文化放送は19日(25:30~27:30 ※放送から1週間まで「radiko」タイムフリーにて聴取可能)、特別番組『チャーハン特番 ~チャーハンが鍋の上でパラパラ舞うその姿は美しい。まるで桜の花びらが踊っているよう。本当の春がくることを願ってSP~』を放送。

同社が野球中継で培った独自の音声収録技術を駆使し、強火で中華鍋を豪快にふって作るチャーハンをはじめ、餃子、チンジャオロースー、唐揚げの調理音を2時間にわたってシズル感たっぷりに届ける。

これまでも、たき火や芋煮など、思わず風景が目に浮かぶような「音の風景」をラジオで放送してきた同局。今回の特番はどのように制作されたのか。そして番組に向けた思いとは――。同局編成部の加藤慶氏にリモートで取材した。

  • 『気持ちで負けない!きいて、たべて、乗り越えようウィーク』キャンペーン画像(画像提供:文化放送)

■「食べて体力をつけてもらう」ために企画

――どのような経緯で『チャーハン特番』が企画されたのでしょうか?

コロナウイルス感染拡大にともなう緊急事態のなかで、メディアに接していて気が滅入ることも多いかと思います。

報道機関としての務めを果たすことは大前提な上で、日常に溶け込み、寄り添うメディアとして文化放送ができることを編成部内で検討した結果、気持ちで負けないためにも「きちんと食べて体力をつけてもらうように促し、少しでも元気をつけてもらいたい」という思いから、特別キャンペーン『気持ちで負けない!きいて、たべて、乗り越えようウィーク』を実施することとしました。

昨年12月、今年2月にラジオ局らしく音にこだわった『たき火特番』を実施しましたが、その第3弾としてのテーマを探すなかで「料理音」ならば今回のキャンペーンとも紐づき、整合性がとれると判断し、放送させていただくことになりました。

今回の『チャーハン特番』では、心地よい音を聞いて元気をつけてもらいたいと考えています。オープニングとエンディングにアナウンスが入る以外は、あとはひたすら料理の音のみをお届けします。

――数ある料理からチャーハンを題材に選んだ理由は?

いちばんの理由は、数ある料理の中で「音がいいこと」です。和食だとなかなか音がしないので…。今年2月に『たき火特番』のなかに芋煮の音を入れて放送して以降、新たな題材を探していましたが、いま時代に即したキャッチーな食べ物ということでチャーハンになりました。

■野球中継の技術を応用、立体的にチャーハンの音を収録

――今回のチャーハン特番の収録に用いられている「3Dサウンド技術」とは、どんな技術なのでしょうか?

文化放送が野球中継の際に用いている収録技術を応用したものです。具体的には球場の観客席部分で「バイノーラルマイク」と呼ばれる特殊な機材を設置し、上下左右すべての音を立体的に収録する仕組みを用いています。

――チャーハンの音はどのような形で収録されたのでしょうか?

文化放送の近くにあるお店の方に全面協力していただき、(外出自粛要請前の期間に)お店の厨房で収録しました。具体的にはチャーハンを調理する料理人の方にイヤホン型のバイノーラルマイクを装着してもらい、3時間にわたってひたすら料理をしてもらいました。

  • 「チャーハン特番」収録の模様

    「チャーハン特番」収録の模様 (画像提供:文化放送)

――料理は「最後のひと手間」が決め手となりますが、今回のチャーハン特番では最後にどんな「ひと手間」がかかっているのでしょうか。

料理の音を立体的に収録したものにくわえて、文化放送が保有する音のライブラリーからピックアップしたさまざまな食材の音をミックスし、よりおいしい音に仕上げています。

――日曜の深夜というディープな放送時間も話題になっています。

食べ物を題材にしているので、より効果的な空腹欲求をかきおこす時間帯を選びました。昼ごはんや夕ごはんの後では効果が薄いかもしれませんが、普通にものを食べない時間帯に放送することで、リスナーの方に「刺さる」のではないかと考えています。

――文化放送ではAM・ワイドFM・radikoとさまざまな形態で放送されていますが、どんな聴き方がオススメですか?

バイノーラル(立体)音響を楽しんでいただくためにも、radikoかステレオ受信可能な(ワイドFM対応型の)FMラジオを使用していただくことをおすすめします。

さらにイヤホン・ヘッドホンで聴いていただくと、上から下からご飯が舞う様子も楽しんでいただくことができます。バイノーラルマイクで彩られる音の世界に、ぜひ浸ってください。