近畿日本鉄道は23日、大和西大寺駅で南北自由通路の一部供用開始に合わせ、新たな増床エリア開放と自由通路に接続した中央改札口を4月19日から供用開始すると発表した。あわせて大型マルチディスプレイを利用した案内、AIを活用した案内ロボット、車いす利用者の見守りシステムなどを試験導入する。

  • 大和西大寺駅の中央改札口(南北自由通路からの眺め)のイメージ

大和西大寺駅では、南北自由通路とこれに接続する中央改札口の供用開始にともない、4月18日の最終列車後に北改札口を閉鎖。翌19日の始発列車から、南北自由通路に接続した中央改札口を供用開始する。南改札口は引き続き利用できる。

また、近鉄が先端技術を活用した新しい駅運営のあり方として検討してきた「近未来ステーション構想」の一環で、大型マルチディスプレイを利用した案内やAIを活用した案内ロボット、車いす利用者の見守りシステムなどを大和西大寺駅に試験導入する。

大型マルチディスプレイは55インチで中央改札口内に9台設置し、駅利用者に対する案内機能を強化する。電車の発車時刻、のりば案内・沿線の案内といった情報に加え、事故や災害によるダイヤ乱れ等の発生時は運行情報など提供する。

  • 中央改札口への通行ルート

  • マルチディスプレイでの案内画面

  • 中央改札口カウンターに設置するロボット

  • 改札内コンコースに設置するロボット

AIを活用した案内ロボットは中央改札口カウンターとコンコース内に設置。「乗換案内」「駅構内や駅周辺の案内」「よくあるお問い合わせへの回答」などを多言語(日・英・中・韓の4カ国語)で行い、問い合わせに対して適切な回答(案内)ができているか確認しつつ、案内ロボットを育てていく。多様化する利用者のニーズへの対応や、増加するインバウンドに対する多言語での案内など、駅での案内サービスを充実させる。

車いす利用者の見守りシステムは6月下旬に本稼働の予定。改札口上に設置したカメラを通じ、中央改札口・南改札口から入場する白杖を持つ利用者や車いす利用者をAIが自動的に認識し、駅務室内の専用パソコンから駅係員に連携するシステムに。駅係員が他の業務中でも、手助けが必要な利用者の来駅に気づきやすくすることで、より安心して安全に利用してもらえる駅をめざす。

その他にも、生体認証機能の活用に向けて、中央改札口と南改札口の自動改札機(それぞれ1台)に指紋認証装置を設置。駅構内店舗の従業員を対象として使用し、生体認証に関する課題の抽出とさまざまな生体認証機能の活用に向けた検討を実施する。

  • リニューアル後の南側外装イメージ(画像左)とリニューアル後の内装イメージ(同右)

今後の大和西大寺駅のリニューアル工事では、「和の伝統と現代技術の融合」をイメージコンセプトに、外装は光沢のあるダークグレーの色合いにランダムな表面加工を施し、陰影をつけることで先進性を表現しつつ、格子をモチーフとした木目調フィンルーバーをアクセントとしたデザインを採用。内装は木目調と石調をベースにシンプルなデザインとする。現在、駅の北側と構内地下道にあるトイレは移転・統合し、より快適に利用できるトイレも整備。段差のない広々とした空間づくりやパウダーコーナーの設置も計画しており、2021年12月頃から供用開始を予定している。