円谷プロダクションでは毎年7月10日を「ウルトラマンの日」と定めている。今(2020年)から54年前となる1966年7月10日、ウルトラマンが初めてテレビ画面の中で活躍した記念すべき作品『ウルトラマン誕生』が、TBS系全国ネットで放送された。円谷プロの初製作作品『ウルトラQ』(1966年)の大ヒットにより、日本全国に巻き起こった「怪獣ブーム」をさらに盛り上げる役割を果たした『ウルトラマン』。その「前夜祭」として作られた『ウルトラマン誕生』とはいかなる番組なのか。いくつかの資料と共に解説を試みつつ、「ウルトラマンの日」を祝したい。

『ウルトラマン誕生』が初めて映像商品として発売された、バンダイ"エモーション"レーベルのビデオソフトジャケット(著者私物)。『現代の主役/円谷英二』とのカップリングで収録され、特典映像として円谷英二特技監督が8mmカメラで撮影した東宝特撮映画のプライベート・フィルムが入っている(1988年発売)

1966年1月2日より放送を開始した空想特撮シリーズ『ウルトラQ』は、「もしも自然界のバランスが崩れたら……」というテーマのもと、人知を超えた不思議な事件の数々が描かれた。海底、地底、宇宙の彼方からさまざまなスタイルを持つ大怪獣が出現し、人類を混乱に陥れる特撮アンソロジードラマが生み出されている。ゴメス、ナメゴン、ペギラ、ガラモン、ケムール人、カネゴン、M1号といった「ウルトラ怪獣」は、それぞれ魅力的なストーリーの上で大活躍して、たちまち子どもたちからの絶大なる支持を得た。

『ウルトラQ』の大好評を受け、同じ放送枠(武田薬品提供・日曜よる7時~7時30分)で新番組『ウルトラマン』を製作・放送することが決まった。ユニークな怪獣たちが現代社会を跋扈する『ウルトラQ』の世界観はそのままに、こんどは怪獣を退治する専門チーム「科学特捜隊」が登場。そして科学特捜隊が怪獣によって窮地に立たされたとき、さっそうと現れて怪獣を倒す巨大な「ヒーロー」が作り出された。それがM78星雲から来たわれらの「ウルトラマン」というわけだ。

テレビ放送されるまでに全28話の製作がほぼ完了していた『ウルトラQ』だが、初期に作られた「あけてくれ!」が「内容がやや難解」という理由から初回放送では見送られ、最終エピソードは7月3日放送の第27話「206便消滅す」となった(「あけてくれ!」は1967年の再放送時、新たな放送順における「第24話」として初めて電波に乗っている)。

TBSでは新番組『ウルトラマン』を盛り上げるPR展開として、第1話の前週に「前夜祭」番組を放送することを決定した。それこそが『ウルトラマン誕生』なのであった。番組は東京・杉並公会堂で7月9日に催された「ウルトラマン子ども大会」の中継VTR録画となり、事前公募による抽選で「招待ハガキ」が届いた者だけが、新ヒーロー・ウルトラマンと怪獣たちを「生」で観ることができた。

  • 『ウルトラマン』『ウルトラセブン』など初期円谷プロ作品の文芸面を支えた脚本家・金城哲夫氏のシナリオ作品集『宇宙からの贈り物』(朝日ソノラマ)表紙(著者私物)。『ウルトラQ』『ウルトラマン』の傑作シナリオに加えて、準備稿や未使用となった幻の作品などもあるコレクターズ・アイテム。『ウルトラマン誕生』の構成台本が掲載されている

  • ジェネオンエンタテインメント『昭和41年ウルトラマン誕生』(金田益実・編著)ジャケット(著者私物)。秘蔵メイキングスナップや各種メカニックのデザイン画などの貴重な資料を時系列順に追い、『ウルトラマン』製作当時の空気を再現しようと試みられた「書籍」と、怪獣ブームに沸く昭和42年のニュースフィルムなどを収録した「DVD」との豪華セット