住友商事は29日、マニラ首都圏における都市旅客鉄道「Manila Light Rail Transit System Line1」(LRT1号線)の運営・保守事業を行う「Light Rail Manila Corporation」(LRMC社)の株式約19.2%を間接的に取得し、出資参画したと発表した。

  • マニラLRT1号線の車両

フィリピンはASEAN諸国の中でも高い経済成長を誇り、今後も数十年にわたり人口増加が続くと予測される。中でもマニラ首都圏は、2035年に現在の約1.3倍となる1,800万人まで人口が増加する見通しに。アジア開発銀行(ADB)によると、マニラ首都圏はアジア278都市の中で最も交通渋滞が深刻な都市とされ、効率的かつ経済的な公共交通網の整備が喫緊の課題だという。

今回の出資参画は、住友商事が東南アジアで初めて運営に参画する旅客鉄道事業で、LRT1号線はマニラ首都圏をマニラ湾に沿って、ケソン市ルーズベルト駅からパサイ市バクララン駅までの約20kmを南北に結ぶ路線となる。LRMC社は急速に増加する交通需要に対応すべく、2015年に旅客鉄道事業に参画し、既存設備のリハビリ・改修、運行本数増加、路線延伸、他路線との接続向上に取り組んでおり、今後も輸送能力の拡充を図るとしている。

  • マニラLRT1号線「Monumento」駅構内の様子

  • 路線図

住友商事は、これまでに国内外で積極的に鉄道関連ビジネスを展開しており、東南アジア、米国、東アジアを中心に数多くの鉄道建設案件、車両輸出案件を手がけてきた。とくにマニラ首都圏では、複数の既存路線(LRT1号線・LRT2号線・MRT3号線)で受注実績を積んでおり、現在もMRT3号線リハビリ・メンテナンス契約、南北通勤鉄道向け車両納入契約を履行している。

今回、住友商事は、LRMC社や同社を構成する他株主とともに、LRT1号線の安全性や利便性の向上を図ることで、マニラ首都圏の交通ネットワークの強化に取り組む。交通渋滞の緩和による生活環境の改善と経済的損失の解消を実現することで、フィリピンの経済発展にも寄与していくとのこと。