国税庁のサイトを見ると、ポイントについては「原則として、確定申告をする必要はありません。」との記載があります。当然、原則があれば例外もあります。
本記事では、ポイ活と税金について、確定申告が必要となる場合を中心に解説します。ポイ活で貯めたポイントはどういった場合に確定申告が必要になるのか、所得区分や、税金が発生するタイミングについても情報を整理しました。確定申告を忘れて脱税と見なされないよう、ポイ活と税金の関係は理解しておきましょう。
ポイ活でのポイントで税金が発生することも
ポイ活で貯めたポイントは、条件によっては税金が発生する場合があります。
では、貯めたポイントは、税法上どのような扱いになり、どういうタイミングで税金が発生するのでしょうか。ポイ活と税金の関係について、事例ごとに確認していきます。
ショッピングで獲得したポイントは「一時所得」
ポイ活で貯めるポイントのうち、商品の購入で獲得できるポイントは、購入した店舗やECサイトからの「贈与」という位置づけです。税法上では、賞金や賞品と同じ扱いとなり、「一時所得」として課税対象です。
例えば、楽天市場やAmazonなどのECサイトでショッピングをしたときや、クレジットカード払いで付与されたポイントは「一時所得」として課税対象です。
一方、「ショップポイント」のように、利用先の店舗から付与されるポイントは、課税対象にはなりません。「ショップポイントを使って値引きを受けたことによる経済的利益は、課税対象ではない」と規定されているためです。
ドラッグストアで商品購入時にとTポイントとショップポイントを両方受け取って、次回購入時に使った場合には以下のような扱いになります。
購入時に使用するポイントの種類 | 課税区分 |
---|---|
Tポイント | 一時所得として課税対象 |
ショップポイント | 「値引き」と見なされるため非課税 |
なお、課税所得として認識されるのはそのポイントを使用する時であるとされています。ポイントを保有しているだけでは課税対象になりません。
ポイントサイトで稼いだポイントは「一時所得」か「雑所得」
懸賞やアンケート、サービス申込みといった、ポイントサイトで獲得したポイントは、サイトの種類に応じて所得区分が異なります。
ポイントサイトの種類 | 所得区分 |
---|---|
臨時的なもの(例:懸賞) | 一時所得 |
対価性のあるもの(例:アンケート、サービス申込み) | 雑所得 |
ポイ活で税金が発生するタイミングは現金化だけではない
「ポイ活で税金が発生するタイミングは現金化のときのみ」という文言を目にすることがあるかもしれませんが、その言葉は正確ではありません。
正確に言えば、獲得したポイントを「使用したとき」すべてが、所得として課税されるタイミングです。つまり、お金だけではなく、商品券や物品に交換したタイミングで使った分のポイントは課税対象となります。
一定以上の所得を得た場合は確定申告が必要
一時所得となるポイントも、雑所得となるポイントも、一定以上の金額を超えた場合は確定申告しなければなりません。そのため貯めたポイントと使ったポイントの整理が必要です。
しかし、貯まったポイントの分類と、1年間の使用ポイント数を把握している人は少ないのではないでしょうか。
そこで、次にポイ活で使ったポイント数を把握するための方法について説明します。
ポイ活で使ったポイントから税金を計算する前準備
ポイ活で獲得したポイントに対して税金がかかるかどうかを知るためには、所得別に使用したポイント数の計算が必要です。ここからは具体的な計算手順について説明します。
1年間で使った一時所得・雑所得の総ポイントを計算
まずポイントの種類を一時所得と雑所得で分け、それぞれ1月から12月までの1年間に使用したポイント数をそれぞれ合計します。計算例は以下の通りです。
所得の種類 | ポイント種別 | 利用ポイント額 1月1日~12月31日 |
合計額 |
---|---|---|---|
一時所得 | 楽天スーパーポイント | 50,326円 | 124,622円 |
Tポイント | 74,296円 | ||
雑所得 | モッピー | 120,783円 | 275,009円 |
ワラウ | 154,226円 |
※金額はポイントを金額換算して求める
家計簿アプリの中には、マネーフォワードのようにポイントプログラムやポイントサイトと連携しているものがあり、とても便利です。使用しているポイントプログラムと連携すると、1年間の使用ポイント数が把握しやすくなるので、ぜひ活用をおすすめします。
ポイントを得るための経費を計算
次に、ポイ活を本業もしくは副業の一貫として本格的に行う場合の経費について考えていきます。
ポイントを獲得するためには、パソコン代や通信費、インターネットプロバイダ料金といった費用が必要となる場合があります。また、ポイ活を学ぶために書籍を購入したり、メモ帳や家計簿を使っていたりする場合もあるかと思います。こういった代金は経費に計上できます。
経費の計算例は以下の通りです。
経費の種別 | 経費の計算方法 | 経費 |
---|---|---|
地代家賃 | ポイ活に必要な自宅面積を20%として計算 家賃60,000円×0.2×12カ月 |
144,000円 |
パソコン代 | パソコン90,000円のうちポイ活30% 90,000円×0.3 |
27,000円 |
通信費 | 通信費月額合計12,000円のうちポイ活30% 12,000円×0.3×12カ月 |
43,200円 |
書籍代 | 合計4,000円 | 4,000円 |
家計簿アプリ代 | 月額980円のうちポイ活利用20% 980円×0.2×12カ月 |
2,352円 |
合計 | 220,552円 |
家賃やパソコン代を経費に算入する場合、100%ポイ活に使用しているとは言えないので、家事按分が必要です。ポイ活に使用している時間分をパーセンテージで出して、計算例のような形で経費を計算しましょう。なお、何が経費に該当するかの判断は難しい場合も多いものです。不明なときや迷ったときには自分だけで判断せず、最寄りの税務署で相談しましょう。
経費を計算したら、一時所得と雑所得で経費を按分します。この例では、ポイントサイトでの活動は時間や手間がかかるものと考え、按分を一時所得40%、雑所得60%と仮定しました。
経費を算出できたら、いよいよポイントの年間所得を計算できます。
総ポイントから経費をマイナスして年間所得を算出
ここまできたら、最初に計算した1年間の利用ポイント金額から、1年間にかかった経費をマイナスして、年間所得を計算しましょう。
所得別 | 1年間の利用ポイント額 | 1年間にかかった経費 | 年間所得 |
---|---|---|---|
一時所得 | 124,622円 | 220,552円×0.4=88,220円 | 36,402円 |
雑所得 | 275,009円 | 220,552円×0.6=132,331円 | 142,678円 |
このように進めていくことで、年間所得を算出できます。年間所得が計算できたら、実際に確定申告が必要かどうかを、収入の種類別に見ていきましょう。
ポイ活で税金が発生・確定申告が必要な条件~給与所得者編
給与所得者は、基本的に確定申告は不要です。しかし、ポイ活で1年間に使用したポイント数を元に年間所得を算出し、一定金額を超えた場合は確定申告が必要になります。
給与所得者が確定申告しなければいけないケースについて、順番に見ていきましょう。
一時所得が年間50万円を超えた
一時所得が年間50万円を超えた場合、確定申告が必要です。一時所得には、特別控除額が50万円設定されているため、50万円までは税金がかかりません。ポイ活で稼いだポイント数だけなら、必要経費を差し引くと、50万円には届かない人の方が多いでしょう。
しかし、他の一時所得(例:競馬や競輪の払戻金、生命保険の一時金)と合算して50万円を超える場合は、確定申告は必要になりますので注意してください。
雑所得が年間20万円を超えた
給与所得者の場合、雑所得は年間20万円を超えると確定申告が必要です。必要経費を差し引いても20万円を超えるようなら、確定申告の準備をしましょう。
別の理由で確定申告する
給与所得者のうち、給与だけで年間収入が2,000万円を超える方や、医療費控除や住宅ローン控除を利用する方など、ポイ活とは別の理由で確定申告が必要な場合は別です。この場合、一時所得や雑所得も金額に関係なく申告する必要がありますので、忘れず計算しておきましょう。
ポイ活で税金が発生・確定申告が必要な条件~個人事業主編
続いて、個人事業主の方も詳しく見ていきましょう。
本業で確定申告している
本業で確定申告を出している個人事業主は、一時所得や雑所得の金額にかかわらず、確定申告が必要です。給与所得者と同様に、雑所得や一時所得以外の理由で確定申告をする場合、必然的に一時所得や雑所得も届けなければいけません。
本業と合わせて年間48万円以上の所得がある
本業の所得が少なくこれまで確定申告をしていなかったが、本業の所得と合算すると48万円以上の年間所得がある場合も、確定申告は必要です。
納税者本人の合計所得金額に応じた基礎控除額は下表の通りです。
納税者本人の合計所得金額 | 基礎控除額 |
---|---|
2,400万円以下 | 48万円 |
2,400万円超2,450万円以下 | 32万円 |
2,450万円超2,500万円以下 | 16万円 |
2,500万円超 | 0円 |
所得申告では、基礎控除が48万円あり、所得分から必ずマイナスされます。そのため、48万円を超えると確定申告が必要になるのです。
ポイ活で税金が発生・確定申告が必要な条件~無職編
では、無職で収入がない人がポイ活で収入を得た場合は、どのような条件で確定申告が必要になるのでしょうか。
本一時所得が年間50万円を超えた
所得の基礎控除は48万円ですが、一時所得の特別控除額は50万円で、基礎控除の額を上回ります。そのため、一時所得の場合は、年間50万円を超えたら確定申告が必要です。
雑所得が48万円を超えた
雑所得の場合は、基礎控除の48万円を超えた場合、確定申告が必要となります。ポイ活だけで、必要経費を差し引いて48万円を超えるのはかなり大変ですが、もし超えてしまったら確定申告は忘れないようにしましょう。
まとめ
ポイ活を長く続けて上手に貯められるようになってくると、税金はどうしても意識しなければなりません。家計簿アプリのような便利ツールをうまく活用して、ポイントサービスやポイントサイト毎の年間の利用ポイント数はすぐに確認できるようにし、必要に応じて確定申告の手続きを進めましょう。