映画やドラマに引っ張りだこの若手俳優・磯村勇斗は、ドラマ『サ道』への出演をきっかけにサウナにハマった「サウナー」でもある。3月20日からは、自身が案内人を務めるサウナ番組『サウナーーーズ ~磯村勇斗とサウナを愛する男たち~』(WOWOW 毎週金曜 23:30~ 全6回 ※第1回無料放送)がスタートする磯村に、趣味と実益を兼ねた番組誕生の喜びや、サウナがきっかけとなった自身の変化、そして海外に対する思いなどを語ってもらった。

「ととのう」とは「体が溶けていくような・浮いていくような感覚」

『サウナーーーズ ~磯村勇斗とサウナを愛する男たち~』に出演する磯村勇斗

磯村勇斗
1992年9月11日生まれ。静岡県出身。中学生のとき、自主映画を製作したことがきっかけで役者を目指す。いくつかの小劇場を経験したのち、芸能界入り。『仮面ライダーゴースト』で注目を集め、その後はNHK連続テレビ小説『ひよっこ』や、ドラマ『今日から俺は!!』など数多くの作品に出演。2019年には、ドラマ『サ道』で"イケメン蒸し男"を演じ、これを機にサウナの虜になったほか、フィンランドサウナアンバサダーにも就任するなど、芸能界で若手の「サウナー」として活躍中
ヘアメイク:佐藤友勝 スタイリング:齋藤良介

――磯村さんが「サウナー」であることを知らない人も、まだいるかと思います。なぜサウナが好きになったのか、改めて振り返っていただけますか?

「ととのう」という言葉があるんですけど、「ととのう瞬間」を求めるんですよね。「ととのう」というのは、体が溶けていくような・浮いていくような、ちょっとスピリチュアルな世界に飛んでいくような感覚なんです。言葉ではあまり理解してもらえないんですけど(笑)。その「ととのう」を味わうと、心と体がリセットされると言いますか、その日の疲れとか、悩み・不安っていうのがなくなる。それが一番の醍醐味なんでしょうね。

サウナは「心の整体」と言われているくらいなので、心とともに体もメンテナンスできるかなって。特に、女子は絶対にサウナに行った方がいいですね。暑いとか、水風呂は冷たいっていうイメージがあると思うんですけど、初心者に優しい場所もあります。女性は冷え性もあったり、ホルモンバランスが不安定になったりする方も多いと思うので、そういった方には非常におすすめです。

――そんな磯村さんに本番組のオファーがあったときは、喜びもひとしおだったのでは?

最初に『サウナーーーズ』というサウナの番組を持たせていただくって聞いたときは、本当にうれしかったですね。やっぱりサウナが大好きなので、好きなものを仕事にさせていただけるっていうのは、なかなかないことなので。しっかりと、サウナをみんなに広めたいって思いました。

――「サウナー」になってからは、体調面やメンタル面で、どんなプラスの変化がありましたか?

ありがたいことに、お仕事が続いたりしている中で、サウナに入る前は、なかなか切り替えがうまくできないなっていうときがあったり。作品が重なっていたりすると、どうスイッチを持とう(替えよう)だとか、不安なところもあったりしたんですけど、サウナに出会ってからは、その切り替えの一つにも使えるようになりましたし、疲れていてもサウナに入って、次の日はリセットされて、万全な状態で臨めるようになったので、非常にサウナに助けられた1年でもあったと思いますね。

――実際に撮影の現場でお芝居をしていても、サウナ効果を感じますか?

力むことがなくなったかもしれないですね。「自然体でどう過ごせるか?」みたいなことは、サウナに出会ってからかもしれないです。

  • 『サウナーーーズ ~磯村勇斗とサウナを愛する男たち~』

サウナが浸透している理由は?「やっぱり癒しを求めちゃう」

――俳優仲間で「サウナ組合」の結成も視野に入れているという磯村さんですが、サウナがきっかけで繋がった、他ジャンルの方との交友関係があれば教えてください。

サウナ施設の方とか、SaunaCamp.の方とか、サウナを知らなかったら普段は絶対に出会えないだろうっていう、専門の方々に出会うことができましたね。サウナに、より詳しい方々に。それはすごくいい機会だったと思います。あと、仕事をしている中で、プロデューサーさんや監督さんには、サウナ好きな方がけっこう多いので、一つのコミュニケーションの材料になって、そこから会話が進んでいくこともあったりするので、役立っていますね。

――『サ道』きっかけでハマる前にも、サウナ歴はあったんですか?

サウナに行ったことはあったんですけど、苦手だったんですよ。水風呂も入れなくて。『サ道』に出演するにあたって、やっぱり水風呂のシーンとかもあるので、水風呂に入っていない人が気持ちいい顔は絶対にできないなと思って。『サ道』に入る前に克服して「こんなに気持ちいいものだったんだ」と気づいて。(ハマったのは)そこからですね。

――今やサウナは、日本文化として世代を問わず浸透していると思います。サウナーとして、どんな理由が考えられますか?

やっぱり、サウナを愛しているサウナ施設の方とかの間で、宣伝というか、広めようという力が、今かなり強いんですよね。どこの施設のオーナーさんも。芸人さんでは、マグ万平さんという有名な方がいるんですけど、そういう方々が「広めたい」という思いを持って発信されているので、その影響もある中、やっぱり『サ道』というドラマがあったこと。あと、サウナって日本の社会と深く関わってきているんじゃないですかね。働くことを頑張ってしまう日本人の性格に、憩いの場というサウナが(合う)。

もともと日本人は、温泉が体に馴染んでいると思うんですけど、やっぱり癒しを求めちゃうんじゃないですかね。来ている人たちを見ると、本当に幸せそうな顔をしているんですよ。サウナ室にいたり、水風呂に入ったり、ととのっているときに。それを見ると、こっちも幸せになります。どこか落ち着く場所が欲しいんじゃないですかね。会社だったり、人間関係で、悩んだりする方もいるじゃないですか。自分の世界に入れるところが欲しいのかなあと思います(笑)。

――配信サービスの発展などもあり、日本から海外に進出される俳優さんも増えてきました。今回はフィンランドという国を訪れることになりましたが、磯村さんは世界という舞台に対して、どんな思いを抱いていますか?

今は世界でもアジアが注目されてきていると思うんです。今回のアカデミー賞でポン・ジュノ監督が4冠を獲ったっていうのは、かなり大きいと思うので、アジア人がより芸術で世界に発信していくべき時代なのかなと感じています。アカデミー賞では韓国がリードしましたが、日本もまだまだチャンスはあると思うので、そこの一員として、自分も乗っかっていきたいっていう思いがあります。

それが俳優としてなのか…そこはまだ、自分も明確に先は見えていないですけど、いずれ。そこを僕たち20代の世代などが、今後作っていかなきゃいけない時代でもあると思うので、いろいろ見たりしています。日本だけでなく、グローバルに視野を広げているところではあります。

――磯村さんと言えば、ゾンビ映画、都市伝説、料理など、多趣味なことで知られています。サウナ以外で「こんな番組やってみたい」というものはありますか?

最近、乗馬を始めまして。全く作品とは関係なく、馬と触れ合って、馬に乗る自分って、どういう人なんだろう? と思って。

――様になっているのが絵に浮かびます!!

馬って、奥深いと思うんですよ。乗れるまでに。いずれ日本で乗ったら、世界の色々なところで「馬旅」ができるので、『世界馬紀行』とか、そういうのがやりたいなと思いますけど(笑)…いま急に思いついたやつですからね(笑)。

――それこそ乗馬なら、役作りにも行かせますね。

最終的に仕事につながるもの、俳優として、役立つものには、どんどん手を出していきたいと思っています。