長谷川博己主演のNHK大河ドラマ『麒麟がくる』(毎週日曜20:00~)で、8日放送の第8回より染谷将太演じる織田信長が本格登場。「うつけ者」と言われる若き信長と、りりしくも賢い帰蝶が、どんな夫婦になっていくのかに期待が高まる。信長の妻となる帰蝶役を好演中の川口春奈を直撃し、帰蝶の宿命や染谷との共演について話を聞いた。

『麒麟がくる』

『麒麟がくる』帰蝶役の川口春奈

時代は、明智光秀(長谷川博己)、斎藤道三(本木雅弘)、織田信長(染谷将太)など、戦国の英雄たちが群雄割拠する乱世。川口演じる帰蝶は、美濃の守護代である道三の娘で、光秀の従姉妹に当たるが、道三の差し金により、信長と政略結婚をすることになる。

――帰蝶を演じるにあたり、どんな点を意識されていますか?

帰蝶は激動の時代を生き抜いた女性で、すごく芯の強さがあり、とても賢い人。信長をコントロールしたり、凛とした強さがあり、自分の芯がぶれないような女性を演じてほしいと言われたので、そこは常に心掛けて演じています。

――帰蝶は、人質として、織田信長のもとへ嫁ぐことになりますが、戦国時代の姫としての宿命についてどう思いましたか?

帰蝶にとっては、生まれた時から背負っている使命や宿命で、断ることはできないし、光秀と離れなければいけないという切なさもあり、自分の中での葛藤はすごくあったと思います。でも、その中で自分がやるべきことを見極め、尾張に嫁がなければいけないと覚悟を決めたシーンは、意識して臨みました。当時はそれが当たり前のことであったと思いますが、私にとっては理解しがたい宿命だなと、演じながら感じていました。

――光秀とやりとりをするシーンも非常に切なかったです。

本当は行きたくなかったはずですし、光秀と離れたくもない、行くことを止めてくれるのはあなたしかいない、と思っていたはずです。でも、彼に行ってほしいと言われてしまう。もちろん行くことに変わりはないけど、本当は止めてほしかったのかなと思います。言葉では嘘をついていますが、「私はどうしたらいいの?」という本音を出せるのは、光秀しかいなかったのではないでしょうか。

――同じように光秀に惹かれる駒と帰蝶が、お互いに恋心を打ち明けるシーンにも大いに共感しました。

帰蝶と駒は、ライバル心というよりも、2人とも叶わぬ恋心を秘めているから、それを共有し合う関係性だと思います。駒は身分が釣り合わず、帰蝶は別の人のところに嫁がなければならない。2人はガールズトークをしていますが、内容は悲しいものですね。帰蝶は駒といると、自分の素を出せるので、楽しい時を過ごせたり、普段は見られない表情が見られるのかなと思います。

――2人は光秀のどんな点に惹かれたのでしょうか?

光秀は、あの時代を生きる彼の立場ならではの責任感があり、人を斬ることに違和感を抱え、いつか自分が世を変えたいと思っています。また、好奇心旺盛でタフなところ、ほっておけないところ、優しいところも素敵で、近くにいると、もっと知りたくなるし、気になってしまうのかなと思います。

――織田信長役の染谷将太さんの印象を聞かせてください。

キャラクターが濃い信長を、染谷さんがコミカルにも演じられています。子どもらしく、天真爛漫な部分があったと思えば、潔く物事を決める瞬間があったりもします。帰蝶もそうですが、いろんな顔があってすごく新鮮だし、面白いなと思いながらお芝居をさせてもらっていす。

――今回特に、ただ強いだけではない信長像となっているのがとても興味深いです。

突拍子もない言動をする信長について、帰蝶は「なんだ、この人!?」と最初は思いますが、自分が育ってきた環境や、母親との関係性などを聞いていくと、すごく切ないものもありますし、帰蝶と通じるものもきっとあるのかなと思います。信長は、いつもヘラヘラケラケラしていて、やることが大胆で面白いから、帰蝶はどんどん信長にのめりこみ、惹かれていくのではないかと思います。

――織田家と斎藤家の温度の違いも描かれていきます。

帰蝶はすごく難しい立場にいると思います。たとえ家族間であっても、実の父親の道三に対しても、織田信秀に対しても、常に企みを持ちながら、賢く物事を考えていくイメージがあります。

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■プロフィール
川口春奈(かわぐち・はるな)
1995年2月10日生まれ、長崎県出身。雑誌『ニコラ』のモデルとして活躍後、2009年に女優デビューし、ドラマ、映画、CMと幅広く活躍。主な近年の映画出演作は、『クリーピー 偽りの隣人』(16)、『にがくてあまい』(16)、『一週間フレンズ。』(17)、『九月の恋と出会うまで』(19)など。ドラマは日本テレビ『愛してたって秘密はある。』(17)、Amazonプライム『しろときいろ』(18)、テレビ朝日『ヒモメン』(18)、日本テレビ『イノセンス -冤罪弁護士-』(19)など。

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