このライブの立ち上げのほかにも、『THE W』では、知られざる“改革”を次々に行っていた。事務所へのヒアリングや、懇親会で芸人たちの要望を聞き、決勝のスタジオセットを大きく変更している。
「それまでは、わりと“テレビのセット”という感じだったんですが、(第1回・第2回スタジオゲスト、第3回審査員の)ヒロミさんから『舞台がお客さんから離れすぎてるからやりにくいんじゃないか』と言われて、芸人さんたちにも話を聞くと、やっぱりネタをするには劇場のような形が一番良いという意見だったんです。そこで、どこの劇場がいいのかというのを芸人さんたちにアンケートすると、CBGKシブゲキ!!(東京・渋谷)の名前が一番出てきたので、スタッフが見に行き、それを参考にしてセットを組みました」
カメラもすべて客席の後ろから撮るようにした結果、「スタジオ内がギュッとした感じで、お客さんの笑いが反響する感じがして、芸人さんからも『やりやすかった』と評判でした」と狙い通りにいった。
「前の年が特にそうだったんですが、準決勝はもうちょっとウケてたのに、決勝でそこまで弾けない感じがあったんです。それは、芸人さんが決勝だと緊張してしまい、それが客席に伝わってしまったり、ネタを置きにいったりしてしまったんですね。だからいつもネタを披露している環境を作りたいと思ったんです」と話すように、予選から準決勝はすべて劇場で行っていることから、その感覚のまま決勝も戦えるようになった。
■客層や控室も改善
しかし、準決勝と決勝では、“客層”に大きな違いが出てしまう。準決勝はチケットを購入して劇場に足を運びに来る男性客が多いが、決勝はテレビ番組の観覧募集で女性客が多いためだ。そこで、準決勝の観客の一部を『THE W』の番組として招待することで、決勝のスタジオに近い客層を前にしてネタが披露できる環境を整えた。
決勝本番の緊張感の緩和のためには、控室の割り当ても変更した。「以前まで、1stステージはタイマン形式だったので、緊張感を保つために、対戦相手と楽屋はもちろん、エレベーターも別にして、スタジオまで一切会わないような形にしていたんです。ただ、もうちょっと和気あいあいの雰囲気のほうが実力を発揮しやすいという声もあって、控室を大部屋にしてファイナリストが顔を合わせるようにしました」。