大空直美(おおぞらなおみ)。2月4日生まれ。大阪府出身。青二プロダクション所属。主な出演は『げんしけん 二代目』スザンナ・ホプキンス役、『アイドルマスター シンデレラガールズ』緒方智絵里役、『つぐもも』桐葉役、『宇崎ちゃんは遊びたい!』宇崎花役など

新型コロナウイルス(COVID-19)の急速な感染拡大や症状の重さなどにより2020年4月7日、政府から「緊急事態宣言」が発出された。アニメ・ゲーム・声優業界ではこれを受け、アフレコやラジオ番組の収録ストップ、演劇やライブといった人が集まるイベントの開催延期・中止を多数のコンテンツが判断した。宣言が解除された今も、"いつも通り"からはまだまだ遠い状況が続く。

そんな状況下でも、リモートでの番組収録、YouTubeチャンネルの立ち上げや配信、Twitterでの近況報告やライブ配信など、“いま、自分ができること”を考え、行動に移している人たちがいる。その配信で「元気」「勇気」をもらっている人は少なくないだろう。筆者・M.TOKUもその一人だ。

マイナビニュースでは、そんな活動や込められた想いを多くの人に知ってもらうため、「私たちのおうち時間」企画を実施。それぞれの「おうち時間」企画を振り返ってもらったほか、自粛期間中の過ごし方、そして、こんな時だからこそ、自身が感じる“エンターテイメントのチカラ”について話を聞いた。

今回は、声優の大空直美に直撃。「お空ん家」と題し、パン作り動画を自身のナレーション付きでTwitterやInstagramにアップしている彼女にリモートでインタビューを行った(取材日は5月中旬)。

●何もせずにはいられなくなって

――大空さんが自身のTwitter・Instagramで展開された「お空ん家」。この企画を実施しようと思ったのには、どのような背景があったのでしょうか?

私が出演する予定だったイベントが中止になったり延期になったりしていくなかで、Twitterなどで参加予定だった方から「しょうがないことだけど、寂しい」「行きたかった」という声が届いたんです。それを見たら、何もせずにはいられなくなって……! まずはイベントに来られなかった皆さんに、少し でも楽しい気持ちになって欲しいと思ったんです。それが、きっかけ でした。

――今回のパン作り動画は、基本的に顔出しなし、大空さん自身がナレーションをしながら紹介するというものでした。このアイデアは、ご自身で考えられたものでしたか?

そうですね。やはり、声優ならではのことができたらなと思いました。我々の仕事は声で無限に、なんぼでも表現ができると思っているんです。壮大な演出だったり、ほのぼのした雰囲気だったり……。どんな演出でも声ひとつで空気感が作れる。だから、顔出しはせず、ナレーションを入れるというスタイルにしました。あとは、恥ずかしながらズボラな性格なので、メイクはせず、なんなら部屋着で撮影できるようにしたかったというのも、理由のひとつですね(笑)。

――私も1話から拝見させていただきましたが、本当に声優さんならではだなと思う動画でした。

嬉しいです! それがテーマのひとつでもありましたので。

――動画編集もご自身で?

はい。大学で映像の勉強をしていたので、そのときのことを思い出しながら編集しました。

――ちなみに……なぜパン作りだったのでしょうか?

動画を見ていただいたなら分かると思うのですが、私、料理ができないんですよね(笑)。でも、今はご飯を買うためにおでかけするのも大変なので、それなら家にあるもので食べ物を生み出せたら、外出しなくてもいいと思って。あとは、「お家で過ごす時間が増えたけど、趣味もないし暇……」という、新しい趣味を求める声もいくつか聞こえてきていたので、「じゃあ、こんなのはどうですか」という形で提案できないかなと思ったんです。私のようにお料理ができない人でも、やれば楽しいということが伝わるかと思って! だから、パン作りに挑戦しました。

――なるほど! ただ、2話でいきなり訂正動画を上げられていたのには、思わず笑ってしまいました。

あの……はい(笑)。Twitterってやっぱりすごいですね、レスポンスがすぐに届くんです。パン作り自体は一日の出来事だったのですが、編集は動画をアップする前日、もしくは当日だったんですよ。だから、みなさんからのコメントを見て「あっ」と気づくことも多くて、補足を入れたり修正したり、テロップの言葉を変更したり……。本当に毎日、編集作業をしていました(笑)。

――あの訂正や「いつになったら生地をこね始めるのか」というランディング期間も含めて、非常に楽しく拝見しておりました(笑)。

皆さんからの「はよパン作れや!」っていうツッコミが嬉しかったです(笑)。私も「でしょうね!」と思いながら動画編集をやっていました。

●BGMひとつでも印象は変わる

――続いて「お空ん家」企画をやってみて、難しかった点や学んだことを教えてください。

まず、パン作りに関する反省なんですけど……。ほとんど料理をやったことがない初心者ということをもっと自覚すべきでした。レシピを見ながら作っていったのですが、初心者すぎて、ひとつひとつの言葉が暗号のように思えて。読み解きながら推理して作っちゃったので、色々と大変な事が起きてしまいました(笑)。今の世の中なら、パンの作り方を紹介する分かりやすい動画だってあるだろうに。見切り発車はよくないと思いました。

――その見切り発車があったからこそ、味のある動画になったと思います(笑)。

そう言っていただけると助かります(笑)。あとは、動画編集をやってみて、色々な発見がありました。ひとつのシーンを演出するだけでも、BGMひとつで印象は変わるし、入れたいと思う声も変わるんですよね。現場では、ディレクターの方や音響監督さんが「そっちじゃなくてこういう方向でください」というディレクションをされることがあります。そういう時、これまでは「あ、これではダメなのか」と思うこともありました。でも、今回動画編集をしたことで、「ダメ」じゃなくて「こういうパターンも聞きたい」っていう場合もあったんじゃないかなって思えて。生意気かもしれないですが、制作される方々の気持ちにちょっと気づけたかもしれません。すごく勉強になりました。

――変な話ですが、こういう機会があったからこそ、気づけた。

そうですね。「みんなに楽しい気持ちになって欲しい」と思って始めたことが、いつの間にか自分のチカラになりました。始めてみて本当によかったです。

――パン作り動画は完結しましたが、次に同じような企画をやるなら、どんなことをしたいですか?

私、1話のときに「おうち時間が豊かになるような趣味を提案する」というようなことを言っていて……。だから、おうちでできる趣味を増やしたいなと思っています。だいぶ前にレンジで陶芸ができるというキットを購入したので、それをやろうかな。あとは、大空家の中には不思議スポットがたくさんあるので、そこを紹介するなんて動画も楽しそうです!

――不思議スポット……?

不思議というか、変というか……。例えば、母が趣味でアボカドの種を水につけ始めて、芽が出るかどうかを実験しているんです。そういう大空家の謎を探検しながら紹介するっていうのもやってみたいです。

――それは面白そうです! ある程度日常が戻ってきてからも、そういう企画をやろうという気持ちはございますか?

私は編集作業が遅いので、不定期配信ならやっていけそうだなと思います。特番という気持ちで1クールに1回とか(笑)。でも企画を考えるとワクワクしている気持ちもあるので、できる限りはやりたいです。