男女問わず、年齢を重ねると気になりだすものの一つとしてシミがあげられる。暑さの厳しい夏に限らず、私たちの肌は一年中紫外線を浴びているため、シミ対策としてのUVケアは季節にかかわらず常に心がけたいものだ。

この夏、海やプールで日焼けしてしまったという人や、逆に普段からあまり外出していないのにシミが増えてきたと感じている人も、シミができやすい人とそうでない人の差は何か気になるところだろう。そこで今回、シミのできやすさに違いが生まれる原因や日焼け後のケア、シミの予防法について、美容皮膚科医のやながわ厚子医師にうかがった。

  • やっぱりシミは気になりますよね?

国際基準では皮膚は6種類に分類される

一般的に「シミ」と呼ばれているものにはいろいろな種類があるが、今回は、主に紫外線を原因とする光老化によってできる日光性色素斑(老人性色素斑)について説明する。

皮膚のタイプ(スキンタイプ)は、国際基準のフィッツパトリック(Fitzpatrick)分類では、日焼けをしたときの反応によって6種類に分けている。

スキンタイプⅠ……常に赤くなり、決して皮膚色が濃くならない

スキンタイプII……常に赤くなり、その後少し皮膚色が濃くなる

スキンタイプIII……中等度赤くなり、皮膚色が少し濃くなる

スキンタイプIV……わずかに赤くなり、皮膚色が濃くなる

スキンタイプV……ほとんど赤くならず、色が濃くなる

スキンタイプVI……赤くならず、色が濃くなる

「スキンタイプⅠは白色人種の中でも一番色素の薄い肌、スキンタイプVIは有色人種の中でも一番色素の濃い肌です。黄色人種の日本人に多い肌はスキンタイプIIIとIVで、皮膚の紫外線の感受性は中等度です。日焼けによる赤みや褐色変化も起きます。紫外線の感受性が高いのはスキンタイプⅠの方で、シミになりやすく、皮膚がんにもなりやすいと言われています。日本人でもシミになるリスクが高いのは色白の人と言えます」

シミの原因は多岐にわたる

そもそもシミは、メラニンを産生する細胞「メラノサイト」の異常で、通常より過剰にメラノサイトが産生される状態となったことが原因で出現する。メラノサイトの損傷は、紫外線や紫外線によって発生する活性酸素によって引き起こされると考えられている。

やながわ医師によると、色白の人がシミになりやすいリスクが高いといえども、ほかのスキンタイプの人がシミになりにくいわけではないという。では、肌がどのような状態だとシミができやすいのだろうか。

「皮膚のバリア機能が低下していると、肌が乾燥し、外部からの刺激や紫外線の影響を受けやすくなります。紫外線はシミの原因の大部分を占めていますが、紫外線だけが原因でシミになるのではありません。食生活や生活習慣に伴う『活性酸素が多い』『血流が悪い』『皮膚の細胞の生まれ変わりのサイクルが遅れている』などの因子が細胞のダメージをさらに大きくします」

ほかにも「肌の摩擦による赤み」「ニキビなど皮膚の炎症」「ストレスや寝不足」「大気汚染による肌の炎症」「酸化」「加齢による抗酸化力の低下」も原因となることがあるそうだ。また、肌に合わない化粧品の使用などもシミの原因になるケースもあるため、注意が必要という。特に女性はホルモン周期の影響を受けるため、プロゲステロンの増える黄体期にはシミになりやすい傾向があるとのこと。

色黒だとシミはできにくい!?

「フィッツパトリック分類から見てみると、日本人で日焼けして肌が黒くなりやすいのはIVのスキンタイプと言えます。V、VIは黒人の人に多く、日焼けによる褐色変化は判別不能となります。メラニンは太陽光線から肌を守るためのもので、もともとメラニンの数が多い黒人は、紫外線を浴びたときに新しく産生されるメラニン量が限られるためにシミのリスクは少ないと言われています。ただ、日本人は色黒だとしても、日焼け止めを塗布し、紫外線の防御を行っていないとシミになりやすいと言えます」

もともとメラニンの多い皮膚はメラノサイトが守られているため、損傷を受けにくく、メラニンの少ない肌よりシミや皮膚がんの発症は少ないと考えられている。シミや皮膚がんの原因は肌質や紫外線だけではないが、できるケアをしておくことが予防の上で重要となる。

シミを防ぐための方法

シミを防ぐためには、「日焼け止めクリームを塗って紫外線から肌を守る」「保湿をしっかりして常に肌を潤わせて」という2つの点が重要となる。

「日焼け止めクリームは、薄く塗っていても紫外線から十分お肌を守ることはできません。適量をしっかり塗布していただくうえで、2時間に1回は塗り直しが必要となります」

外出時は、日傘や帽子を使っている人も多いかもしれないが、空からの紫外線だけでなく、地面や水面から反射している紫外線にも注意が必要だ。また、UV-A(紫外線A波)は窓ガラスなどを通過して室内に入ってくるため、室内にいるときも日焼け止めを塗るなどしたほうがいいという。

「意外と見落としがちなのが、目から侵入する紫外線です。目から入った紫外線の刺激は脳に伝わり、紫外線からお肌を守るため、メラニンを作るよう指令を出します。それがシミの要因となるのです。サングラスをする際は、濃い色のものは瞳孔を開かせ、より紫外線を吸収してしまいますから、薄い色で紫外線をカットする効果のあるサングラスを選ぶようにしましょう」

やながわ医師いわく、日々のスキンケアは、水分と油分をしっかり与えて乾燥を防ぐことが大切。きちんと潤った肌は、ターンオーバーが正常に働いており、バリア機能が高いそうだ。

「日焼け後、皮膚が赤く炎症した状態はやけどと同じです。そのまま放っておくとシミができやすくなるので、日焼け後はすぐに冷やしたタオルやシートマスクなどで鎮静させるようにしましょう。日焼け後はお肌の中で活性酸素が発生し、正常な細胞を損傷してシミの原因となります。活性酸素をできるだけ発生させない、もしくはすぐに中和できるように、事前に抗酸化作用のあるものを口からサプリメントとして摂取したり、皮膚に直接塗ったりすることで、シミになるのを防ぐことができます」

日頃のスキンケアが大事なのはもちろんのこと、日焼け直後に急いでビタミントリートメントを行うことや事前のケアも重要だと、やながわ医師は強調する。

シミの原因となる食べ物

シミの予防・対策という観点では食べ物も肝要となる。シミ対策といえばビタミンCを摂取するとよいと思ってしまいがちだが、ただ摂(と)ればいいというものではないと説明する。

「ビタミンCは摂取するタイミングが重要です。朝食にビタミンCを多く含む食物(レモン、グレープフルーツ、オレンジ、キウイ、パセリ、セロリなど)を摂取すると、紫外線に反応する成分『ソラレン』が含まれていますので、摂取後2時間ぐらいが紫外線を吸収するピークになってしまいます。これらはなるべく夜に摂取することをお勧めします」

逆に朝に摂取しておくと効果的なものは、ベータカロテンなどのカロテン類。体内で必要なときにビタミンAとなり、抗酸化作用を発揮するそうだ。にんじんやかぼちゃなどから補ったり、サプリメントを活用したりしてもいい。

また、糖分過多な食べ物は糖化を起こすため、くすみやシミの原因となる。カフェインの過剰摂取も血行不良を起こし、皮膚のターンオーバーが乱れてくすみにつながってしまうため、気をつけたいところだ。

シミができてしまった後の治療法

一度できてしまったシミに対しては、以下のような方法がある。

1.シミ取りレーザーを照射し除去をする

シミに対してピンポイントでレーザーを照射することで軽いやけど状態を作り、異常組織だけを破壊させてメラニンを排出していく治療。濃いシミはもちろん、比較的薄いシミにも効果的だが、2週間ほど茶色のテープを貼る必要がある。

2.光治療によって濃いシミを薄くしていく

シミ取りレーザーよりやさしいIPL(Intense Pulsed Light)という光を肌全体に照射していき、数回かけてシミを薄くしながら、顔全体も美白に導く。濃いシミが複数ある人に効果的だが、肝斑がある場合は肝斑が濃くなってしまう可能性があるため、お勧めできない。

3.トレチノイン・ハイドロキノンによる外用薬治療

2種類の外用薬を使用する治療法で、トレチノインでシミの原因であるメラニンを排出し、ハイドロキノンでメラノサイトが新たなメラニンを作るのを抑える。

4.ビタミントリートメント

ビタミンA、C、Eなどを直接皮膚に超音波などで浸透させることで、皮膚の細胞の再生と修復を促す。ホームケアとして自宅でできるスキンケアもある。

5.内服

1~4いずれかの治療をする際にも、体内からのケアとして、メラニンを作るメラノサイトの活性化を抑えるトラネキサム酸と、メラニン生成を抑えるビタミンCなどの内服薬を併用することが推奨されている。

※写真と本文は関係ありません

監修者:やながわ厚子(ヤナガワ・アツコ)

美容皮膚科・美容外科・形成外科。En女医会所属。
美容皮膚科クリニック ヤナガワクリニックの院長を務める美容のエキスパート。
美容医療や化粧品に詳しく新しい美肌治療や化粧品や食事やサプリメントも含まれて体の中からも美肌を目指す。インスタグラムなども活用し、積極的に情報を発信している。二児の母でもある。En女医会所属。

En女医会とは
150人以上の女性医師(医科・歯科)が参加している会。さまざまな形でボランティア活動を行うことによって、女性の意識の向上と社会貢献の実現を目指している。会員が持つ医療知識や経験を活かして商品開発を行い、利益の一部を社会貢献に使用。また、健康や美容についてより良い情報を発信し、医療分野での啓発活動を積極的に行う。En女医会HPはこちら。