JR貨物とJR東日本コンサルタンツは16日、IoTを活用して貨物列車の安全性を向上させる「手ブレーキ検知システム」をKDDIの協力を得て共同開発したと発表した。

  • 「手ブレーキ検知システム」のしくみ

「手ブレーキ検知システム」は、貨物列車の発車前に貨物車両の「手ブレーキ」が解除されているか、遠隔で確認できるシステム。手ブレーキは自動車のハンドブレーキと同様、停車した状態での転がりを防ぐためのもので、コンテナ車の場合はハンドルを巻くとブレーキがかかるしくみになっている。運行時には手ブレーキを解除するが、万が一、解除漏れがあると車両を引きずることになるため、従来は担当社員がひとつずつ確認して手動で解除していた。

検知システムの導入後は、手ブレーキの状態を検知する通信装置を内蔵したIoT端末をコンテナ車1両ごとに設置し、手ブレーキの状態データを自動的に地上サーバーに伝送する。伝送されたデータは、JR貨物の社内システムとの連携により、列車番号とひもづくデータとなり、各車両の手ブレーキの状況が遠隔で確認できることになる。

確認漏れにより、列車が駅を出発する際、手ブレーキがかかったままのコンテナ車が残っていた場合、モニター画面に警告を表示して運転士と担当社員に知らせる。IoT端末からのデータ送信には、KDDIが提供する IoT向け通信技術「LPWA」を用いる。JR貨物は今年度下期から、このシステムを約7,200両あるすべてのコンテナ車に導入する予定としている。