皮膚トラブルの代表例として知られるニキビは、特に「いつまでもきれいでありたい」と考えている女性にとって「天敵」と言えるだろう。ニキビといえば、主に思春期の悩みとされるが、大人になっても頻繁にニキビができるというケースもある。

今回は、この「大人ニキビ」の原因や治療法について、皮膚科医の鈴木稚子医師にうかがった。

  • 大人ニキビの原因と治療法

    大人ニキビの原因と治療法を知ろう

大人ニキビができる要因

大人でもニキビができる主な要因は以下の通り。

・不規則な食生活
・寝不足
・飲酒
・喫煙
・ストレス
・間違ったスキンケア
・ホルモンバランスの乱れ

これらの要因が複数重なるとニキビができるという。

「肌はターンオーバーと呼ばれる新陳代謝を繰り返しています。常に新しい皮膚細胞が生まれ、少しずつ上に押し上げられて最後に角質細胞という死んだ細胞になり、それがパラパラとはがれていきます。この肌のターンオーバーのリズムがこれらの要因によって乱れやすくなってしまいます」

ターンオーバーのリズムには個人差がある。元から崩れやすい人と崩れにくい人がいて、前者が「ニキビができやすい人」となる。

「ターンオーバーのリズムが乱れると、古くなった角質が取れずに積み重なって溜まってしまいます。その取れかかった角質細胞で毛穴の出入り口が詰まり、毛穴についている皮脂腺から出る皮脂が皮膚の外に出られずに毛穴の中に溜まると、皮脂を栄養にしてニキビ菌が増えてしまいます。ニキビ菌は毛穴にいる常在菌ですが、数が増えると炎症を起こし、赤いニキビや膿を持ったニキビになってしまいます」

また、肌の乾燥によるバリア機能の低下が、ニキビの増悪因子となることもあるそうだ。

大人ニキビへの対処法

一度できてしまった大人ニキビには、ビタミンBやビタミンCを摂取することで対処するとよい。

ビタミンB群は肌のターンオーバーを促す作用を持ち、すこやかな肌のために欠かせない栄養素。ビタミンB群は食品には少量しか含まれていないため、ふだんの食事から一日の必要量を摂ることは容易ではない。そのような場合には、医薬品やサプリメントを上手に活用するのもいいだろう。

ビタミンCも、ニキビ跡のシミの予防になるのでお勧めとのこと。

「触って刺激してしまうと赤みが長く残ったり、ニキビ痕のシミになってしまったり、ひどいときにはニキビ痕の凹み(ニキビ痕のクレーター)や、皮膚が赤く盛り上がった『ニキビケロイド』を作ってしまうことも少なくありません。できるだけ触らないようにして、洗顔時のタオルはやわらかいものを使いこすって拭かないようにしましょう」

男性の場合は髭剃りが当たらないように注意が必要だ。ニキビの近くの髭はハサミなどで切るほうがいいという。髪の毛が長い場合はできるだけ縛ったりして、ニキビに当たらないようにしよう。

大人ニキビの治療法

市販のニキビ薬は炎症を抑えてくれるが、より早く治したかったり、ニキビ跡にしたくなかったりする際は、その人に適したニキビの治療薬が処方される皮膚科を受診したほうがいいだろう。

(1)膿を持ったニキビが出ている
(2)赤くて大きいニキビが出ている
(3)すでにニキビ痕のシミや赤みが出てしまっている
(4)ニキビ痕の凹み(ニキビ痕のクレーター)ができてしまってる

そのほか、上記の(1)~(4)のケースに該当するようならば、病院で少しでも早めに治すようにしよう。

病院では飲み薬や塗り薬、抗生剤を処方してもらえるほか、ニキビ用の注射などもあるとのこと。

「ニキビと一緒に肌が荒れてる方も、病院を受診して肌荒れの薬と合わせて処方してもらうほうがお勧めです。ニキビを繰り返す場合は、肌のターンオーバーのリズムを整える病院用のピーリングなどが効果的です。白ニキビが多い場合も、洗顔だけしても中の毛穴詰まりは改善されません。病院で毛穴詰まりの予防薬を処方してもらうのがお勧めです。そして合わせて、病院用のピーリングを行うとより早く治ります」

肌がとてもオイリーな場合は、過剰な皮脂がニキビ菌の栄養になってしまうため、この場合は、皮脂腺を萎縮させるビタミンAの誘導体の飲み薬を病院で処方してもらうといいそうだ。

大人ニキビの予防に必要なものは?

せっかく大人ニキビの治療が終わっても、すぐにまたできてしまったら元の木阿弥になってしまう。再発防止のためには、しっかりとした予防が肝要となる。予防のポイントを鈴木医師にあげてもらった。

■肌を清潔に保つ……丁寧な洗顔で肌を清潔に保つことが予防につながるが、肌の乾燥も大人ニキビの要因となるため、洗いすぎには注意が必要。

「一日2回の洗顔を基本として、よく泡立てた洗浄料を使い、肌をこすって刺激を与えないようにやさしく洗うことが大切です。洗顔後は、肌のバリア機能を正常に保つために、丁寧な保湿ケアでうるおいを補給します。ニキビが発生しにくい成分を配合したノンコメドジェニック化粧品の使用もお勧めです」

■十分な睡眠……しっかりと寝て規則正しい生活を送ることも美肌のために役立つ。

「肌は寝ている間に新しく生まれ変わります。睡眠は、肌のターンオーバーを促すために欠かすことのできないものです。しかし、ただ長く眠ればよいというものではありません。十分な睡眠時間が確保できないときは、リラックスした状態で深く眠れるように工夫してみましょう」

■栄養バランスを考えた食事……上述のように、ビタミンB群やビタミンCは大人ニキビのケアにおける重要な栄養素。これらを含めた栄養バランスに優れた食事の摂取も予防に寄与する。

「無理なダイエットで食事から摂る栄養が不足していたり、栄養バランスが偏って便通に影響したりすると、ニキビが治りにくくなります。ストレス自体が皮膚の免疫力を低下させ、ニキビの炎症が強くなったり、ストレスにより皮膚の再生力が低下したりします。ストレスをため込まないように意識しましょう」

ニキビ跡はレーザーやクリームなどで改善

できてしまったニキビ痕を改善する専門的な治療法の期間や費用についてもうかがった。

ニキビ痕のシミ

「シミ取りのレーザーと、病院で作っている美白クリームの併用になります。シミの濃さやその人の肌質により異なりますが、1回で取れるものもあれば5回くらいかかることもあります。私のクリニックの場合、点状のシミですと、10カ所で7,000円になります。シミ取りクリームは2,000円。ニキビ痕の赤みは、何もしなくても必ず治りますが、早く赤みをひかせたい場合はやはり、病院で赤み用のレーザーを照射することをお勧めします」

ニキビケロイド

「ケロイド部分に直接、ケロイド用の注射をします。金額はケロイドのサイズにより異なりますが、2,000~10,000円くらいです。早いと2回くらいで平たくなります。そして、自宅では飲み薬と薬のついたテープをはってもらいます。こちらは保険適用なので高くないです」

ニキビ痕の凹み(ニキビ痕のクレーター)

「ジェネシスレーザーというコラーゲンを作る細胞を活性化させるレーザーを照射しながら、一つ一つのニキビ痕の凹み(ニキビ痕クレーター)に丁寧に、コラーゲンを作る細胞を活性化させるトリクロロ酢酸をベースにした液を埋め込んでいきます。少しずつ、凹んだ部分を盛り上げていきます。浅いものでは10回くらいで盛り上がります」


大人ニキビを予防するには、規則正しい生活や栄養バランスの取れた食事といった基本が重要だということだった。一度できてしまったニキビやニキビ痕についても、専門の皮膚科で治療すれば改善するようなので、気になる場合は医師に相談してみるのがよさそうだ。

※写真と本文は関係ありません

監修者: 鈴木稚子(スズキ・ワカコ)

美容皮膚科。
東京慈恵会医科大学医学部卒業後、同大学皮膚科学教室および国立大蔵病院皮膚科臨床研究部を経て、2017年に六本木スキンクリニックを開院。

医学博士。日本皮膚科学会正会員。日本抗加齢医学会。日本赤十字医療センター登録医日本医師会スポーツ認定医。日本温泉気候物理医学会 温泉療法医。 日本旅行医学会認定医。トータルアンチエイジング研究会副会長。日本アンチエイジング外科。美容再生研究会登録医。En女医会所属。

En女医会とは
150人以上の女性医師(医科・歯科)が参加している会。さまざまな形でボランティア活動を行うことによって、女性の意識の向上と社会貢献の実現を目指している。会員が持つ医療知識や経験を活かして商品開発を行い、利益の一部を社会貢献に使用。また、健康や美容についてより良い情報を発信し、医療分野での啓発活動を積極的に行う。En女医会HPはこちら。