唐沢寿明主演のテレビ東京系ドラマスペシャル『あまんじゃく 元外科医の殺し屋 最後の闘い』(30日21:00〜)の共演者が18日、明らかになった。

  • 上段左から山中崇、大鷹明良、柴本幸。下段左から中村俊介、金田明夫、松本若菜

    上段左から山中崇、大鷹明良、柴本幸。下段左から中村俊介、金田明夫、松本若菜

同作は唐沢が長年に亘り映像化を熱望していた藤村いずみによる幻の原作を実写化。元外科医の殺し屋・折壁嵩男(唐沢)は、医療の知識を駆使し、証拠を残さず、法で裁けない悪人を闇へと葬り去っていく。ある時中学生からの依頼を受け、自身の過去に触れるとともに医療の巨大な陰謀が明らかになっていく。2018年9月に放送して高視聴率を獲得し、Twitterでも日本トレンド入りするなど大きな話題を呼んだ『あまんじゃく 元外科医の殺し屋が医療の闇に挑む」の続編となる。

今回明らかになったのは、依頼人で元料理人の宗村将史役の金田明夫、悪徳料理評論家・三波正昭役の大鷹明良、ある組織の戦闘要員・比留川茂役の山中崇、闇金融の借金取り・椙山啓介役の中村俊介、内科医・梶睦子(木村多江)の紹介だという依頼人・椙山絵麻役の柴本幸、嵩男に近づく謎の美女・煮雪梨花役の松本若菜、睦子の息子・梶優雨役の高橋來という6人。

職業や年齢もバラバラな6人はどんな経緯で、どんな手法で、どんな思いで悪事に手を染めていくのか。多種多様な悪人が、唐沢演じる折壁嵩男と複雑に絡んでいく。

テレビ東京 制作局ドラマ室 田淵俊彦プロデューサー コメント

ギリシャ神話の智慧の神プロメテウスが、炎の神ヘパイストスの竈から火を盗み出し人間に与えたことで、人間は多くの文明や技術を産み出した。しかし、同時に人間は火で武器を作り、戦争を始めるようになった。平和でもめごとがなかった人間界は急変して悪にまみれ、年がら年中いざこざや争いごとが起こるようになったのだ。以来、世の中には「善と悪」「清と濁」が混在する。そんな当たり前のことがわからなくなるほど、現実社会には「虚と実」が忍び込んでいる。一体、何が悪で何が正義なのか。今、私たちはそういった「悪の真理」を深く読み解くべき時にいるのではないか。
ソクラテスは言った。「誰ひとりとして悪を欲する人はいない」。ギリシャ語の「善」という言葉には道徳的な意味合いはない。「自分のためになる」という意味だけだ。何と独善的な言葉だろうか。逆に、「悪」とは「何のためにもならない」という意味だ。盗人は自分のために必要なものだから盗むのだから道徳的には間違ったことはしていないというのだ。このパラドクスをみても、「善と悪」が如何に主観的な感覚かがわかるだろう。
私は『あまんじゃく』はそんな哲学的思想に溢れた作品だと思っている。今回の「悪」は、そんな私の思いを代弁して頂ける方々に演じて頂きたかった。そして大ベテランの金田明夫さんを始めとして、大鷹明良さん、中村俊介さん、柴本幸さん、山中崇さん、松本若菜さんという私が信頼する実力派の皆さんにお願いすることが叶った。その演技は迫真に満ちていて、「果たして主人公の唐沢寿明さんが立ち向かうことができるのだろうか」と思えるほどの、見事な「悪人」像が出来上がった。さすがである。彼らの誰が悪人で、誰が善人なのか? 誰が嘘をついていて、誰が真実を語っているのか? そして誰が間違っていて、誰が間違っていないのか? 視聴者の皆さんはそのパラドクスに悩むことだろう。しかし、それはきっとテレビの前での楽しい作業になるに違いない。