角換わりの激しい戦いを制する。佐藤九段はこれで18回目の決勝トーナメント進出
第33期竜王戦(主催:読売新聞社)1組出場者決定戦の4位決定戦決勝が6月25日に東京・将棋会館で行われました。永瀬拓矢二冠と佐藤康光九段との対決となった決勝戦。勝利を収め、決勝トーナメントへの進出を決めたのは、佐藤九段でした。
竜王戦1組からは5名が決勝トーナメントに進むことができます。本局はランキング戦の2回戦で敗れた4名によって争われる、出場者決定戦の4位決定戦の決勝です。永瀬二冠と佐藤九段の今期戦ってきた相手は以下の通りです(段位は対戦時のもの)。
永瀬二冠
勝 斎藤慎太郎七段
負 久保利明九段
勝 山崎隆之八段
佐藤九段
勝 木村一基王位
負 羽生善治九段
勝 佐藤天彦九段
本局は振り駒で永瀬二冠が先手になり、角換わりの将棋になりました。後手の佐藤陣に隙があるとみた永瀬二冠は序盤早々に桂を4五に跳ね、戦端を開きます。佐藤九段も6筋から仕掛けていき、いきなりの全面戦争となりました。
激しい駒交換が行われた後、永瀬二冠は桂とと金の協力で、盤上右辺を突破して飛車を成り込みます。佐藤九段は4二にいた玉を5一~6二~7一と逃がしつつ、8筋から永瀬陣を攻略していきます。
ともに玉が薄くなり、白熱の終盤戦。一気に決着を付けようと、永瀬二冠が決断の攻めを決行します。桂捨て、と金捨てで佐藤九段の駒の連結を崩し、馬を切り飛ばしていきます。佐藤玉のすぐ近くに竜を侵入させ、攻めが決まったかと思われました。
しかし、佐藤九段の受けは正確無比でした。自陣飛車の利きを生かしてギリギリのところで永瀬二冠の攻めを食い止めます。永瀬二冠は上下から佐藤九段を攻めますが、次第に息切れ模様となっていきました。
自玉の安全を確保した佐藤九段は反撃に転じます。先手玉に嫌味を付けてから、相手の竜に自陣の飛車をぶつけて、飛車交換を迫ったのが決め手。飛車を敵陣に打ち込んでからは詰めろの連続で攻め、一気に永瀬玉を寄せ切ってしまいました。
この勝利で佐藤九段は18回目の決勝トーナメント進出を決めました。33期の竜王戦で半数以上の期で、決勝トーナメントに出場しているとは驚異的です。