昨今、新型コロナウイルスの感染拡大防止策として、外出自粛要請が出され在宅率が高まり、ラジオの需要があらためて注目されている。

そんなラジオ界であるが、株式会社ビデオリサーチが実施している個人聴取率調査がリニューアルされ、首都圏・関西圏・中京圏エリアの調査において4月から順次、紙の調査票に記入する調査方法からWEB調査に変更される。

さらに、この聴取率調査データと、インターネットでラジオが聴ける「radiko」のデータを使い、日々のラジオ聴取状況を推計した「ラジオ365データ」の提供を4月1日からスタートする。従来の聴取率は、首都圏で1週間×年6回の調査だったが、ラジオ関係者はそれ以外の期間も、聴取状況を毎日確認することが可能に。

このような変化をどう捉えているのか、ニッポン放送の『オールナイトニッポン』プロデューサー・冨山雄一氏にインタビュー取材。『オールナイトニッポン』では何の数値を重視するのか、個人聴取率調査リニューアルや「ラジオ365データ」提供による変化はあるのか、2020年度の改編などについて聞いた。

■2回連続で同時間帯単独首位に

  • 冨山雄一氏 -ニッポン放送提供

――2月17日から23日に行われた「ビデオリサーチ首都圏ラジオ聴取率調査」(12歳~69歳男女対象)では、『オールナイトニッポン』『オールナイトニッポン0(ZERO)』がどちらも全局中、同時間帯単独首位(月曜~土曜の平均)を獲得しましたね。『オールナイトニッポン』は昨年12月実施の調査に引き続き、2回連続の単独首位です。

そうですね。聴取率首位はうれしいです。ただ実は、僕が『オールナイトニッポン』のプロデューサーに就任(2018年4月~)してからは、『オールナイトニッポン』はすでに、聴取率とともにradikoの数値を判断基準にしています。radikoには「ライブ(生放送)」と「タイムフリー(聴き逃し)」、その合計である「トータル」という3つの数値があり、それを番組作りの上での評価軸にしています。

――TBSラジオが2018年12月から「スペシャルウィーク」を廃止し、radikoを番組制作の指標にする方針をとっています。『オールナイトニッポン』も、すでにradikoの数値も重視していたんですね。

もちろん2カ月に1回の聴取率調査は、ニッポン放送としてはその数値を基にスポンサーについていただいたり、ラジオの数字を測る上で大事な指標ではあります。ただ、聴取率のサンプルが人口分布が反映されているので50代~60代が多いこともあり、若年層をターゲットにしている『オールナイトニッポン』としては、radiko数値の方が実感としては感じやすいですね。

――そうなんですね。

実はradikoだけの数値でいうと、この1年前くらい前から非常に伸びています。『オールナイトニッポン』と『オールナイトニッポン0(ZERO)』の数字は、ここ数年で、タイムフリー数字が生放送の数倍も聴かれていることもあり、トータル数字が非常に底上げされています。

■岡村&オードリーの『ANN』は「良いバランス」

――radikoの数字以外で、指標にしている数字などはありますか。

SNSで番組について呟かれている内容だったり、『オールナイトニッポン0(ZERO)』は、動画配信アプリのMixChannelと同時生配信しているので、それらの数字も見ています。評価基準はすごくいろんな指標からできると思っています。よく僕は、『オールナイトニッポン』のディレクターには、3要素の話をしています。

――3要素とは具体的にどんなものですか。

まずは聴取率やradikoの再生数など、数字的に見ることができるところですね。そしてブランディングという点で、その人がしゃべっていることの価値とか、話題発信がどれくらいできているかとかいうところ。3つ目はマネタイズで、スポンサーがついていたり、イベントなどのいわゆる放送外収入の要素などの点。

もちろん大前提として、『オールナイトニッポン』は面白くなければいけないので、多くの人に面白い番組と思ってもらってることが一番大切です。そういう意味では、岡村隆史さんやオードリーさんの『オールナイトニッポン』は、特にその三角形が大きいし、良いバランスだと思います。