• 18歳の花子 (C)フジテレビ

太田さんにとってかけがえのない存在が、愛犬の花子。人間なら100歳近い高齢で、一緒に病院に出勤し、診療中も花子を見守っている。花子は病院のアイドル犬でもあり、看護師や患者からも愛されていた。

後編では、そんな最愛の花子との最期の日々が描かれるが、「花子が倒れてから、毎日のように取材させてもらったのですが、これが本当に“看取る”ということなんだなと思ったんです。太田さんは獣医師だから、いろんな治療ができるはずなんですが、もうそれはやめて、とにかく花子との時間を大事にして、仕事もちゃんとこなしていく。これは、犬とか人間とか関係なく、命を看取る、命への敬意のある、ひとつの理想的な姿だと思いました」と感心する。

そして、花子との別れの時が近づいているのが分かるにもかかわらず、取材を受け入れてくれた。「男の人だから、泣いてしまうかもしれないのに、普通は撮られたくないじゃないですか。でも、本当にギリギリまで取材させてくれて、そこもありがたかったです」

  • 花子と出勤する太田さん (C)フジテレビ

■コロナ禍での奮闘ぶりも放送

その後編は、「花子との最期の時間を、太田さんと看護師たちが本当に丁寧に作っていく過程が見られます。治せない病気、命の終わりにどう向き合うかが、犬と人間を超えて、映せたのではないかと思っています」と予告。

さらに最後には、新型コロナウイルスが感染拡大する中での太田さんの奮闘ぶりも追っている。「動物病院は、1回の問診が終わると部屋を全部消毒して、次の動物を迎えるというのを普段からやっているんです。そのノウハウを生かして、彼が地域の人たちに尽力されている姿も、ぜひご覧ください」と見どころを語ってくれた。

●山田あかね
東京生まれ。早稲田大学卒業後、テレビ制作会社勤務を経て、90年からフリーランスのテレビディレクターに。現在は(株)スモールホープベイプロダクション代表。『ザ・ノンフィクション』では、『1000匹の猫と寝る女』『お金がなくても楽しく暮らす方法』『会社と家族にサヨナラ ニートの先の幸せ』『犬と猫の向こう側』などを制作し、『むっちゃんの幸せ~福島の被災犬がたどった数奇な運命~』(NHK)、『家族になろうよ』(NHK BSプレミアム)など、犬猫をテーマにしたドキュメンタリー番組を手がける。『犬に名前をつける日』(キノブックス)、『犬と猫の向こう側』(扶桑社)などの著書もあり、映画『すべては海になる』(10年)、『犬に名前をつける日』(15年)では監督・脚本を務める。