阪神電気鉄道と都市再生機構(UR都市機構)は16日、阪神沿線のUR賃貸住宅団地を中心とした地域の活性化に資することを目的に、包括連携協定を締結したと発表した。この一環で、UR都市機構が阪神電気鉄道から「赤胴車」と呼ばれる鉄道車両1両を譲り受けて武庫川団地内に設置し、地域のコミュニティ拠点としての活用を予定している。

  • 「赤胴車」の武庫川団地への設置イメージ

阪神沿線には約2万戸のUR賃貸住宅があるという。阪神電気鉄道は「魅力あふれる沿線の創造」をめざし、地域関係者と連携して地域活性化に取り組んでいる。UR都市機構も、多様な世代が生き生きと暮らし続けられる住まい・まち「ミクストコミュニティ」の実現をめざし、UR団地の「地域医療福祉拠点化」を進めている。両者は今後、人口減少や少子高齢化の進行という課題を共有し、コミュニティ形成や子育て支援を充実させることによる地域の活性化に取り組んでいく。

具体的な連携施策として、阪神電気鉄道が沿線活性化施策として取り組む「子育て支援」「女性活躍支援」「ウォーキング」といったイベントをUR団地で実施するほか、60年以上にわたり親しまれた阪神電気鉄道の「赤胴車」と呼ばれる鉄道車両一両(7990形または7890形)をUR都市機構が譲り受け、武庫川団地内に設置し、地域のコミュニティ拠点として活用する。

  • 武庫川線で活躍中の「赤胴車」(7990形)

阪神電気鉄道の「赤胴車」は、1958・1959年に急行用として製造された車両(3301形・3501形)の外装において、上部をクリーム色、下部をバーミリオンで塗り分けたことから、当時人気だった漫画のキャラクター「赤胴鈴之助」にちなみ、「赤胴車」の愛称で呼ばれるようになった。後に製造された車両の配色にも採用され、阪神電車の伝統のカラーとして多くの人に親しまれたが、現在は武庫川線に2両編成の車両が4編成残るのみ。武庫川線での運行も2020年度内に終える予定となっている。