俳優の東山紀之が、ABCテレビ・テレビ朝日系スペシャルドラマ『必殺仕事人2020』(28日21:00~23:04)の放送を前に、作品への思いを語った。

07年に復活し、14年目に突入する東山主演の『必殺』シリーズ。松岡昌宏、知念侑李、和久井映見、松尾諭、生瀬勝久、キムラ緑子、中越典子らおなじみの面々が、世にはびこる悪を成敗していく。今作で東山と対峙(たいじ)することになるのは、市村正親が演じる、本町奉行所に赴任してくる奉行・湯川伊周。東山は市村と初共演を果たす。

  • 左から知念侑李、東山紀之、松岡昌宏 -ABCテレビ提供

■市村正親との刀を合わせるシーン「俳優同士の対決」

――いよいよ今夜放送の『必殺仕事人2020』ですが、特に印象に残っていることを教えてください。

前回の西田敏行さんに続いて今回は市村正親さんに出演していただき、光栄でした。市村さんは、すごく優しくていい人に見えるけど裏の顔をもっている役なんですが、大先輩の胸をお借りして、僕も思い切りやらせていただくことができました。刀を合わせるシーンは、ある種、俳優同士の対決でもあると思いますので、とにかくいい勝負ができるように…と考えて臨みました。

あと、子役の古川凛ちゃんがものすごくかわいくて、久しぶりに胸がときめきましたね(笑)。凛ちゃんの芝居の素晴らしさが、今回の『必殺』をより一層盛り上げている気がします。彼女の芝居を見た照明の方が涙ぐんで僕のとこに来て「いやぁ、あの子はすごい!」っておっしゃったんですよ! そんなこと初めてだったので、とても印象に残っています。

――松岡昌宏さん、知念侑李さんとの共演もずいぶん長くなりましたが、あらためて今回お2人とご一緒した感想を教えてください。

松岡は本当にいい俳優になってきたなぁと思います。『必殺』はもちろん、僕は『家政夫のミタゾノ』もよく観ているんですけど、いい雰囲気だし、脂が乗ってきたように感じます。だから毎年『必殺』で一緒に芝居をするのがとても心地いいですね。

知念もいろいろな現場で鍛えられているので、現場で会った時に彼の成長を感じられるのはうれしいことです。今後もいろいろな役をやって、自分らしさをつかんでいくと思いますが、その第一歩といえるのがリュウという役なのかなと思うので、大事に続けていってほしいですね。

■「世相を反映させられるのが『必殺』の魅力」

――本作の撮影が終わった後、新型コロナウイルスの感染拡大という未曾有の事態が起こりましたが、何か感じたことや新たに考えさせられたことはありますか?

撮影はコロナの影響が出ていない時期に終わっていたんですが、その後いきなりこのような状況になって…。素晴らしい技術をもった『必殺』のスタッフの方々は、大ベテランの方が多いので、とにかく体に気をつけてほしいなと思いました。周りのみんなの健康も大事にしていきたいと強く感じましたし、そのためにはまず自分がちゃんと自衛を心掛けて生活していかなきゃいけないなと、今回あらためて見直すことができました。

――最後に、今夜の放送を楽しみにしてくださっている視聴者の皆さんにメッセージをお願いします。

世相を反映させられるのが『必殺』の魅力だと思います。事実に基づいたことを表現する際に現代劇だとちょっと直接的になり過ぎるけど、時代劇だと少し大げさに描いても大丈夫というところがあるので…。社会問題について皆さんが感じていることを表現できるのが面白さのひとつだと思いますね。

また、僕らが出演させてもらうようになって10年以上、そして今年は藤田まことさん没後10年ということで、本当に歴史のある作品だなとあらためて感じています。エンターテインメントとしてのこの作品を、より大事にして、今後も続けていきたいという思いが強いですね。

今回は、オレオレ詐欺や、半グレ集団の悪さを一刀両断にするんですが、非常に深い親子の絆を描き出すことで、より“悪”が際立ってきます。それを僕ら仕事人が一刀両断にすることで、爽快感を感じていただけると思いますので、どうぞお楽しみに!