JR九州は4月22日に行われた社長会見にて、4月1~20日の鉄道取扱収入(速報値)が対前年25.7%の40億円に落ち込んだことを明らかにした。こうした厳しい状況を受け、社員の「一時帰休」も検討するという。

  • 4月1~19日の九州新幹線は博多~熊本間で対前年25%、熊本~鹿児島中央間で対前年28%の利用状況に

2019年度の鉄道取扱収入は、前年度より95億円低い2,123億円(対前年95.7%)だった。ただし、今年3月だけで前年同月比で99億円(対前年52.7%)落ち込んだため、3月分の減少を除けば前年度より約4億円多かったことになる。

4月1~19日の九州新幹線の利用状況は、博多~熊本間で対前年25%、熊本~鹿児島中央間で対前年28%となった。同期間の在来線特急列車の利用状況も、対前年で約7割減少しているという。訪日外国人向けの「JR九州レールパス」も、4月の発売枚数が対前年比0.1%と激減している。

駅ビルの売上高も3月時点で前年と比べて20~30%減少しており、4月に入ってからは緊急事態宣言を受けての休館など、さらに大幅に減少。駅ビル各社はテナントに対し、賃料の減額や支払い時期の先送りなどの支援策を実施しているという。ホテルも大きく影響を受け 3月はホテル全体で稼働率が約6割減少。4月15日現在で約8割減となっており、緊急事態宣言を受けて同一エリアで営業しているホテルを集約し、観光利用が主体のホテルは休業を決めた。予約率は4・5月ともに約9割減の見通しとされた。

こうした事態を受け、4月から6月まで役員報酬の減額を実施。会長・社長は報酬月額の20%、副社長・専務・常務・上席執行役員などは10%を減額する。

社員の「一時帰休」に関して、「労働組合と合意に至っていない」としつつも、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止と社員や家族の安全確保のため検討していることを明らかにした。詳細は検討中だが、企画計画部門と現場の両方の社員を対象とし、実質的な賃金の減額がないよう検討しているという。