『キラッとプリ☆チャン』だいあ役や『邪神ちゃんドロップキック』ぽぽろん役などで声優としても活躍する一方、ソウルフルな歌声を活かして歌手としても多数のアニメ・ゲーム主題歌を歌唱してきた佐々木李子。

  • 佐々木李子(ささきりこ)。1997年11月10日生まれ。秋田県出身。2月26日にはTVアニメ『痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。』EDテーマ「Play the world」を発売。主な出演は『キラッとプリ☆チャン』だいあ役や『邪神ちゃんドロップキック』ぽぽろん役など
    撮影:稲澤朝博

彼女が2020年第一弾シングルとしてリリースするのが「Play the world」だ。表題曲は『痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。(以下:防振り)』のEDテーマとして起用された、彼女随一の明るくポジティブなナンバー。それ以外にも自身の新境地をみせる楽曲揃いとなったニューシングルについて、存分に語ってもらった。

●アップテンポながらも「EDでよかった」と思えた表題曲

――今年1月に2ndワンマンライブを開催されました。ご自身にとって、どんなライブになったと思われていますか?

いちばん強く思っているのは「みんながいたから、できたライブだな」ということで。実は開催1カ月前ぐらいの時点で、チケットがやっと半分売れたという状態だったんです。でも、リリースイベントやライブを通じてだったり、あとはチラシ配りをしたりするなかで、ファンのみなさんも「私が本気で頑張っているんだな」と感じてくださったからか、友達を誘ってくださったりCD配ったりしてくださって……そのおかげで、当日は満員で開催できたライブになったんですよ。

――ライブ当日はもちろん、プロセスも含めて感慨深かった。

そうですね。私、「認められたい」とか「褒められたいから、うまく歌わなきゃ!」みたいに思っていた時期もあって。その頃は、ライブでも独りよがりで歌っていたと思うんです。でも2ndワンマンを通じて、間近にしたお客さん一人ひとりと目と心を合わせて歌うことってすごく大切なことだと感じて。その感覚は、これからもずっと大事にしていきたいと思いました。

――今回リリースされるニューシングル「Play the world」は『防振り』のEDとなっています。作品自体へはどのような印象をお持ちですか?

毎週リアルタイムで観てツイートもしているんですけど(笑)、面白いです! 主人公の(本条)楓ちゃん……メイプルちゃんが、ゲーム初心者ならではの「えっ、そんな倒し方で進んでいくの!?」っていう斬新な戦い方をするなど、観ていてすごく笑えるところもたくさんあるので、私は「毎週の癒やし」というふうに思っています。

――第1話の、ドラゴンの倒し方から破天荒でしたよね。

そうなんですよ!「食べて倒す」っていう(笑)。私もゲームすごく好きなんですけど、いつもパラメーターを割り振るときは結構防御に振ってサポートする側にいるので、共感できるところも結構あるんですよ。それに、防御に極振りした結果、盾で敵を倒せるっていうのもすごいし……新鮮さを、常に感じます。

――そんな作品のEDになると聞いたうえで「Play the world」という楽曲を受け取られて、最初の印象はいかがでしたか?

「あ、EDなんですか!?」って思いました。始まりを感じさせる曲なので、2回ぐらい「えっ? EDで合っていますよね?」みたいに聞き直した気がします(笑)。曲自体もすごく明るくて、『防振り』さんのストーリーにもちなんで「いろんな世界を冒険したい!」っていうワクワクした気持ちが込められているので。でも、「むしろEDでよかったな」と思うようになっていって。

――それは、なぜですか?

曲に次に繋がっていく感じというか、「新しい世界をみんなと一緒に冒険していこう!」というワクワクが込められていたからです。それに、2ndワンマンで初披露したときも、サビで「もう一回 明日へ(明日へ)」とコール・アンド・レスポンスをしたら、「みんなと一緒に旅に出る!」っていう楽しい想いがあふれてきて。みんなもとてもいい笑顔で一緒に歌ってくれたし、私自身そのときもレコーディングでも楽しんで歌えたので、自然に笑顔になれる曲だなって思いました。

――さまざまな場面で、楽曲からの明るさを感じた。

はい。これぐらい笑顔で歌った曲って、初めてなんですよ。ピンクで春らしい感じのCDジャケットもほぼ初めてですし、PV撮影も今までにないくらいずっと笑顔で歌わせていただいたので、新たな自分を見つけられたなとも思います。レコーディングも常に笑って歌っていたら、いつの間にか終わっていた……っていう感じでした。

●歌だけでなく、MVでも自然と笑顔あふれる楽曲に

――いつもと楽曲のテイストが少し違うことで、苦労した部分はありませんでしたか?

はい。いい意味で、難しさとかはあまり頭で考えずに思いっきり楽しんで歌えたので。結構私、根はネガティブ思考なんですけど(笑)、自分の中にあるポジティブさや"陽"の部分を最大限に引き出して、楽しんで歌いました。

――特に歌っていて、お気に入りのポイントは?

素敵な言葉がいっぱいあるんですけど……たとえば1番Bメロの「偶然できっと 運命は動いている 思い出せば ささいなことも 奇跡のようで」というフレーズは、私がデビュー当時に秋葉原でチラシ配りをしていて、そこでたまたま出会った方に今でも応援してくださっている方もいるのですごく共感しますし、ワンマンライブでも皆さんを前にしながら「こうして出会えていることって、本当に奇跡なんだ!」と感じながら歌った記憶があります。あとは、2番のBメロの「変わっていく この心は 色を増して」というフレーズ。最近、自分の音楽に対する思いがだんだん変わっていっているなと感じるんですよ。

――どう変わってきているのでしょう?

私、デビュー前は人に心を開くことができなくて。自分の意見を言うことも苦手だったし、世界のイメージがモノクロな感じだったんですよ。でもだんだんいろんな世界を知っていろんな方と出会うにつれて、世界が色づいていっているように感じるので、すごく共感するしお気に入りのフレーズなんです。

――そしてこの曲では、MVも撮影されました。

撮影は12月で、山梨の森の近くで撮ったんですけど、その日はいい天気ですごく春っぽい日だったんですよ。寒くないようにカイロも貼りまくって"暖かさに極振り"みたいな感じにしたんですけど(笑)、それだとちょっと汗をかくぐらい暖かかったんですよね。それに、佐々木李子としてはバンドスタイルでの撮影が初だったんですけど、うしろには仲間たちがいるっていうところも曲にすごく合っていて。

――パーティー組んでいる感、ありますよね。

たしかに! そこも「一緒に行こう!」みたいな感じがしましたし、アイコンタクトとかもしながら撮影するのが楽しかったです。私は笑顔がぎこちなくなってしまうことが多いんですけど、このときは心から自然に笑えて。「ずっとこの時間が続けばいいのに」みたいな気持ちでした。撮影の合間にも、一緒にみんなでカレー食べて……。

――キャンプじゃないですか(笑)。

そう(笑)。みんなで一緒に撮影場所へ行って、お昼は自分たちでカレーよそって、帰りは一緒にバスで寝て……修学旅行みたいな気分でした。その他にも、ネコちゃんがてくてく歩いて遊びに来て懐いてくれて……初回盤付属のメイキングにはネコちゃんと戯れているほっこりした映像もあるので、そこも楽しんでほしいです(笑)。