4月よりJ-WAVEでスタートした新番組『INNOVATION WORLD ERA』(毎週日曜 23:00~23:54)。各界の第一線で日々イノベーションを起こすクリエイター陣が週替りでナビゲーターを務め、いま世の中に生まれようとしている「イノベーションの種」を探っていく。

  • のん

    のん (画像提供:J-WAVE)

このうち、第3日曜日のナビゲーターを女優で“創作あーちすと”ののんが担当。久々のFMラジオレギュラーとなる当番組で彼女はどんな姿を見せるのか。

『INNOVATION WORLDプロジェクト』を統括する株式会社J-WAVEコンテンツマーケティング局・デジタルマーケティング部長の小向国靖氏に、起用の経緯から番組としての展開像をオンライン取材で聞いた。

■毎週「ビジネス書1冊分」の知識と熱量を届ける

『INNOVATION WORLD ERA』番組ロゴ(画像提供:J-WAVE)

――『INNOVATION WORLD ERA』の番組コンセプトを教えてください。

いまやさまざまな人々がテクノロジーを駆使してスタートアップ(起業)し、世の中へイノベーション(変革)を起こしています。どのケースも非常に熱量が高く面白いのですが、2015年に『INNOVATION WORLD』プロジェクトを立ち上げた当時は、まだその多くは一般の方へは届いていないようにも感じていました。

話題となっているテクノロジーやアイディアだけでなく、それ以外にもあるイノベーションのストーリーをJ-WAVEならではの音楽エンターテイメントの形でいろんな人に届け、「いま、世の中ってこんなに面白いんだ」「自分もやってみたい」と思ってもらえる人を増やしたい、という思いから『INNOVATION WORLD』を企画しました。月1の放送からスタートし、現在は2時間のワイド番組となったこの番組の兄弟番組として『INNOVATION WORLD ERA』をこの春スタートさせました。

コンセプトを一言でいうならば「毎週1冊のビジネス書、文芸書ができていく」というイメージ。番組を聞くことで毎週1冊分の知識や熱量を吸収してもらえたらと考えています。

――「通りすがりの天才」こと川田十夢氏がナビゲーターを務める夜ワイド番組『INNOVATION WORLD』(毎週金曜 20:00~22:00)も人気ですが、同じタイトルを冠する番組としてどのような棲み分けがされているのでしょうか。

ワイド番組として幅広い層に訴求する立ち位置になってきた『INNOVATION WORLD』に対し、『INNOVATION WORLD ERA』はターゲットを絞ったセレクトショップ的な立ち位置を志向しています。

番組タイトルに「ERA=時代」とついている通り、その時代ならではの価値観を多視点かつシャープに掘り下げ、毎週違う視点を提供していきます。できるだけ多くの出演者によって繰り広げられる対話のなかから多様なイノベーションの種が生まれていく、いわば「ラジオ版『アベンジャーズ』」のような番組を目指しています。

■のん起用の理由は「自分の枠に収まっていないこと」

――メディアアーティストの真鍋大度さんや「ASIAN KUNG-FU GENERATION」の後藤正文さん、「ULTRA JAPAN」などの大型イベントをプロデュースしてきた小橋賢児さんと並んで、のんさんは毎月第3日曜のナビゲーターを務めていますが、ナビゲーターとしてどんなことを期待されていますか?

ナビゲーターには、さまざまな職種や分野で突き抜けている高い志を持つ方たちにお願いしました。起業家やアーティストなど、さまざまな領域同士の化学反応を楽しんでいただきたいと思ったのです。

  • 左から真鍋大度、後藤正文、小橋賢児(写真提供:J-WAVE)

のんさんはYMOのメンバーなどのビッグアーティストを巻き込んで音楽活動を行ったり、自らの名前を冠したフェス『NON KAIWA FES』を主宰したりと、女優という領域を超えて活動をされています。こうした「自分の枠に収まっていないフィールドで活躍している」点に注目してオファーさせていただきました。

――多くの人々とともに領域を横断する、のんさんの姿勢が決め手だったのですね。

領域を超えている人にはとても魅力を感じます。そのなかでも、のんさんは「世の中に求められている『感じ』」を理解していて、そのために自分が何をできるんだろうと考えている、数少ない女優さんと思っています。

番組と合わせて毎年『INNOVATION WORLD FESTA(イノフェス)』という大型デジタルクリエイティブフェスを開催しているのですが、異なる領域の人同士がお互いの波長を合わせ、すばらしいセッションへと発展していくようすを現場で目の当たりにしてきました。こうした「組み合わせ」にドキドキとするんです。

  • 昨年の『INNOVATION WORLD FESTA』の模様。バーチャルアーティストによる「IA feat. DANTZ」ライブステージ (写真提供:J-WAVE/Photo by 山川哲矢、安西美樹)

  • 昨年の『INNOVATION WORLD FESTA』の模様。最先端テクノロジーを駆使したAKB48 feat. ☆Taku Takahashiライブステージ(写真提供:J-WAVE/Photo by 山川哲矢、安西美樹)

■のんが収録中に盛り上がった話題とは

――担当初回となった4月19日の放送では、「あまちゃん」の音楽を手掛けた大友良英さんとのトークが印象的でした。

(4月19日の放送では)大友さんとの会話で盛り上がった2人がスタジオの机をリズミカルにたたきながら、「こんな音をみんなで録音して自宅で楽しめる『おうちフェス』をやったら楽しそう」と提案するシーンがあったんです。のんさんは「とにかくやってみよう」というクリエイター魂にあふれているんですよね。

大友さんいわく「のんちゃんみたいな人がいまの時代必要」だと。たまたまではありますが(新型コロナウイルスにより)非常に世の中が暗いムードとなってしまっているなか、その発言のニュアンスはすごく共感できました。

■ジョギング中や就寝前の「刺激」に聴いてほしい

――『INNOVATION WORLD ERA』がコアターゲットとするのは、どんな方たちですか?

就職活動中をしている大学生や研究室にいる大学院生の方たち、ITやデジタルマーケティングの分野で働く若手の方たち、もっと上の年齢層ではエンタメやテクノロジー業界のベテランの方々もターゲットに考えています。

――ラジオもさまざまな楽しみ方が増えて来ましたが、どのようなスタイルで聴かれることを想定していますか?

地上波では日曜日の23時に放送していますが、決まった時間にラジオを立ち上げるだけではなく自分のタイムライン(生活時間帯)に応じて聴いていただこうという思いから、ポッドキャストに最適化した番組作りに取り組んでいます。

これまでの番組ポッドキャストではオンエア済みのものから内容を切りだす形がメインでしたが、『INNOVATION WORLD ERA』では一部の内容を地上波オンエアから2日先行して公開したり、オンエアに入り切らなかったトークをフルサイズで入れています。地上波では時間の関係で濃縮したバージョンですが、ポッドキャストでは長尺のトーク番組として制作し、より深く楽しめるようになっています。

――ポッドキャスト中心の編成となると、地上波での放送はどのような位置づけとなるのでしょうか?

地上波での放送では、トークとその流れにあわせた楽曲を楽しんでいただくことを志向しています。音楽とあわせてトークを聴くことで、感じ方も変わってきます。

――地上波には地上波の聴き方、ポッドキャストにはポッドキャストの聴き方があるのですね。

はい。たとえば、ポッドキャストは軽いジョギングや散歩などをしながら聴いて脳に刺激を感じていただき、地上波の放送は自宅でおやすみ前のひとときに知的な満足を感じていただく、というように楽しんでいただけたらと思います。

さまざまな領域を飛び越え、新たな時代のヒントを提示し続ける『INNOVATION WORLD ERA』。先行きの不透明な時代だからこそ、ラジオを通じて「これから見える日常」の風を感じられる場所としての期待が高まる。

そして最後に、のんから番組に向けての意気込みをコメントで寄せてもらった。

「Innovationについて、のんがどこまで言及できるのか、まだまだ未知の領域です。たくさん色んなことを知っていきたいし、それを楽しめたら良いなあと思っています。たくさんの人に聴いて欲しい!楽しみにしていてください」