バラエティ番組『踊る!さんま御殿!!』(毎週火曜19:56~)と言えば、明石家さんまとゲストによるトークバトルが名物だ。

一方で、トークテーマを紹介する“ひと言体験談”の再現VTRもファンが多く、4月からYouTubeで配信を開始すると100万再生を超える動画も出てくるなど、反響が出ている。

  • 『踊る!さんま御殿!!』MCの明石家さんま (C)NTV

    『踊る!さんま御殿!!』MCの明石家さんま (C)NTV

■一番人気は「うちの親マジヤバイなと思った時」

視聴者投稿で寄せられた何気ない日常の実話エピソードを、思わずクスッと笑える30秒程度のミニドラマに映像化する“ひと言体験談”の再現VTR。火曜の放送後、翌日の水曜19時にYouTube日テレ公式チャンネルで配信されている。

宮本誠臣統轄プロデューサーは「番組で放送するだけでなく再活用できればと思っていたときに、社内のネット関連部署からYouTubeで配信するという提案があったんです。実は『さんま御殿』の再現VTRは、すでに勝手にYouTubeでアップロードされていて、再生回数もすごかったので、それなら公式でやってみようとなりました」と配信の経緯を明かす。

1つの動画は2~3本のVTRで構成され、どれも2分程度というショート尺がスマホ視聴と相性が良いのに加え、コメント欄の盛り上がりが再生回数に貢献。ユーザーが自らの体験談を投稿し、それに返信が付く形で、まるで再現VTRを受けたスタジオトークのようにやり取りが繰り広げられているのだ。

テレビ局の公式動画は、コメント欄を開放しないケースも多いが、「もともと勝手にアップされていた動画の再生数がなぜ多いのかと思ったときに、コメントを付けてみんなで盛り上がって見ているというのがあったので、だったらそうやって楽しんでもらおうと考えました」(宮本統轄P、以下同)と狙い通りに。また、「そこのコメントの内容のほうが面白かったりすることもありますね(笑)」と苦笑いする。

この結果、4月24日に配信した「うちの親マジヤバイなと思った時」は、140万に迫る再生回数、700を超えるコメント数(8月3日現在)を記録。他の動画と合わせた総再生数は約400万(同)に達しており、「思った以上に早く認識されて、ちょっとビックリしましたね」と、早々に実績が出た。


YouTubeに出すことで再生回数が明確に出るため、「多く視聴されるテーマに関しては、視聴者の方の引っかかりが何かしらあると思うので、テーマ設定の参考として積極的に取り入れていきたいと思います」と構想。また、「テーマによって再生回数が変わってくるので、ディレクターにとっては出し口が増えたこともあり、モチベーションの向上にもつながるのではないかと思います」と期待を寄せる。

過去の名作アーカイブを公開していくことについては、「そういう声がいっぱいあるようでしたら、考えていきたいと思います。全部を出していくというより、“名物キャラ”が出てるものをまとめるとか、MC明石家さんまに関する再現特集をアップするとか、企画的にやっていくのが考えられると思います」と示唆した。

■1テーマに1,000通の応募も

97年10月の初回放送から制作されているこの再現VTR。1テーマあたり1,000通近くある視聴者投稿に担当ディレクターが3日間かけて全て目を通し、映像化したときに面白そうなネタを選定しているという。

「番組を立ち上げたときから携わっている総合演出の小川通仁が、バラエティを担当しながらドラマ制作もやっていた人間なので、この再現VTRは力を入れてやっている部分なんです」と、高いクオリティを担保。

長年放送していると、この短尺でも役者陣がおなじみの顔になっており、「一番有名なのは東間照代さんですね。幸の薄い女性を演じるときは必ず出演していただいてます(笑)。さんま師匠もお気に入りのようです」とのことだ。