NHK 連続テレビ小説『なつぞら』で主演を好演した広瀬すずがコメディ作で初主演、そして2021年の大河ドラマ『青天を衝け』で主演を務める吉沢亮がまさかの「存在感のないゴーストキャラ」を演じた、映画『一度死んでみた』が20日より公開される。

ソフトバンク「白戸家」シリーズなどを手がけ数々の賞を受賞、映画『ジャッジ!』で脚本も務めた澤本嘉光氏が脚本を手がけ、au「三太郎」、日野自動車「ヒノノニトン」、家庭教師のトライ「ハイジ」等話題のCMを数々世に送り出す浜崎慎治氏が映画初監督を務めたことでも話題を呼んでいる同作。

売れないデスメタルバンドのボーカルで、いまだ反抗期中の野畑七瀬(広瀬)は、「2日間だけ死んじゃう薬」を飲んだ製薬会社を経営する父親・計(堤真一)を救うために、計の秘書で、”ゴースト社員”と呼ばれている松岡(吉沢)とタッグを組む。『なつぞら』では幼なじみを演じ、お茶の間を涙させた2人だが、今作では2人ともはじけた姿に!? バディとなった広瀬と吉沢に、作品の話を聞いた。

  • 映画『一度死んでみた』に出演する吉沢亮、広瀬すず (写真:マイナビニュース)

    左から吉沢亮、広瀬すず 撮影:大塚素久(SYASYA)

■『なつぞら』の前に撮っていた『一度死んでみた』

――事前に伺っていたところだと、『なつぞら』の撮影があってから、『一度死んでみた』の撮影に入り、さらに終わった後『なつぞら』……と今作が挟まれていたそうですね。役柄の違いや、違う作品で続けて共演した印象をぜひ教えてください。

吉沢:1カ月間『なつぞら』の撮影に入った後に今作の撮影に入りました。しかも僕は、そのうち3日間くらいしかすずちゃんとのシーンがなかったので、最初はむしろ『一度死んでみた』の印象の方が強かったんです。そこから『なつぞら』に戻ったから、『なつぞら』の方が大変でした(笑)。『一度死んでみた』のインパクトが強くて、『なつぞら』のなっちゃんという純粋無垢な女の子を、純粋無垢な目で見られないということはありました。

広瀬:私も、なつがピュアな女の子だからこそ、「天陽くーん!」といかなきゃいけないのに、もう「『一度死んでみた』で、あの顔もこの顔も見られてるな……」という恥ずかしさはあって(笑)。戻ってから2カ月くらいの『なつぞら』は、ピュアなシーンが多かったので、「どうしようかな」と思っていたところもありましたが、私は髪を染めたり、おさげをつけたりと、見た目から違ったので、切り替えはしやすい方だったかもしれません。

――全然違う役で、互いに違う姿を見ていたと思うのですが、役者としての幅広さは感じましたか?

吉沢:広いです。

広瀬:(笑)

吉沢:どちらかというと、なっちゃんのようなすずちゃんの方が、印象としては強いと思うんですけど、逆に七瀬のように爆発してるすずちゃんは意外だと思うし、僕も初めて見た時は結構怖かったです(笑)。「こんな顔もできるの!?」みたいな。コメディ初挑戦と言いつつ、全然そんな感じもしないし、弾けてるし面白いし、「役者さんってすごいな!」と思いました(笑)。

広瀬:私は極端な役だったので……吉沢くんが演じた松岡と天陽くんは、どちらも落ち着きがある役なのに、こんなに生き方が違って、対面した時に感じる音も違ったので、「役者さんってすごいな」って(笑)。同じことを思ってました。すごく刺激的でした。

――au「三太郎」のCMなども手掛けられている浜崎監督が初監督ということで、普段の映画の現場と違いはありましたか?

広瀬:確かに、普段の映画の現場よりもちょっとCM要素があるようなところはありました。いろんなテイクを重ねてパターンをとってみたり、監督が「OK!」と言ってくれるけど、さらに何パターンか撮ったりもして、繋がって完成するまで、どのリアクションが使われたのかわからなかったので、独特な現場だなと思いました。でも、監督は楽しそうだったのでよかったです。

吉沢:ワンカットにかける感覚が、CMぽい。映画って、最終的につながって観る印象がありますけど、この映画はワンカットに全力で笑いを入れるというか、「1回で絶対笑わせてやる」みたいな気持ちを感じました。こちらもそういう思いがあったし、監督も求めてくれる感じが、CMぽくて、普通の映画とは違うなというイメージがありました。

――吉沢さんはコメディもたくさんされてますが、コメディ初挑戦の広瀬さんへのアドバイスは?

吉沢:ないです!(笑)

広瀬:欲しかったなあ(笑)

吉沢:完璧でした(笑)

――ちなみに、浜崎監督への取材もあるんですけど、お二人から何か聞いてみたいことがあればぜひ……

広瀬:え〜なんだろう? 「全部撮り終わった日、どういう気持ちでしたか?」と聞きたいです。初の長編映画だったし、映画の事、嫌いになってないかな? 私は楽しかったけど、大変だと思うこともたくさんあると思うんです。特に私のクランクアップの日は、「あと○分で撮りきらなきゃ!」と時間に追われてたようで、話す機会がなかったから、聞いてみたいです。

吉沢:僕は……「初監督で、この役者厄介だな」と思った人は誰でしたか? と(笑)。

――たくさんの役者さんが出られてましたもんね(笑)。厄介という観点でなく、吉沢さんの印象に残ったのはどなたでしたか?

吉沢:やっぱり、リリー(・フランキー)さんです。堤さんとリリーさんの絡みが本当に面白かったし、映画の完成を見ても安心感が凄かったです。