新型コロナウイルスが世界的に大流行し、個人レベルの対策では感染拡大が防ぎきれない状況になっています。すでに複数の国や都市で「ロックダウン(都市封鎖)」が行なわれ、住民の行動が制限されています。
日本でロックダウンが実施されても慌てないように、ロックダウンの正しい意味や生活への影響、各国の実施事例を知っておきましょう。
ロックダウンの意味
ロックダウンは本来、「刑務所で囚人の移動制限をする」という意味ですが、新型コロナウイルスが猛威を振るっている現状では「都市の封鎖」を指す言葉して使われています。
国や地域によって異なりますが、ロックダウンの実施下では、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために下記のような措置が取られます。
- 住民の外出制限
- 生活必需品販売店以外の営業停止
- 公共交通機関や空港、高速道路の閉鎖
- キーワーカー以外の出勤禁止
ロックダウンを実施している都市
新型コロナウイルスの感染拡大により、すでに複数の国や都市でロックダウンが行なわれています。各国の実施状況をいくつか紹介しましょう。
ニューヨーク
ニューヨーク州では3月22日午後8時から、在宅勤務の徹底と不要不急の外出を控えるための自宅待機が要請され、事実上のロックダウン実施となりました。「生活に必要とされるもの」の販売は許可されているため、スーパーやドラッグストアは営業を続けています。必要と判断した場合は各店舗への買い出しも可能です。
イギリス
イギリスでは3月23日から、全住民に対し3週間の外出禁止を要請するロックダウンを実施しました。スーパーや薬局以外のショップは閉鎖され、医療関係者などのキーワーカーを除いた出勤は認められません。
食料の買い出しや1日1回の散歩は許可されていますが、同居人以外との行動は禁じられています。外出時には、他人との距離を2メートル以上置かなければいけません。違反した場合には警察の介入もあり得ます。
フランス
フランスのパリでは、3月17日からロックダウンが実施されています。外出が許されているのは下記に該当するときのみです。
- テレワークではできない仕事をするとき
- 食品や薬の買い出し
- 通院
- 1日1回1時間程度の散歩
違反者には最高で約45万円の罰金が科せられ、悪質と判断された場合は最大6か月間の投獄になります。
ロックダウンの影響
ここからは、ロックダウンを実施した各国の影響を見ていきます。
中国
人工衛星などによる観測データをNASAが分析したところ、ロックダウン後の武漢市で二酸化窒素濃度の低下が確認されました。これは、ロックダウンにる人の移動や産業活動の停滞が原因と考えられています。
ニューヨーク
多くの店舗が営業を停止しているため、失業者の増加に歯止めがかからない状況が続いています。米国全体でも失業保険の申請者数は過去最多を記録し、ロックダウンによる経済活動の長期停滞が懸念されています。
イギリス
ロックダウンを機に解雇され収入が途絶えてしまった人も少なくありません。サービス業や飲食業の従業員は、とくに厳しい状況に陥っています。無期限閉鎖となった学校は再開の目処が全く立っていません。
フランス
学校は閉鎖されましたが、教師はリモートワークで勤務を継続し、授業をオンラインで行なっています。自宅にインターネットがない生徒には、パリ市が用意した17万台のパソコンとタブレットが貸与されました。
東京
1日の流入人口がおよそ290万人という東京が封鎖されれば、経済活動の低下は免れません。東京でロックダウンが実施された場合、1か月で実質GDP(国内総生産)が5兆1,000億円減少するという試算もあります。
封鎖の対象が都内だけではなく、埼玉、千葉、神奈川を含む南関東全域に拡大されれば、実質GDPの減少額は8兆9,000億円に達する可能性も指摘されています。
まとめ
すでに実施している国も多いロックダウン。日本で都市封鎖が行なわれた場合に他国と同じ状況になるとは限りませんが、日常生活への影響や制限される行動を予測しておくことは大切です。
「自分だけは感染しない」という根拠のない安易な考えは、感染拡大を招く大きな要因です。新型コロナウイルスは無症状でも感染力があるため、誰もが感染者になりえます。決して楽観視はせず、ロックダウンが実施された場合には不要不急の外出を控えて自粛要請に従いましょう。