また、審査方法も大きくリニューアルした。それまでは一般公募の約400人がそれぞれ1票を投じていたが、今回はプロの審査員6人(1人1票)+データ放送からの視聴者投票(1票)という方式に変更。それは「芸人さんに聞くと、『勝っても負けても、その理由が知りたい』という声があったんです。説得力のあるお笑いのプロの方が選んでくれて、アドバイスが聞けると、次につながるし、納得感があるという話が結構あったんです」ということで、プロ中心の審査に移行した。
一方で、視聴者投票も番組を楽しむツールとして重要であることから、1票ながら継続。だがこれが、ただの投票システムではなかった。
今回の『THE W』は、AブロックとBブロックに分かれ、それぞれのブロックにおいて勝ち抜き方式で最終決戦進出者を決めるため、対戦する2組のネタを比較して面白いと思った方に投票するのが筋だ。しかし、従来のデータ放送のシステムでは、片方だけ見ても投票することができ、人気投票に陥ってしまう恐れがあった。それを防ぐため、両方のネタを見ていないと、投票できてもカウントされないというシステムを作り上げたのだ。
ネタ中に何回か信号を送り、それを獲得した視聴者でないと投票が反映されないという仕組み。この『THE W』で初めて導入された技術だというが、ここまで公平であることにこだわるのは「芸人さんが納得できるものでないと出たくないだろうし、それによって出場者が増えるとレベルが上っていくと思うんです」との考えからだという。
■さらなるブラッシュアップに意欲
『THE W』のレベルアップは、日テレの様々な番組に寄与する。「『イッテQ』の温泉同好会がありますし、私がやっている『さんま御殿』では“女芸人くくり”の回も多いです。『THE W』演出の宮森(宏樹)がやってる『ウチのガヤがすみません!』でも、新しい女性芸人さんがどんどん出てくるのが望まれています」。
ここまで打ち出した改革はいずれも、参加芸人や所属事務所などと意見交換して出てきた声を反映させたもので、その姿勢はまさに“芸人ファースト”。「これからも、『ここが良かった』『あそこが悪かった』といった話を聞いて、どんどん改善していければ」と、大会のさらなるブラッシュアップに意欲を見せる。
従来の副賞は、芸人側が指名した好きな日テレ番組への合計視聴率100%分の出演権だったが、今回は日テレ側が出演番組を指定したことで、女王に輝いた3時のヒロインは優勝直後から一気にテレビ露出が増えた。初代女王のゆりやんレトリィバァ、2代目女王の阿佐ヶ谷姉妹に比べて“彗星のごとく現れた”印象が強いことも相まって、他局の番組にも次々と出演している。
そんな状況を見て、相当悔しがっているという準優勝のはなしょーのために「残念会をやったんです(笑)。ライブで3時のヒロインがネタを磨いたように、『次こそは』という気持ちで頑張ってもらいたいとお尻を叩きました(笑)」という宮本氏。芸人への愛があふれるスタッフだからこそ、今回の改革が実を結んだに違いない。